BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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びわこレディースオールスター準優ダイジェスト

 

進撃の女傑

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1OR
①山川美由紀(香川)06
②川野芽唯(福岡)  09
③水野望美(愛知)  13
④水口由紀(滋賀)  13
⑤原田佑実(大阪)  17
⑥小池礼乃(福岡)  23

 連覇に燃える山川がしっかり逃げきった。スタートはキレッキレのコンマ06! このアドバンテージを1マークまで持ち込み、くるり旋回して最初のファイナルチケットをほぼ確定させた。

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 惜しかったのは2コース川野で、今日の仕上がりはメチャメチャ良かったはずだ。スリットから山川をやや上回る行き足でにじり寄ったが、だからこそ?1マークはまくるか差しかの判断がやや遅れた感じで、半端なターンになってしまった。どちらかに決め打ちしていれば、2着は外さないパワーに見えたのだがどうか。残念ながら選抜組に回ったが、今日の足を維持できれば明日の2走=必勝モードとお伝えしておく。

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 一方、そんな川野を迷うことなく握って飛び越えたのが3コースの水野だった。私の勝手な見立ては「非常にバランスの取れた中堅上位」で固まっているのだが、とにかく今節の乗りっぷり、リズムがいい。道中でも先頭の山川にじわじわ迫り、「あわや逆転か?」と思わせるほどの勢いすら感じさせた。去年は準優で涙を呑んだが、今年は天晴れなワンステップアップ。これはそのまま成長の証と言えるだろう。リズムと勢いだけなら、このまま“飛び級”で頂点に立っても不思議ではないな。

明日へのブロック

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11R
①中村桃佳(香川) 09
②細川裕子(愛知)  10
③倉持莉々(東京)  09
④海野ゆかり(広島)13
⑤廣中智紗衣(東京)08
⑥西村美智子(香川)10

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 やはり、直線パワーで他を圧倒していたのは廣中51号機だった。スリットほぼ横一線から、わずか1秒で舳先をグイッと突き出す。そのまま伸びなりに海野を締めはじめた勢いは、インの桃佳まで呑み込む足色に見えた。が、さすがにここは準優で、倉持、細川も伸び返す。廣中がそれらの舳先をギリギリ越える間に桃佳が迎撃態勢を築き、完璧にブロックして逃げきった。逆に見れば、桃佳のレース&ターンセンスが光り輝く1マークでもあった。

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 2着は廣中にまくられながらも冷静に差しハンドルを入れた細川。今節の細川はほぼオール2着であまり目立たないのだが、道中でのターンミスは皆無に等しい。最近の彼女の完成度の高さが、まんまレースっぷりと着順に反映されている。そして、パワー的には今日の19号機が節間でもっとも力強く見えた。特にストレート足。この足がスリット付近のパンチ力として活かせることができれば、明日はもうひとつ上の着順になっても不思議はないと思う。
 さてさて、このレースが終わった段階では私(おそらく多くのファンも)の脳裏には「明日の桃佳=2号艇」というイメージがぼんやり浮かんだのだが……その40分後に??

大事故

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12R
①遠藤エミ(滋賀) F+03
②平高奈菜(香川) F+01
③大山千広(福岡) F+03
④藤崎小百合(福岡)02
⑤長嶋万記(静岡)  06
⑥小野生奈(福岡)  08

 掛け値なしの波乱……大波乱だ。その端緒は3コース大山の早起こしだったか。スタート展示でも異様に早い起こしからコンマ22のフライング。それを補正できないまま、本番でも明らかに早いタイミングでレバーを握りはじめた。それに釣られるように、内の2艇も動きはじめる。早いとは分かっていても、相手がフライングでも、まくられたくない。そんな意識がレバーに反映する。

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 スリットの50mほど手前で、突出していた大山があからさまに減速した。さらに上体を起こし、空気抵抗でアジャストしようとした。その甲斐あってスリットではスロー勢がほぼ横一線、難を逃れたかに見えたのだが……そうではなかった。それどころか、最悪の事態だったのだ。スロー3艇、共倒れのフライング欠場。

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 知ってか知らずか、3艇はそのまま1マークに突き進んでしっかり旋回した。ターンの出口で遠藤~平高~大山という大本命の順位がほぼ完成する。完成と同時に、大型ビジョンに「①②③欠場」の文字が刻まれた。この瞬間、圧倒的な優勝候補が消え、平高はよもやのF3持ちとなり(トータルF休みは、3/12~9/7!)、22歳によるGⅡ制覇の夢も潰えてしまった。返還は約2億円で、全売り上げの99%を超えるものだった。その端緒は大山かも知れないが、もちろん己を抑制できなかった遠藤、平高それぞれの“選手責任”だ。

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 1周2マークからは残された3艇による椅子取りレースとなった。先頭の藤崎はセイフティ―な5艇身差。その後ろでは、長嶋vs小野の熾烈な鍔迫り合い。常に1、2艇身のリードを保つ長嶋が小野の猛追をギリギリ凌ぐという展開が最後の最後まで続き、長嶋がそのわずかなリードを死守して最後の椅子に滑り込んだ。エミも含め、去年のSG準優に駒を進めた3人が奇しくも同じレースに組まれたわけだが、まさかこんな結末になろうとは……

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 この結果、明日のファイナル1号艇は、11Rを順当に勝ち抜いた中村桃佳の手に渡った。もちろん、明日は大きな人気を被ることになるだろう。今日の大波乱の余波を跳ね除けて、しっかりとスタートを踏み込めるか。同県の大先輩の猛攻を受け止め切れるか。4カドになりそうなまくり屋・細川の締めまくりもありえる。それなりに障壁の高い優勝戦になりそうだが、流れ的にはこの25歳のど根性娘に向いているとも言えるだろう。(text/畠山、photos/シギー中尾)