BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川バトルトーナメント優勝戦 私的回顧

ファンと歩んだ大記録!

12R優勝戦
①赤岩善生(愛知)14
②田村隆信(徳島)17
③森高一真(香川)17
④桐生順平(埼玉)13
⑤上田龍星(大阪)11
⑥石渡鉄兵(東京)16

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 赤岩善生がインからしっかり押し切り、10度目の完全Vを成し遂げた。「ひまひまデータ」さんによれば、96年以降で今村豊の9回を抜く新記録だとか。赤岩は言わずと知れたSG常連レーサーだが、「一般戦の追加斡旋を断ったことがない男」としても有名だ。そこには赤岩なりの信念やポリシーが介在するわけだが、一般戦に足を運ぶファンからすれば「赤岩は我々をおろそかにしない男気のレーサー」と思う方々も多いだろう。

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 つまり、赤岩善生は、このファン感謝3daysの頂点に立つにもっとも相応しい男なのではないか。「10度挑戦して10度目の完全V」という大記録を目の当たりにしながら、そんなことを考えた次第だ。
 レースを簡潔に振り返ろう。進入は大方の予想通り枠なり3対3。4カドの桐生と5コース上田がわずかにスリットから伸びて行ったが、一目散に逃げる赤岩には届かない。1マークの出口で後続を2艇身以上千切り捨てた赤岩だったが、最大のピンチは2マークに待ち受けていた。

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「ここをしっかり先取りすれば必勝!」とばかり慎重に旋回したところ、2番手の桐生が凄まじい全速の差しハンドルをぶっ込んできたのだ。その勢いたるや、一瞬だけ舳先がぴったり並んだようにも見えたものだが、出口から押して行く足は赤岩が上。やや窮屈な差しになった桐生は赤岩の引き波をなぞる形でズルリと後退した。うーーん、恐ろしい男だ。赤岩もさぞや肝を冷やしただろうが、この3日間で出口からの押し足を仕上げきった勝利でもあった。1年に1度の短期決戦フェスティバルでの大記録達成、おめでとう!

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 さて、前にも書いたかもしれないのだが、このバトル・トーナメントの最大の弱点は3日目、つまり今日だったと思っている。1R~9Rまでが一般戦(敗者戦)、10R、11Rが選抜戦、12Rが優勝戦という番組の流れは、通常の一般シリーズの最終日と何ひとつ変わらない。初日(トーナメント)と2日目(復活戦&セミファイナル)があまりにドラスティックかつスリリングなため、レース進行にほとんど何の工夫もない3日目がひどく退屈に感じてしまうのだ。尻切れトンボと言うか、画竜点睛を欠くと言うか……。全国24レース場がそれぞれイベントを催していると知りつつ、もっともっとファンに近い1日にならないものか。

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 おそらくレース番組そのものを劇的に変化させることは難しいので、最終日こそ「ファン感謝デーMAX」などと銘打って、各場の地元のスターレーサーや人気の若手レーサーなどを本場に多数招聘し、ファンとの様々な交流イベント(ペアボートやチャリティオークション、握手会、ゲームetc)を設けてみたらどうだろう。最後の最後までファンの皆さんが「本場(または最寄りのレース場)に行って良かった、楽しかった、来年も絶対に行きたい」と思わせる最終日にしてもらいたい。まあ、「優勝戦だけあれば十分だろ!」と言われれば、返す言葉に窮するのだが。(photos/チャーリー池上、text/畠山)