BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――“アサイチ”

 

f:id:boatrace-g-report:20180822143058j:plain

 今日はちょいと事情があって、選手のレース場入りとほぼ同刻にピット入り。昼頃から35℃にも迫るような猛暑の丸亀だったが、選手たちは実にキビキビと動き、走り、瞬く間に試運転の準備を始めてしまう。係留所もあっという間に満艇状態で、52艇すべては収まり切れないので、峰竜太は試運転をいったん切り上げるたびにボートを陸に上げていた。

f:id:boatrace-g-report:20180822143227j:plain

 そうそう、石渡鉄兵が途中帰郷となったため、実際には51艇だ(それでも係留所は少しだけ足りない)。その石渡が、完全に管理解除となってレース場を離れた。ナイター場など、家まで帰ることができないため、途中帰郷が決まっても管理下に置かれ、宿舎に泊まってから管理解除となり帰郷するパターンがある。たまたまその場面に遭遇したわけだが、石渡は足を引きずり、しんどそうに歩いていた。石渡は「すみません」と頭を下げてきたが、何を謝ることがあろうか。何より、最も無念なのは石渡自身だ。戸田の一般戦でも途中帰郷を強いられた膝痛が再発したとのこと。まずはしっかりゆっくり養生して、また元気な姿を見せてもらいたい。

f:id:boatrace-g-report:20180822143345j:plain

f:id:boatrace-g-report:20180822143408j:plain

 水面にエンジン音が轟くなか、池田浩二と寺田祥の2人が整備室にこもった。二人とも本体を割り、整備士さんと相談しながら整備を進めていた。このところ池田が本体に手をつけるシーンは時折見かけるもので、最近の池田はSGでは機力に苦しまされている印象が強い。好感触のときの寺田はマイペースに調整を始めるのが常なので、このタイミングでの本体整備は緊急を要するものだったのだと推察される。整備室内では81期コンビ同士、時に言葉を交わし合ったりもしていた。二人とも終盤レースの1号艇1回乗り。10点を何が何でも死守するべく、一日かけての調整が続くのは間違いない。

f:id:boatrace-g-report:20180822143629j:plainf:id:boatrace-g-report:20180822143712j:plain

 係留所に目を向けると、あちこちで足合わせの感触を話し合う光景が見られた。圧巻は今村豊と松井繁。艇界の偉人ふたりが真剣な表情で向き合う姿には、後光が射すと言えば大袈裟でも、しかし圧倒的な空気感がたしかにある。長くSGの舞台でともに戦った二人だが、意外とこのふたりの絡みって見かけないんだよなあ。貴重なものを見た、という感覚もあるわけである。

f:id:boatrace-g-report:20180822143818j:plain

 係留所に選手の姿が多く見られた一方で、プロペラ調整室が閑散としていた瞬間もあったりした。昨日は12R発売中だって10人近く姿があったのに。中島孝平と毒島誠のみ、という場面もあったが、その二人が揃ってペラ室から係留所に向かって、ごく一時的に空っぽになった瞬間も。すぐに仲谷颯仁が入っていって、貸し切り状態になったりもして。朝(ナイターは午後イチくらい)はまずは乗ってみて調整の方向を考えたり、スタート特訓に出たりすることもあって、水面や係留所が密集地帯。レースが始まればペラ室は満員御礼状態となるが、一日の最も早い時間帯は反対の状況になる。知ってはいたが、レース間にピットに行くことが多いので、なかなか新鮮な光景なのであった。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)