11R 男子準優勝戦
グラッツェ!
ということで、男子予選トップの上條暢嵩が順当に逃げ切って、優勝戦の1号艇を手にした。格的にルーキーズの中軸と目された上條がポールポジションとあらば、足的に言っても死角がないように思える。上條自身も実にリラックスした雰囲気で、これが一般戦なのだと改めて認識してみれば、プレッシャーは限りなく小さいと考えていいだろう。
2着の三浦敬太は優勝戦3号艇。こちらもパワー上位だから、同じく精神的に余裕があるように思える。昨日だったか一昨日だったか、朝のピットは凍えるような寒さだったが、北海道旭川市出身の三浦は平気の平左(?)。「旭川のほうが断然寒いですよ」って、そりゃまあそうでしょ。ということは、他の選手が寒さに震えているのなら、その分も有利だ(?)。
今節、おおいに名前を売ったのが梅木敬太だ。来期適用勝率は3・77のB1級選手。しかし山口剛が前節の周年で優勝したモーターを相棒に、若手B級とは思えないレースを随所で見せている。準優も、2マークで中村泰平を見事に逆転。ちなみに、前半1Rは抜きで1着となったが、これがデビュー以来初めての「決まり手抜き」での1着。1着の決まり手は圧倒的にまくりが多いということは覚えておきたい。明日はそれでも伏兵的な立場となろうが、優勝戦の雰囲気に呑まれさえしなければ、大仕事を成し遂げてもおかしくない。なお、これが2度目の優出。
12R 女子準優勝戦
ピットアウトしてしばらく経ったとき、スタンドから大きな大きな声援がピットにも届いた。橋谷田香織が、「何? 何?」と訝しむ。「美亜ちゃんガンバレー、って言ってましたよ」と教えたら、「もぉ~、大丈夫だってぇ~、頑張るに決まってるんだからぁ~」。いや~、橋谷田さん、素敵です。そして、橋谷田が言ったとおり、今井美亜は頑張った。1マークでは新田芳美に差されたものの、2マークでしっかりと捌き返す。スピードとかパワーとかよりも、気合が伝わってくるような逆転劇であった。紅組団長として、優勝戦でもレディースを牽引する立場と自任してもいるだろう。
新田は残念だった。日高逸子にも抜かれて3番手に後退し、さらに2周2マークでは竹井奈美にも逆転されてしまう。切り返してきた竹井が目の前でキャビったのも不運だった。それを見た橋谷田さん、「九州の女は強いっちゃねぇ~」。ほんとですよねえ。そして橋谷田さんは素敵です。レース後の新田は、さすがに落胆した表情を見せていた。開会式では「団長についていく」と宣言した新田、一緒に優勝戦に乗って最後までついていけたら最高だったのだが。それでも明日は、特別選抜A戦で、レディースに8ポイントをもたらすための大事な役割がある。奮闘を!
竹井はやはり新田に頭を下げに行った。逆転優出ながらも弾んだ雰囲気がなかったのは、やはり先輩に対する申し訳ない思いもあったことだろう。日高逸子は、一通りの作業を素早く終えると、誰よりも早く、それもかなり早く、控室へとスタスタと戻っていった。さすがグレートマザー、仕事も早い。橋谷田が言ったとおり、九州レディースが優勝戦に2人乗った。一発逆転の12ポイントをレディースにもたらせるかのキーウーマンは、この福岡コンビかもしれない。
さてさて、本日は最終日前日ということで、レースを終えたボートを洗浄する作業が行なわれている。男女が入り混じってテキパキと進められる作業で、ここには団体戦のコンセプトはまったく介在しない。いや、むしろ男子が女子を労わる、というほうが正しいか。当たり前だが、ボートはなかなか重い。艇底部を洗浄する際にはボートを2人1組でひっくり返すのだが(一人が舳先を持ち、もう一人が艇後部をもって、いっせのせでひっくり返す)、ふつうはそのボートを使っている選手が後部を担当する。ただ、こうした力仕事はやはり女子には重労働。ということで、ルーキーが率先して先輩と(時には後輩とも)交代して、艇後部を受け持つのだった。それは俺たちの仕事っすよ、とばかりに。
最終レースのボート洗浄も素早く行なわれ、4日目終了。いよいよ明日は最終日だ。優勝戦と特別選抜戦にはボーナスポイントも用意されている団体戦。現在のところルーキーズがレディースを引き離しているが、まだまだ逆転のチャンスは残されている。個人優勝は果たして誰か。団体優勝はどちらが笑うのか。明日は平日の月曜日ではあるが、そのゆくえにはぜひとも熱い注目を!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)