BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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シリーズ優勝戦 私的回顧

枠なりからの激闘

 

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11Rシリーズ優勝戦

①竹井奈美(福岡) 28

②中谷朋子(兵庫) 25

③廣中智紗衣(東京)20

④鈴木成美(静岡) 13

⑤谷川里江(愛知) 26

⑥日高逸子(福岡) 25

 

 わ……わくなりぃっ!!!???

 ピットアウトからの数十秒を凝視していた私は、その場でのけ反った。朝のスタート特訓から谷川がインに居座るわ、日高が3コースの80m起こしを誇示するわ、「何かが起こるでしょう」(by深川真二)的な空気が充満していた。間違いなく、枠なりにはならないと確信していた。スタート展示の枠なり3対3を見ても、「いやいやそんなそんな、谷川さん日高さん、本当にお茶目なんだからぁ」程度にか思っていなかったのだ。

 が、本番はまごうことなき枠なり3対3。逸子ママは前付けに動こうとしたが、里江姐さんがしっかりブロックした格好だ。それでも、グレートマザーは強引すぎるくらいゴリゴリに攻めると思っていたのだが……もちろん、それは批難すべき出来事ではなく、戦前に「ただ動くだけでは意味がないので、舟券に絡めそうな位置を確保します」と言った逸子ママの“位置”のひとつが6コースだったのだろう。つまり、勝ち負けはともかくして、今日の機力(特にストレート)に自信があったのだ。

 勝手な妄想が弾け飛んだ私は、のけ反りながら「こうなると楽インから竹井のイン逃げ圧勝かな」と思っていた。私だけでなく、多くのファンがそう思ったはずだ。

 

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 だかしかし、ボートレースはわからない。枠なり3対3から、想像をはるかに超える大激闘が生まれたのだ。仕掛け人は4カドの鈴木。スロー3艇が控えめなスタートだった中、鈴木はコンマ13のトップスタートから一気に絞めはじめた。その猛アタックに、まずはカド受けの廣中が舳先半分で抵抗した。抵抗しながら一緒に絞め込むと、今度は2コースの中谷が舳先半分で抵抗し、そのままジカまくりを狙いに行った。

 

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 たまらないのはインの竹井だ。ただでさえ窮屈なインコースに1段2段3段ロケットがいっぺんに襲い掛かったのである。もちろん竹井も身体を張って抵抗し、4艇が玉突き状態で1マークに殺到した。そんな熾烈な局地戦を制したのは、力強く舳先を突き出した廣中だった。名付けるなら、「まくられブロック2段まくり」。

 廣中に先を越された鈴木はすぐに差しハンドルに切り替えたが、廣中のまくりに届くだけのスピードはなかった。そして、3艇に外から蹂躙された大本命の竹井は、舟券の圏外までぶっ飛んでいた。

 

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 2マークで廣中の優勝がほぼ決まり、そこからあれよあれよと2着に入線したのは……6コースの逸子ママだった。公言通り、もっとも不利な“位置”から舟券に絡んでみせた。道中、あの手この手のテクニックを駆使して。うーーーん、やっぱこの人、凄すぎます!! 12Rのテラッチともども、女子レース界のてっぺんに君臨してきたふたりの勝負根性に脱帽するしかない。そして、スリットから「サンドイッチの具」みたいになりながらも、まったく怯むことなくまくりだけを狙い続けた廣中のド根性にも拍手、拍手!!

 

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 そしてそして、個人的には舟券の軸に据えた鈴木成美様の活躍に心から感謝したい。思い返せば、初日に1-6-4の200倍ゲットできたのも、4番手からありえない展開で2着に突っ込んだ成美様のお陰だった。あの配当で節間をシノぎ、それが枯渇しかけた11Rでまたまたでっかい配当をプレゼントしてくれた。成美様(もちろん廣中様、逸子様もだが)のお陰で楽しく年を越せる男になったのである。初日といい今日といい、本当にありがとうございました。物覚えの悪い私だけど、その後のミリオンアタックはまたしても失敗したけれど、この大晦日の嬉しすぎるプレゼントは一生忘れません!!(text/畠山。photos/シギー中尾)