BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江グランプリTOPICS 4日目

 今日はシリーズ戦の勝負駆けからスタート。

THE勝負駆け①予選トップ争い
韋駄天・平尾が止まらない!

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 昨日から参入したトライアル勢が点増しの利を生かして上位独占かと思いきや……初日から観衆を沸かせ続けているあのノビーールマンがトップの座に君臨した。本人には申し訳ないが、君臨してしまった、と言うべきか。
 昨日までトップの石野貴之が前半1Rを2着と手堅くまとめ、節間9・20で首位を堅持。総理杯の勝負駆けでもある石野は、是か非にもポールポジションを獲りたいところ。暫定2位の平尾崇典が7Rで重い着を拾えば、かなり有利な立場になったのだが……。

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 その7R、2コース平尾の凄まじかったこと。モンスター級の伸び足を意識して起こしから溜め過ぎたが、スタートは最も遅いコンマ22。ところが、だ。スリットからぐんぐん伸び、1艇身近く前にいた上野真之介を軽々と交わした。そのままじわりと絞めて、「まくるぞ」オーラを発光。1着条件で負けられない上野が張り気味に先マイして流れると、すかさず差しに切り替えてバック最内を突き抜けた。そのストレート足も凄かったなぁ。

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 この平尾1着で、今度は石野の尻に火が点いた。もはやトップ争いは一騎打ちで、9Rの石野が②着なら石野、③着以下なら平尾というシンプルな構図になった。いざ9R、それを熟知していたであろう6号艇の石野は気合の前付けで2コース奪取。だが、4カドの前田将太が絞めまくり、さらにダッシュ勢がドカドカ押し寄せて石野は4着まで。この瞬間に平尾の予選トップが確定した。
 うーーーん、本当に平尾には申し訳ないのだが、このまま逃げ~逃げの優勝であって欲しくない、が私の正直な心持ちだ。今節、私がトライアル以上に楽しませてもらったのが平尾のスーパー伸び足であり、徹底して握って攻めようとする平尾の姿だった。この愉しみを、優勝戦まで味わい続けたい!! ってなわけで、明日の準優はうっかり2着になってくれると優勝戦4号艇が確定するのだが……平尾様、本当にすいまっせん!!

THE勝負駆け②準優ボーダー争い
痛快まくり決着、連発!

 この2日ほどインが強すぎるわダッシュ勢がまったく奮わないわ、正直、いささか辟易としていたのだが、今日は勝負駆けのダッシュ選手がド迫力の攻撃で見事に難関をクリアした。

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 まずは9R3号艇の前田将太。前出6号艇・石野の前付けを受け入れた前田は、迷わず4カドを選択。②着条件だけにコースの利も魅力的だったと思うが、カドからのスタート勝負に賭けた。そのスタート、コンマ06! さらにカド受けの長田頼宗がコンマ23とあっては勝負あった。一気に内に舳先を傾けた前田は、長田のみならず予選トップに燃える石野&①着勝負駆けイン赤岩善生のトライアル組を瞬く間に引き波にハメてしまった。電光石火の勝負駆けまくり、天晴れの一語だ。

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 続く10Rは、枠なり3対3から4カド寺田祥(②着条件)の男気が火を噴いた。こちらのスリット隊形はほぼほぼ横並び、とても4カドからの仕掛けが利きそうになかったが、それでも行くのがテラショーだ。ダッシュの利を生かして、上体を上下に激しくしゃくりながらの強引な絞めまくり。内3艇はこのド迫力に気圧されるように首を引っ込め、メチャクチャ無理筋に思えた一撃まくりを成功させた。さすが2カド攻撃もやらかす勝負師だ。4-5-6というアウト戦隊が前を走る光景は、1-2-3の隊形を見慣れた脳に心地よいそよ風を送り続けていた(笑)。うん、今日の勝手に勝負駆けMVPはこのふたりのショウタイムで文句なし。マエショー、テラショー、ハラショーー!!!!

 さてさて、続いてトライアル戦のダイジェストなのだが、なんというか、かんというか……。

たったひとつの交錯

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11R

①馬場貴也(滋賀)11
②岡崎恭裕(福岡)09
③毒島 誠(群馬)12
④桐生順平(埼玉)12
⑤守田俊介(滋賀)10
⑥笠原 亮(静岡)14

 GPトライアルは枠番抽選によってレースの波乱度が激変する。特に6号艇を強いられた選手が影響を与えやすいのだが、今日の6号艇は2戦ともに前付けを常としない選手。このレースの笠原もピットアウトから動く素振りを見せず、すんなりの枠なり3対3に落ち着いた。

