BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡マスターズ 準優ダイジェスト

節イチ決定戦??

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10R 並び順
①渡邉英児(静岡) 19
⑥倉谷和信(大阪) 13
②野添貴裕(大阪) 10
③馬袋義則(兵庫) 21
④田頭 実(福岡) 19
⑤渡邊伸太郎(佐賀)18

 ド迫力のパワー対決だった。進入は野添が同県の先輩を迎え入れての162/345。それなりに折り合って内2艇が110m、3コース野添が130m起こし。前付け艇があった割りには、スロー勢に分のある進入だ。

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 そして、野添15号機の行き足の凄まじいこと! スリットでは倉谷とほぼ同体に見えたが、そこからギュンッッッと舳先を突き出し、1マークのはるか手前で完全に出切ってしまった。さらに、スタートでやや凹んだ英児まで一気に叩き潰す。鮮やかすぎる速攻で圧勝かと思ったものだが……。
 そう、まくられた直後に英児18号機がシンクロ率200%で覚醒したのだ。野添の引き波を苦もなく超えるや、ターンマークをくるりんと小回りして野添のケツに齧りついてしまった。野添がやや馬袋の二段まくりを牽制したとはいえ、ありえないような「まくられ逃げ」!!

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 そのまま舳先を突き刺した英児18号機は、バックの直線勝負でもヒケをとらなかった。スリット付近の一瞬の破壊力では野添が上だと思うのだが、長いストレート勝負ではむしろ英児が優勢にも見えた。野添をブロックしながら2マークをしっかりと旋回して、このレースの大勢が決した。
 1着・英児、2着・野添。
 嗚呼、英児18号機にはこの場を借りて詫びねばならない。BB誌で◎に推し、前検でもAに指名し、実戦でも高く評価していたつもりだが、まさかここまでの芸当をやらかすパワーだったとは! 野添にまくられるのは脳内レース通りで、あっても2着までと▲に留めてしまった。すみません、恐れ入りました。今日の18号機は間違いなく出足も直線足もSランク以上だった、と訂正しておきます! そして、今日は競り負けたとはいえ、野添の足もやはり素晴らしい。据え置きのSランク。で、この両雄パワーのどっちが上かと言えば……はい、明日までの宿題にさせてください!!

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 あ、それから、もう一丁の「嗚呼」は……期待していた火の玉・田頭のスタートがコンマ19まで、だった。田頭も人の子、「地元でただひとり」という思いが責任感につながったか。超抜のふたりの外から、コンマゼロ台全速で一気に襲い掛かる雄姿を見たかったなぁ。うーーーん、残念!!

無傷のワンツー決着

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11R 並び順
①今村 豊(山口) 21
③平石和男(埼玉) 29
④飯島昌弘(埼玉) 27
⑥太田和美(大阪) 34
②今垣光太郎(福井)26
⑤芝田浩治(兵庫) 22

 特訓でもスタート展示でも6コースだった太田が、ピットアウトからジリジリ攻めて早めに舳先を傾けた。ちょっとしたサプライズ進入だ。「あれこれ整備してみたが、6コースでは届かない」と腹を括ってのコース獲りだったか。これに平石、飯島の埼玉勢が抵抗し、F2の今垣は「付き合いきれん」という風情で艇を流してスローの5コース。最終隊形は13462/5となった。

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 そして、御覧の通り6人ともに慎重なスタートタイミング。特に、やや深い進入になった太田が凹んでいる。その外から勢いよく飛び出したのは、F2の光ちゃんだった。さすがの攻撃力。ただ、今節の今垣の直線足は、野添のそれとは比べるべくもない。太田を叩いたところで3コース飯島に艇を合わされ、あっさりと進軍は終わった。そこから捌きに捌いて3着まで追い上げた光ちゃん。F2の身の上で中堅ど真ん中の足で、今日まですべて舟券に絡み続けてきたのは流石と言うしかない。
 1マーク、外からの攻撃が不発に終わる間にイン今村と2コース平石は早々に優勝戦への足固めを完成させていた。準優としては他に紛れる余地もなく、パワー鑑定のしにくいレースでもあった。

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 1着・今村豊、2着・平石。
 今日のレースでパワー云々を言いきるのは難しいが、もちろん悪い足であるはずもない。勝ちタイムの1分49秒5は今日イチの時計だし、1周2マークで平石の差しをスッと突き放すレース足にも安定味を感じた。ただ、11Rの英児&野添に比べれば、ちんまりとまとまっている気がしてならない。あの2人をSとするなら、ミスターの足はAあたりで正しいと思う。

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 平石の足は明らかにストレートは中堅レベルで、代わりに粘っこいレース足を活かして着をまとめている。優勝戦に入れば現時点でははっきり弱めだが、6コースからSGを獲った男であることは肝に銘じたい。ここは福岡、サイドの掛かりをさらに強化して、野添の4カド攻撃に全速で連動できれば一撃の大穴Vがあるかも?

レース足の“謀反”

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12R
①田中信一郎(大阪)17
②市川哲也(広島) 18
③柏野幸二(岡山) 14
④仲口博崇(愛知) 15
⑤西山昇一(愛知) 17
⑥角谷健吾(東京) 11

 1・2コース決着が続いた準優は、最後のここで福岡らしい波乱を用意していた。3コース柏野の強ツケマイ! 信一郎に油断はなかったはずだ。柏野の動きをしっかり捉えて、早めに艇を合わせに行っている。逃げきるに十分なブロックにも見えたのだが、そこで合わせきれなかったのはパワー差だったと思う。今日の柏野31号機は、ターンの出口からの足色が抜群だった。

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 ただし、勝ったのは柏野ではない。信一郎のブロックを交わしている間に、最内からそろそろと伸びていたのが2コースの市川だ。私は今節の市川をさほど高く評価していないのだが、バック中間からの柏野とのマッチアップではまったくヒケをとっていなかった。別の視点から見れば「今日の柏野が出足型に偏っていて、伸び足がやや落ちていた」という理由が考えられる。その後の道中でも、柏野は直線で仲口に追いつかれていた。それもあって「市川の足が強かった」とはやはり認めきれないのだが、それは私の過小評価が過ぎるのだうか。

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 1着・市川、2着・柏野。
 柏野の足は優勝戦でも不気味の一語。今日のようにスロー起こしならスリット同体からでも仕掛けられるし、展開を突いてシャープに加速するレース足も持っている。しかも、明日は「4カド野添の外」という絶好のポジションも想定できる。野添がスリットから激しく攻めれば攻めるほど、そしてスロー勢が激しく抵抗すればするほど柏野のV期待値はうなぎ上りで増すことだろう。今日の実戦を見ての課題は「スリット後からやや垂れ始める伸び足にどうカツを入れるか」ではなかろうか。野添から千切れずに連動できるストレート足に仕上げてもらいたい。

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 市川の足は、先に触れたようにまだ半信半疑というか、両隣のパワーも含めて明日の3号艇では厳しいのではないかと勝手に思っている。現状の足のままで優勝できるとしたら、伝家の宝刀のコンマゼロ台全速のスタートを決め、4カド野添の攻撃を同体で受け止めながらの先攻め、という脳内レースしか浮かばない。で、それを実現させるにしても、明日の本番までにもうひとパンチ力を付けておく必要があると思う。うーーん、やはりこれも過小評価なのかな……。(text/畠山、photos/シギー中尾)