BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江GP&シリーズTOPICS 初日

トライアル1st初戦ダイジェスト

 

王者の不覚

 

11R

①松井 繁(大阪) 10

②茅原悠紀(岡山) 12

③深川真二(佐賀) 09

④田中信一郎(大阪)11

⑤森高一真(香川) 16

⑥篠崎仁志(福岡) 16

 

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 王者・松井が地元水面でよもやの不覚を喫した。コンマ10の絶妙なスタートを切ったが1マークのインモンキーが大きく流れ、2コース茅原のズボ差し一撃!! ターンの出口で明らかにそれと分かる差し抜けだった。

 主な敗因として考えられるのは、10Rの直前からいきなり吹きはじめたホーム追い風か。3コース深川がスリットから半艇身ほど覗いたため、まくりを警戒しての握りマイ。そこに強めの追い風をモロに浴びて、真横に流れた。そんな光景ではあったが、それにしても極端な流れ方だった。調整が合わずにサイドが掛からなかったのか、あるいは「差されるのは仕方がないとして、とにかくまくられての大敗は避けたい」という2着覚悟の握りマイだったのか……どちらにしても、2着を獲りきるのがやっとという、らしくないイン戦ではあった。

 

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 同じく地元の信一郎も暗雲まみれのレースだった。展示航走からターン回りがもっさり重く、「あれれ」と思っていたらば実戦でも何度もキャビテーションを起こしていた。1号艇の明日は万全に仕上げるとは思うのだが、今日のままのターン足では実に心細いイン戦と言えるだろう。明日の特訓~展示でできる限り正確にチェックしておきたい。

 

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 明日の1号艇と言えば、さらに不安なのが森高のストレートだ。本人の泣きのコメントに正比例して、本当にまったく伸びない!! 展示タイムの6秒93も今日イチの断然ワーストで、いくらバック向かい風が強かったといっても遅すぎる。道中の直線でもまったく追い上げが利かずにズルズル下がっていた。明日もこのままの足だったら、1マークまでに一気に叩かれる可能性すらある。勝手な予測だが、おそらく明日の森高はセット交換などの大整備に踏みきるだろう。今日の毒島のように……。

 

ギャンブル成功!

 

12R 進入順

①毒島 誠(群馬)07

②菊地孝平(静岡)06

③魚谷智之(兵庫)26

⑥前本泰和(広島)28

④原田幸哉(長崎)15

⑤中田竜太(埼玉)18

 

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 その毒島である。昨日から足色が劣勢だった毒島は、大一番の直前(正確な時刻はわからないが)にとびっきりのギャンブルを敢行した。ピストン2個・リング4本・シリンダケースのいわゆる「セット交換」、さらにはクランクシャフトまで換えてしまった! それほど酷かった(本人曰く「故障していた」)わけだが、ほとんどまったく別物のモーターになるのだから毒島としても心細かったことだろう。

 

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 が、結果的にこのギャンブルは大成功だった。私がそう確信したのは、差した菊地とのバック直線の伸び比べだ。今日の昼前後に、毒島は菊地と3度ほど足合わせをしている。すべて菊地の圧勝だった。内でも外でも、毒島を並ぶ間もなく交わし去っていた。この光景を何度も目撃していたから、実戦での伸び比べでも菊地の勝利を信じて疑わなかった。ターンの出口で舳先が掛かった瞬間、「2マークまでに舳先が並んで菊地が先マイ。2-1舟券が的中」と決め込みほくそ笑んでさえいたのだ。

 ところが現実は……2マークの手前で菊地の舳先はほろりと抜け落ちた。それは我が目を疑う光景であり、考えられる原因はただひとつ「毒島の緊急整備が大当たり」だった。うーーん、お見事。やむにやまれぬ応急手段とは言え、大整備に踏みきった英断と当たり部品を引き込んだ勝負強さに脱帽するしかない。

 

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 レースそのものは、半周で終わった。スタートで凹んだ魚谷が窮屈な小回りをした瞬間、中田の舳先が追突して落水(選手責任となって事実上の終戦)。2マークを過ぎてから縦長の展開になったわけだが、ピットアウトから1分ほどは緊迫感に満ちたスリリングなレースでもあった。もちろん、仕掛け人は前本泰和だ。どこまで入るか、どこまで入れるかの駆け引きは、それだけで観る者を興奮させる。明日もまた6号艇を引いてしまった前本(②着条件)が、どこまで内水域を脅かすか……賞金順ではなく「枠番抽選の6号艇」という思いが、今日以上に激しい進入をもたらしても不思議じゃないな。2号艇の深川とガチンコのイン争奪戦になったりして??

 

恐るべき瓜生デー

 

 今日のGPシリーズ戦は、良くも悪くも「瓜生の日」だった。前半2Rは2号艇ながら颯爽と4カドに引いて、スリット一撃のカドまくり! 実になんとも瓜生正義らしい潔い勝ちっぷりで、格の違いを見せつけた。

 

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 で、このレース以外はすべてインコースが勝って迎えた8R。1号艇の瓜生が売れるわ売れるわ、圧倒的な一番人気に推されたのだが……なんと起こしから立ち遅れ、2コース中島孝平のジカまくり&ハンドルの切り直しで大差の最後方までぶっ飛んだ。こうなると1マークはしっちゃかめっちゃか、5コースの石渡鉄兵がまくり差しで突き抜けるわ、人気薄の山田康二もしぶとく追撃するわで、終わってみれば5-2-4の1000倍舟券が出来上がっていた。シリーズ戦でインが飛んだのは、この2戦のみ。勝っても負けてもドラマチックな結果を演出した瓜生ではあった。

 

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 さてさて、BB読者の中には、この8Rのとんでも万舟を狙って仕留めた方もいたのではないか。今月号のGP攻略欄にこんな見出しが躍っていたのだ。

――住之江は展示タイムで万舟を狙え!

 要約すると、「住之江の展示タイムはやたらと信頼度が高く、去年のGPでも菊地孝平が展示トップ→5コースまくりで約500倍の大穴を開けている」ってな感じ。今朝、この記事を熟読した私は、1Rからしっかりと展示タイムのトップ選手をチェックし、その成績を集計し続けていた。そして……この8Rの展示トップは、なんとなんと瓜生ではなく石渡だったのである! 同2位の山田は3着に入線したから、いいとこ取りで「石渡から山田の2・3着付け」という8点買いで10万舟がゲットできたわけだ(笑)。

 まあ、私は1円も鉄兵舟券を買わずただただ愕然としたのだが、今日の全12レースの展示トップ選手はこんな成績だった。

1R①丸岡…1着

2R③長田…3着

3R①小野…1着

4R①山田…1着、⑤萩原…3着

5R②田村…2着

6R①元志…1着

7R⑤秋山…4着

8R⑤石渡…1着

9R③元志…2着

10R①辻…1着

11R③深川…3着

12R④原田…3着

 

★トータル成績…1着⑥、2着②、3着④、着外①(トップタイ含む)

 

 なんと、舟券から漏れたのは7Rの秋山直之だけで、他の12人はすべて舟券に絡んでいる。さらに言えば、すべての選手が枠番と同じかそれ以上の成績。1号艇のトップ選手は漏れなく全選手が勝ってもいる。BBの担当・森が高笑いしそうな1日だったわけだが、明日以降も展示トップの大活躍が続くのか、興味のある読者は是非とも追いかけていただきたい。(text/畠山、photos/シギー中尾)