BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――混戦模様

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 あ、早いっ!
 10R、篠崎仁志がそう声をあげたのは、スリットの手前だったと記憶する。画面の端に映る大時計と艇の位置関係をとっさに測ったということか。過去にも、フライングがあったレースを選手と一緒に見ていて、その感覚の鋭さというか察知の早さに舌を巻いたことがある。今日もそうだった。やがて大型映像装置には、「返還①④⑥」の文字が。まずは仁志の見立ての正しさに感服した。

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 いや、そこに感心している場合ではない。3艇Fなのだ。①は前年度覇者の石野貴之。④⑥は長崎支部の2人、下條雄太郎と原田幸哉。幸哉は言わずと知れたエース機だし、下條も好気配を見せてきた。シリーズの中軸を担える3人が一気に戦線離脱してしまったのだ。ピットは騒然となったし、出迎える選手たちも神妙だった。石野は苦笑いを浮かべるシーンもあったけれども、基本的には表情は険しかった。

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 下條は、前期で切った2本目のFの休みがまだ消化されていない。オールスター後から休みに入るので、さらにプラス30日、合計90日もの間、レースから遠ざかる。今期はA1級の最低出走回数である90回に到達するかも危うい状態。原田とともに選出されると予想されていたメモリアルもF休みにかかる。今節の戦線離脱という以上に、痛恨の事態を招いてしまったのだ。親しい記者にそのへんを語りながら、笑みも浮かべてはいたけれども、やや顔は引きつり気味だった。無理もない。口にすることで少しは気持ちが軽くなったかもしれないが、待ち構える試練を思えば悔いばかりが心を覆うのも仕方ないだろう。

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 このレースでは、峰竜太も待機行動違反で減点されている。2コース主張でホームに出てきたあと、峰はエンストしており、エンジンをかけている間に舳先が横を向いてしまった。スタートラインに正対させるために切ったハンドルが転舵となって、待機行動違反。不運といえば不運である。まあ、今の峰は人前ではそれを普通に笑い飛ばしたりもできるわけだが、明日以降の戦況を思えばやはり口惜しさが残るというものだ。

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 波乱模様の中、10Rを勝ったのは小野生奈! 昨日からの連勝で、暫定2位につけた。女子選手仲間に囲まれて笑顔を見せる小野だが、しかし気持ちは緩まない。着替えを終えた後にはさっそくプロペラ室へと向かって、点検なのか調整なのか、作業を続けるのだった。昨年のオールスターでは女子初のSG3連勝。3年前には道中で山崎智也を抜いたこともあった(そのオールスターは智也が優勝)。オールスターの生奈は何かを魅せてくれる! 昨年は準優出したので、もう一丁、上を見せるってのはいかがでしょう。

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 女子で健闘しているのはもうひとり、松本晶恵だ。今日は6号艇で3着、3号艇で2着。しっかり連に絡んで、こちらは暫定4位だ。残りの予選レース、大敗しなければ準優には十分間に合うポジション。ほんの少しのミスで着順をいくつも落としてしまう過酷な舞台、まったく予断は許さないが、まさに明日からは正念場。やはり女子選手に囲まれてニッコリと笑っていたが、その後は勝った井口佳典に必死に話しかける姿も見かけている。そして井口が背中を軽くポン。何かを得ようとする姿勢があるのなら、この位置で満足することはないだろう。

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 何やら混戦模様となってきた尼崎オールスター。ドリーム組は白井英治が暫定6位で最上位、桐生順平は今日も大敗続きでまさかの暫定42位である。明日も波乱あり!? そんななかで、白井の雰囲気がかなりいい感じに見えることをお伝えしておきます。全体的に余裕が見えるし、眉間のシワが普段より浅いように思える。尼崎といえば、09年ダービー、14年クラシックで予選トップ通過ながら優勝を逃した、相性がいいような悪いような、の水面。3度目の正直があるかも!?(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)