BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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尼崎オールスターTOPICS 2日目

騒がしい1日

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 いやぁ、あれやこれや良いこと悪いこと、350倍や600倍……いろんなことが起こった1日だった。悪いことは……10Rの集団フライング!! インの石野貴之、前付けで3コースに入った原田幸哉、5カドから“同支部”の先輩に襲い掛かった下條雄太郎、この3人が禁断の一線を踏み越えてしまった。残念無念。

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 この悪夢のごとき一事で、前年度覇者(石野)の連覇の権利が消失したし、前検のモーター抽選で「今節は長崎コンビが大暴れだ」と大いに期待したふたりもV戦線から離脱した。幸哉の4号機は一番人気のエース候補だったしなぁ。うーーん、こんな大暴れは見たくなかったぞーー!(涙)
 ちなみに机上の計算では石野と下條が8月のメモリアルがアウトになるはずで、ひたすらGP奪取に燃える石野にとっては想定外かつ激痛の勇み足とお伝えしておこう。

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 起きてしまったことは仕方がない。良い方の話題に移ろう。まずは女子から。今日も1Rの守屋美穂(←水神祭の記事あり)を皮切りに、要所要所でヴィーナス軍団が舟券に絡みついた。
 とりわけ道中のレースっぷりが輝いていたのは、6Rの長嶋万記だな。スリットほぼ同体(コンマ08)の3コースから、1マークは迷うことなき握りマイ。これは追い風にやや流され、バック直線ではイン石渡鉄兵~2コース池田浩二に続く3番手まで。内の池田との差はちょうど1艇身で、さらに後方から桐生順平が猛追するという厳しい隊形ではあった。
 が、直後の2マークが天晴れの一語。内からブロックする池田&切り返しの素振りを見せる桐生に対して、これまた迷うことなき全速モンキーで賞金王のふたりを一撃で競り潰してしまった! その後はターンごとに池田らを突き放し、大差を付けての2着入線。昨日の1Rの万記も「迷わず握る」という戦法に終始していたが、実に見ていて気持ちのいい攻撃ぶりだった。初戦から223着で目下14位。これまでのように果敢に攻め続ければ、2度目のSG予選突破もありえるだろう。

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 14位どころか、暫定4位!!という快進撃を続けているのが松本晶恵だ。こちらは万記のような派手さはないが、道中で慎重に丁寧に的確にターンしながら舟券に絡み続けている。今日の3Rがまさに真骨頂。6コースからの根っこ差しはまったく届かずバック5番手まで。そのまま最内の経済コースを直進し、2マークでくるりと小回りしたらば3着争いに参加していた。さらに2周1マークも最内くるりで3着確保。外外の万記、内内の晶恵というスタイルが、実にらしい戦術ではあるな。
 後半11Rも4カドからコンマ11、バチッとスタートを決めて3コースの羽野直也にプレッシャーを懸けつつの根っこ差し。バックでは今垣光太郎、羽野とのデッドヒートにも怯むことなく主導権を握り、そのまま2着を守りきった。昨日のイン逃げにはじまり、132着で8・00は、レース内容も含めて高く評価しておきたい。去年の予選55545着という屈辱を、今年はオール舟券絡みという快挙で晴らすかも??

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 そしてそして、もうひとり。10Rでスローの4コースから勝ったのが小野生奈だ。今日はレース内容について書くべきことは少ない。前出、集団フライングによる「恵まれ」の1着。とはいえ、5コースの下條からジカまくりのような形で叩かれながら、すぐに態勢を立て直して窮屈な根っこ差し。この見事な立ち回りでバック中間ではキッチリ自力で2番手を取りきっていた(その後に石野が離脱)。競り合った相手が峰竜太&山崎智也ということもあって、ふたりを従えて先頭を走る姿は壮観でもあったな。
「運が良かったです♪」
 インタビューで真っ先に語ったように、確かに運にも助けられている。ただ、混戦の中から抜け出す力強さが今節の生奈にはある。いや、今節も、と言うべきか。去年は女子初のSG3連勝を成し遂げた生奈。明日は11Rの5号艇で、自身の“タイ記録”に挑戦することになる。もしもそんなことが起これば、1号艇を残したまま3111着=勝率9・00という恐るべき数字になってしまう生奈なのである。
 嗚呼、またまた女子が活躍すればすぐに飛びつく悪いクセ? 確かにそうなのだが、今年はちょっと毛色が違う気もするのだよ。例えば去年のオールスターは8人の女子軍団が参戦し、全47戦の予選で舟券に絡んだのはのべ13回。それが今年は21戦ですでに11回!! さらに、まだ芽の出ないエース遠藤エミやパワー気配のいい日高逸子、ややパワーアップしたように見える竹井奈美らが奮闘すれば、男の猛者どもと遜色のない予選成績になると思うのだが……鬼門とも言うべき予選後半での活躍ぶりを、見ててください!!

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 さてさて、V戦線を全体的に見回すとあれよあれよと予選トップを突っ走る男ひとり。新田雄史。昨日から無傷の3連勝!!!という絶好調ぶりだ。正直、昨日はイン逃げ一発という尼崎のあるある決着だっただけに、「ふぅん」という程度だった。が、今日はどうだ。まずは8R、2コースからインの雄・篠崎仁志を一撃の差し切り圧勝。
 さらに6号艇の12Rでは、5コース(←このひとつ内寄りが大きかった)から伝家の宝刀とも呼ぶべき全速のまくり差し! その初動の早さ速さはニュージェネ軍団ならではのもので、まさに「見る前に飛ぶ」ような豪快な一撃だった。パワー的にも十分に上位レベルか。前検の私の見立ては「その他では新田の回り足」という雑な扱いだったのだが(笑)、さらに回り足が上昇していると思う。4連勝を狙う明日は、10Rの4号艇。仁志・毒島・峰と同居した番組で、異次元のスピード勝負が楽しみでもある。

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 最後に、パワー相場についてちょいと。尼崎のモーターはそれぞれ3節ほどしか稼働しておらず、今節の一流レーサーの調整(誰もが試行錯誤の連続だろう)によって大きく変動している気がしてならない。日ごとレースごとに足色が極端に変わるモーターも多く、さらに気象状況も大きく変化しているため、非常に難しい、と思っている。

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そんな中、トータル的に安定した好脚をキープしているのが寺田祥、中島孝平、毒島誠あたりか。出足系統が強いのは新田、松本、下條、白井英治、日高逸子、前田将太、吉川元浩など。直線が目立つのは魚谷智之、湯川浩司、坪井康晴、菊地孝平などなど。ただ、明日はまた気圧と気温が上がるはずなので、今日とは別物のパワー相場になる可能性も高いだろう。できる限り、特訓とスタート展示でより正確な足色を掴みたい。(text/畠山、photos/シギー中尾)