BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――居残り!

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 芦屋の帰宿1便は10R終了後に出発。といっても、宿舎は隣接しているので、徒歩移動となる。集合場所から徒歩20歩くらいで宿舎の通用門に到達するので、あっという間である。今日、1便で帰った選手は4人。4人!? そう、たったの4人だけなのであった。これは珍しいというか、異例といっていいほど少ない人数だ。ちなみに、山崎智也、前本泰和、平尾崇典、湯川浩司であった。
 今節参加選手は男女合わせて54人。つまり、50人がピットに残ったということになる。出走レースを残している選手は12人だから、38人は別に帰ってもかまわないのに帰らなかった。これをスーパー勝負駆けと結びつけて考えるのは短絡に過ぎるかもしれないが、しかしこれが最後の山場なのだから、絶対に悔いを残さない調整作業をしたいと考えるのは自然というものだろう。

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 なにしろ、あの松井繁も最後の最後まで試運転をしている。10R発売中にはいったんボートを上げたので、これでおしまいかと思いきや、ギアケースの調整をしてふたたび水面へと降りていった。初戦6着と大敗で勝負駆けを始めてしまった松井。今日の後半もそうだが、明日からのすべてのレースが本当に勝負駆けだ。雰囲気は決して暗かったりナーバスだったりはしないものの、王者の名にかけても負けられない一戦に、自然と作業時間は長くなるというものだろう。

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 石野貴之も、松井と足合わせをするなど、遅くまで試運転をしていた。こちらは2着3着の好発進だが、エース42号機をさらにしっかり仕上げるための念入りな調整&試運転だろう。レースを終えたあととあってか、今朝に比べてリラックスしたムードに見える。足合わせを何回か繰り返していた同期の吉田拡郎との会話は、終始笑顔であった。吉田も感触はいいのだろう、同期同士の心やすさもあってか、軽口も飛ばし合っていたようだった。

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 そのほかに遅くまで試運転をしていたのは片岡雅裕、中野次郎、平本真之、坪井康晴。松井と片岡が情報交換をしていたのだが、この組み合わせはなかなか新鮮であった。女子選手が遅くまで試運転、というのは日常の光景で、今日ももちろんその姿が多く見られた。しかし今日は同じくらい、SGの選手たちも水面に出ていた。やはりこれがチャレンジカップ、という気がする。

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 10R、湯川浩司が6着大敗。いったんは3番手争いを繰り広げていたはずが、大きく着を落としてしまった。前半2着だっただけに、この大敗は悔しい。そして、その落胆ぶりはふだんの湯川の敗戦時より大きく見えていた。6着選手のエンジン吊りが明るい雰囲気になるわけがないが、松井や石野、木下翔太らの表情もどこか冴えなく見えていた。湯川は現在賞金ランク23位だから、予選落ちは絶対に許されない。明日からは、この分を取り戻し、巻き返す戦いになるだろう。

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 整備室では西山貴浩が本体整備をしていたが、女子では落合直子も長く整備室にいた。今日は1R1回乗りだったから、その後は一日たっぷりと時間をかけて、調整作業にいそしんだことになる。落合は賞金ランク14位で、12位の寺田千恵とは約150万円の差がある。寺田や11位の守屋美穂、10位の竹井奈美もここにきていることを考えれば、F休みで9位の細川裕子を超えたいところ。ここまでは約200万円差があるので、絶対に予選落ちするわけにはいかないということになる。その状況はもちろん落合も知っているだろうから、時間はいくらあっても充分ということはなく、必死の調整を進めていたわけだ。初戦は4着。明日はもちろん、勝ってポイントを上積みしたい。

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 11Rのドリーム戦で勝ったのは小野生奈。レース前の整列時、敬礼の号令をかけるのは1号艇の仕事。今日もピットに「けいれーいっ!」というとびきり元気な声が響いていた。勝って凱旋し、エンジン吊りが終わると「ありがとうございましたっ!」とやっぱりとびきり元気な声。こうした緊張感あふれる舞台にあっても、元気娘っぷりは変わらない。小野の場合は今、グランプリシリーズ出場の勝負駆けでもあって、SGの舞台を目指すのであれば負けられない戦いではある。シリーズ出場がかなえば、年末は超ハードスケジュールとなるわけだが、そんななかでも元気いっぱい駆けるのだろう。平和島で会えるのは間違いないが、やっぱり住之江でも会いたいですね。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)