BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

福岡マスターズTOPICS 初日

難解なパワー相場

f:id:boatrace-g-report:20180417180850j:plain

 インがわずかに2勝、センター勢とアウト勢が大活躍して万舟5発。実に福岡らしい幕開けだったが、同時にパワー相場が難解な1日でもあった。まずはエース67号機&準エース71号機の不発。4Rの石川真二71号機はスリット近辺こそやや強めの足色に見えたものの、3コース大場敏の絞めまくりに連動しきれなかった。まあ、このマーク差しはイン川北にブロックされる不運な展開でもあった(まくりきった瞬間に減速した大場の作戦勝ち)。
 問題はその後の追い上げ足だ。一時は4番手を確保しながら、川北に差されて5番手に後退。ターン回りで何度か尻もちをつくように失速しており、まったく調整が合っていないように見えた。5号艇での5着だからまだまだ挽回の利く敗戦ではあるが、このままのターン足では準エースとは呼べないだろう。

f:id:boatrace-g-report:20180417180914j:plain

 同じく大敗を喫したのが6Rのエース67号機だ。1マークの展開そのものは、パワー不問の乱戦だった。今村暢孝が強引に前付け→80mを切る起こしで加速が付かないうちに市川哲也の一撃まくりでぶっ飛び。あの状況なら、どんな怪物機でも太刀打ちできなかっただろう。で、バック最後方からターンごとにじわじわ追い上げた足には、それなりに見所はあった。自慢の実戦足は、おそらく71号機よりしっかりしていたと思う。
 ただ、展示タイムの6秒93は今日のワースト2位だったし、その数字通りに行き足~伸びの迫力がなさ過ぎる。いくら出足寄りの超抜機とは言え、ここまでストレートで後手を踏むと今後も着を揃えるのは難しいだろう。奇しくも5号艇で5着。「Wエース機に暗雲」と言うには早すぎる気もするが、課題の多い緒戦だったことは間違いない。

f:id:boatrace-g-report:20180417180958j:plain

 さらに……前検で大いに期待した仲口博崇=32号機も大惨敗を喫した。5号艇から4コースに潜り込んだものの、スタートで後手を踏んで見せ場もなし。道中はターンごとにずり下がり、追い上げムードすら見られなかったのは残念無念。やはり懸念していたとおり、ターン回りに難があるモーターなのかも知れない。
 ただし!! エース67号機とは裏腹に、仲口32号機の展示タイムは6秒79の今日イチ時計! 昼のスタート特訓でもスリット付近の足色は抜群に見えたし、明日以降も「スリット一撃」の可能性は十二分にあるとお伝えしておこう。明日の仲口は2号艇の1回走りだが、スロー起こしからでも伸びなりのジカまくりを警戒しておきたい。
 それからそれから、前検ではスローからの行き足がゴキゲンに見えた西島義則23号機も、確勝を期したイン戦でよもやのジカまくりを食って4着大敗。起こしからやや踏み遅れたとは言え、あんな負け方をしてしまうとは……うーーーん。

f:id:boatrace-g-report:20180417181027j:plain

 こうして期待したモーターたちが水面を這う中、私がBB誌の◎に推した渡邉英児=18号機は力強い足色を見せた。まあ、レース自体は見せ場らしい見せ場もない4着だったんですけどね。ただ、道中5番手からじりじりじりじり差を詰めて4番手に浮上し、さらに3番手の安田政彦を脅かすくらいまで追撃したパワーは迫力満点。その後の足合わせでもパワーアップを感じさせたし、明日以降のレースが実に楽しみになった。

f:id:boatrace-g-report:20180417181056j:plain

 今日の実戦で新たにAランクに加えたいのは、文句なしに野添貴裕15号機。特訓でも本番でもスリットからの行き足が際立っており、あのパワーがあれば今後も自力駆けが期待できる。これまでの15号機の気配とは一変しているので、おそらく絶好調男・野添は何らかの美味しい調整法を掴んでいるに違いない。イン石野を差しきって13年ぶりのGIを云わした勢いを、侮るなかれ!

f:id:boatrace-g-report:20180417181119j:plain

 もうひとり、2Rの寺田千恵24号機のレース足もキラリと光ったな。ストレートは平凡も、ターン回りから出口付近でシュッと押して行くパワーが絶品。これだけのメンバーが揃うと女子は軽視されがちなので、今後も1マークでの一発大駆けに注意するとしよう。

f:id:boatrace-g-report:20180417181146j:plain

 そしてそしてそして、今日のMVPは……もちろん12Rのミスター今村豊で決まり!!!! SGドリーム戦にも匹敵する豪華絢爛なメンバーを相手に、有無をも言わせぬ6コースからの一撃まくり。客観的に見れば、待機行動の利があったことは否めない。5号艇の江口晃生がゴリゴリ動き、内の4艇が激しく抵抗しての12345//6。他の5艇は横並びの80m起こしだったから、ターンマーク起こしのミスターは単騎がましにも近い展開になった。

f:id:boatrace-g-report:20180417181206j:plain

 それにしても、だ。スリットでは1/3艇身ほど覗いた程度だったのに、そこから伸びなり一気に内を締め込み、迷うことなく内5艇を呑み込む勢いの凄まじいこと! 普通の予選でも6コースまくりは至難の業なのに、この56歳は一回り以上も若いバリバリのSG常連もひっくるめて、わずか数秒で引き波にハメてしまったのである。
「わ、若いっ!!」
「カッコいい、カッコ良すぎる!!」
 記者席、騒然。同い年の私も、全身にサブイボをおっ立てながら「あんたって人は……!!」などと叫んでいた。はい、2着固定の舟券なんか買ってて、すいませんっ!!><

f:id:boatrace-g-report:20180417181233j:plain

――賞味期限がだんだん近づいておりますが……まだ腐ってませんっっ!!!
 今朝の選手紹介でミスターはこんな雄叫びを挙げたものだが、まさにこのセリフを証明するアウト一撃まくりだったなぁ。もっとも、ファンは誰ひとりとして「賞味期限切れ」なんてこれっぽっちも思っていませんけどね。ミスター今村豊、アンタは「腐る」どころか、獲れたてぷりっぷりのトラフグだあっ!(text/畠山、photos/シギー中尾)