BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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蒲郡ダービー優勝戦 極私的回顧

平成最後のダービー王

12R優勝戦
①守田俊介(滋賀)07
②池田浩二(愛知)10
③石川真二(福岡)18
④篠崎元志(福岡)19
⑤井口佳典(三重)09
⑥石野貴之(大阪)16

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 昨夜、俊介が逃げきってから豊橋でしたこと。西口の中華『みゆき』で特製のガリサワーを呑んだ。3年前の浜名湖ダービーの5日目と同じように。2件目の東口『壱勢』でもまぐろの寿司に付いてきたガリを独り占めした。
 今朝は、床屋に行って“丸ガリ”にしてもらった。ホテルで戻る途中のファミマで『ガリガリ君』を買って食った。ついでにどこかでマルガリータのビザを喰おうと思ったが、まだ空いている店がなかった。服装は、昨日とまったく同じにした。靴下もちょっと酸っぱい匂いがしたけど、替えなかった。

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 そして、俊介は昨日同様、見事に逃げきって優勝した。何が言いたいかというと、実はこの優勝は私の様々な願掛けによって成就したのである。俺のおかげだぞ、俊キチーーー!(笑) まあ、今日の優勝に対する私の気持ちのあれやこれやは、また豊橋のガリサワーの中に沁み込ませるとしよう。
 早く飲みたいので、簡潔にレースを振り返る。このレースの最大の焦点は、間違いなくピットアウトだった。ファンファーレが鳴る前から、スタンドの人々の様々な声が漏れ聞こえた。
「インは石川で決まりやろ」
「ちゃんと獲れるんかなぁ、守田」
「池田は3コースの方がいいだろ」
「守田の1号艇だからなぁ、池田だったら2コースでもアタマから思いっきり勝負するんだけどなぁ」
 失礼な。とにかく、スタンドは進入予想で大いに盛り上がっていたわけだ。私も昨日から何十通りもの進入隊形を脳内に思い浮かべたし、おそらく全国の多くのファンもピットアウトの瞬間に思いを巡らせたことだろう。

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 そして、ファンファーレとともにたったひとつの“正解”が導き出された。石川も井口も昨日までのようなバナレが来ない。ほぼ横一線に6艇が飛び出したとき、スタンドのあちこちから今度は奇声のような声が漏れた。もっとも印象的だったのが、若い兄ちゃんのこんなセリフだ。
「マジ? フツーーー????」
 そう、石川と井口が飛ばずにオーソドックスな待機行動になった。そうであることに「フツーーー????」とメチャクチャ驚く若者。その光景が、実になんとも面白かったな。
「枠なりか?」
「だったら守田で決まりじゃん!」
 漏れる漏れる、沸く沸く。ごくごく当たり前の枠なり3対3で、これほどファンが驚いたSGの待機行動を私は他に知らない。当然のことだが、今節の石川真二の大暴れがファンの間に浸透していたのだ。今日はたまたま「フツーーーッ????」だっただけで、石川は次節や次々節あたりの優勝戦で脱兎の如く飛び出すことだろう。あまり記念に斡旋されない印象のある石川だが、今後も是非とも大きな舞台で「枠なり当たり前」の風潮に風穴を開けてもらいたい。今節は本当にあなたと愛弟子・西山(笑)のお陰で楽しかったです、石川先生!!!!

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 実況の高橋アナまでが「意外や意外!」と叫んだフツーの枠なり3対3で、もっとも有利になったのは1号艇の俊介だ。と言うか、そうなってしまえば、今節の俊介33号機が負けるはずもない。スタート野郎らしくゼロ台のトップスタートで1マークを先制し、4カド元志の絞めまくりをシャットアウトして一気に他の5艇を千切り捨てた。
「単発のSG優勝にはフロックもありえるが、2度目の優勝はフロックではない」
 よく聞く言葉だが、2度目のダービー制覇で俊介の実力をフロック視する人は激減することだろう。「早熟の遅咲き天才」守田俊介が3年前から変わったこと。かつては54キロ前後で走っていた体重を、常に51キロ前後に保つようになった。ほとんど寿司を喰わず、ガリだけを食べるようになった(笑)。あちこちのGI斡旋を、しっかり受けるようになった。そして、ほとんどしたことのない大きな整備も、整備士と相談しながら積極的に取り組むようになった。などなど、ダービー王としての自覚が俊介のライフスタイルやレーススタイルに浸透し、それらが結実して2度目の戴冠につながった。勝手に私はそう思っている。あ、いや、私の願掛けが一番利いたんですけどね!

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 前回の賞金全額を震災関連に寄付した俊介。母親孝行として知られる俊介だけに、今回の賞金は、少なくとも半分はお母さんのために使ってもらいたい。そして、残りの半分ほどは、平和島界隈に出没する博才のないドロドロ舟券オヤジのために貢いでもらいたい(笑)。
 おめでとう、俊キチ!!(text/畠山、photos/シギー中尾)