BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――やってくる嵐。嵐を巻き起こす西山。

f:id:boatrace-g-report:20180822212424j:plain

 既報のとおり、明日は台風20号の接近により荒天が見込まれるため、中止順延となってしまった。SGの日延べは14年ダービー以来。あのときは初日が中止順延で、最終日は仲口博崇の悲願SG初Vというドラマが見られたのだった。今年も何かが起こる!?
 今節は、19号20号のW台風が南の海上にあり、当初から接近が心配されていた。中村亮太はそうなった場合に宿舎で時間を持て余すことのないよう、DVDを多めに持参したとか。大阪桐蔭vs金足農が明日だったりしたら、宿舎のテレビの前には選手の輪ができるのだろうけど。中止順延といっても、選手たちが宿舎から一歩も出られないというのは変わらない。外部と遮断されるのが一日増え、それが単に宿舎にカンヅメになる一日、という。なかなか大変だ。

f:id:boatrace-g-report:20180822212527j:plain

 タイムテーブルもレース開催時とは変わるらしく、10R終了後に出発する帰宿1便勢は競技棟1階に整列して、その説明を受けていた。夕食の時間や消灯の時間も変わるようで、それが告げられるたびに選手たちの「はいっ」という低い声があがっていた。選手会の重職を担っている田中信一郎は、管理の方に質問を投げかける。選手班長は重成一人だが、選手会で立場ある存在だからこそ、班長とともに仲間ができるだけストレスなく過ごせるよう、気を配るわけだ。
 天候にはどうしたってかなわないわけで、明日の中止は仕方がない。選手たちには、ゆっくり体を休めてほしいと思います。そして、リフレッシュして明後日、とびきりの激戦を見せていただきたい。

f:id:boatrace-g-report:20180822212604j:plain

 台風を呼び寄せたのは、まさかこの男か!? 西山貴浩、無傷の3連勝! まったく予想もしていなかった、と言ったら失礼かもしれないが、本人も「奇跡、奇跡」と繰り返していたから、西山自身もビックリしているようであった。控室へ向かう道中、待ち構える報道陣に「見た? 見た?」と指を差して問いかける西山。そりゃあ見てたから待ち構えてるんでしょうが。公開勝利者インタビューに向かう際には「西山フィーバー!」とポーズまで見せつける。そりゃまあ、ゴキゲンなのは当たり前である。

f:id:boatrace-g-report:20180822212650j:plain

 ただし、ただただはしゃいでいる、とは見えないのだが、これは気のせいだろうか。西山快勝のあとは、誰もがパフォーマンスを期待する。それには応えなきゃしゃあないでしょう。しかし内心は……という雰囲気に見えて仕方ないのだが、どうだろう。心に期すものがある、というと大げさかもしれないが、少なくとも結果を出すことに対する欲求というのはかなり強まっているように思えてならない。今節の西山は一味も二味も違って見えるのだ。

f:id:boatrace-g-report:20180822212805j:plain

 あと、打ち破った池田浩二に対する心遣いみたいなものもあったかも。池田と西山はめちゃくちゃ仲がいい。池田が西山をかわいがっているシーンは随所に見かけるし、西山も池田を尊敬しているようだ。その池田のイン戦を、西山は撃破した。レース後、どんな絡みが二人にあるかと楽しみにしていたら、一言二言交わすだけで、ほとんど接触がなかったのだ。池田はただただ悔しがり、「あの波では(風がかなり強くなっていた)握れなかった~」と呟く。西山との会話は、少なくともレース直後はそれだけだった。「まさかお前にまくられるとはな!」とか「負けたよ~、くそー」とか、あるいは祝福の言葉でもないあたりに、池田の悔恨が色濃く漂っているように感じた。それを西山が感じたなら、敗者の心情に配慮するのも仁義であろう。

f:id:boatrace-g-report:20180822212840j:plain

 ともあれ、仲がいいからと言って決して馴れ合わないボートレーサーたち、という構図が二人にはあったと言えるだろう。まあ、今頃は宿舎で池田がさんざん西山をイジってたりするのかもしれないけど(笑)。
 というわけで、明日は水入りとなる丸亀メモリアル。これが流れをどう変えるのか。西山の快進撃は続く!? それとも池田が巻き返していく!? あるいは、西山を追い落とすべく猛者たちが猛然と追い上げる!? 中止順延は残念だが、我々もこの中休みに、明後日の再開にさまざまな思いを馳せて過ごすとしよう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)