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 こうなると、欠点の少ない超一流レーサーの戦いだけに、内寄りが断然有利になる。このレースもスリットがきれいな横一線。外からの仕掛けがままならないうちに、びわこの韋駄天・馬場貴也がすんなり逃げきった。今日の勝因はパワーとはほぼ無縁に、コースの利だったと思っている。

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 馬場に続く面々も、内から順に動いた選手が優位なポジションを確保した。そして、ターンごとに徐々に縦長の展開になっていく。ほとんど接戦のないレース展開になったわけだが、そんな道中でたったひとつだけ逆転劇が生まれた。2周2マーク、3番手を走る毒島を4番手の桐生が差し抜けたのだ。今節3度目の桐生の逆転劇。

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 ただ、この逆転をもって「毒島<桐生」と決めつけるのは早計だろう。今日の住之江水面は、どうしたことか2マークに魔物が潜んでいるようだった。さほど無理のないターンに見えたのに、先行艇の引き波をなぞった瞬間に失速、キャビテーション、振り込みといったアクシデントが相次いだのだ。このレースの毒島も、引き波をなぞった瞬間に左右にバランスを崩して減速。一方の桐生はほぼ直進の差しで引き波を影響を受けていなかった。もちろん、引き波にハマったという時点で毒島68号機の実戦足を疑うべきなのかも知れない。ただ、今日は最終ターンマークの小野生奈などなど、同じような光景が多すぎたので、単純に調整ミスやパワー不足とは断定できない気がしてならない。
 このレースで、分からないなりにパワー比較ができた材料はこの両者の交錯のみ。あとはただ縦長の展開を眺めるだけで、多くを語ることはできない。「コースの利」という近代ボートレースの重要なファクターが大きくモノを言った一戦だった。

謎だらけの節イチ決定戦

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12R

①井口佳典(三重)12
②白井英治(山口)03
③吉川元浩(兵庫)05
④菊地孝平(静岡)08
⑤峰 竜太(佐賀)06
⑥中島孝平(福井)06

 こちらもまた実に穏やかな枠なり3対3。11R同様、スタート横一線なら井口が逃げて白井が差しての1-2決着が濃厚な待機行動だった。が、このレースはスタートで波乱の芽が生じる。大本命、井口がまさかのスタート遅れ。

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 いや、遅れたと言う表現は正確ではない。井口のタイミングは↑ご覧の通りのコンマ12。まさに11Rなら横一線だったのだが、このレースは他の5選手がゼロ台まで踏み込んだ。特に白井はキワキワのコンマ03! このタイミングで来られては、インの井口としてはたまらない。しっかり伸び返して先マイこそ果たしたが、まくり牽制で内へと寄ったためにマイシロがない。回った瞬間、先行して余裕たっぷりの白井の鋭角差しをモロに浴びた。一言でいうなら、白井のスタート勝ち。たまにやらかす白井の馬鹿っ早いスタート勝負が、ものの見事に決まった……はずだった。

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 嗚呼、今日の2マークにはどんな魔物が棲んでいたというのか。バック直線でガッチリ井口をブロックした白井は、内から忍び寄った吉川をほぼ全速の抱きマイで交わした。そのまま直進すれば突き抜けると思った瞬間に、まさかのキャビテーション。艇が左右に暴れて、あっという間に吉川&井口に置き去りにされていた。先行艇の引き波のない水面で、ほとんど直進態勢に入ってからのキャビテーションって……白井アタマで「どれでも来い!!」的な舟券を買っていた私の悲鳴が、読者の耳にも届いただろうか(裏なし、号泣)。

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 白井だけに留まらず、その後も謎の?ターンミスは続く。次の2周1マークでは2番手の井口が妙に不自然なターンで白井の最逆転差しを喰らった。昨日の追い上げ足があれだけしっかりしていたのに、なぜあんなぎこちないターンが……もう、白井といい井口といい、調整ミスなのか単なるターンミスなのかGPプレッシャーによるメンタル面の不協和音だったのか、ちっとも分からない。このレースを「GP節イチ決定戦・第1戦」などと思ってはしゃいでいた私は、ただただ沈痛な心持ちで両者のアレを見つめていた。あるいは昨日、鬼足と確信した私の見立てそのものが間違っていたのか……??

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 明日の11Rでも③井口④白井と隣り合って戦うふたり。もはや「節イチ決定戦」と呼ぶ気力すら失っているのだが、「井口が自慢の伸び足を活かして絞めまくり、白井が自慢のレース足でマーク差し」という展開で、美味しい舟券を提供してもらいたい(苦笑)。勝った吉川のレースっぷりやゴキゲンな行き足についても言及したいのだが、今日はこれで勘弁してくださいまし。(text/畠山、photos/シギー中尾)