BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――前検からペラ叩き

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「SG初出場の選手たち、みんなSGカッパ着てますよ。初々しいっすね~」と池上カメラマン。見渡してみると、たしかにその通り(脱いでる時間帯もあったけど)。やっと袖を通すことが許されたSGカッパ(ジャンパー)、それは感慨深いものがあるだろう。デビュー4年ほどでここに辿り着いた関浩哉。同期では仲谷颯仁がすでにSGデビューを果たしているが、それにしても最近のルーキーでは早い出世である。一方、中越博紀はデビュー15年でついにSGの舞台に足を踏み入れた。これまでの努力の積み重ねを思えば、SGジャンパーを手にした喜びはいかばかりだったか。そりゃあ着ちゃいますよ、いきなり。むしろ胸を張って着るべきだ、とさえ思います。

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 中越と同期の馬場貴也はグランプリジャンパーだ! SGジャンパーを着ることができるのも選ばれし者に違いないが、グランプリジャンパーはさらに選ばれし者たち。かつて赤岩善生は、「グランプリジャンパーを持ってはいても、グランプリに出られなかった次の年に着ることはできない」とこだわりを語っていた。そのへんの信念は選手それぞれだろうが、これを着るものの恍惚と不安、二つ我にあり、といったところだろう。馬場は今年のSGで、初めてこれを着て戦うことになる。その重みを感じながら1年を過ごすわけだ。

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 ところで、好モーターを引いたはずの磯部誠の表情が冴えない。SGはこれが4節目だが、これまでは凡機に手を焼いてきた印象の磯部、ようやく手にした評判機だというのに。なんでも、かなり特殊な形のプロペラがついていたとのこと。磯部の引き出しにない形なのだろう。叩き直すにしても時間がかかりそうだし、決して手放しで喜べる状態ではないようだ。前検航走後はさっそくペラを叩き出している。

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 ペラ調整室では星栄爾が思い切り木槌を振るってもいた。その叩き方がなんとも激しく、ハンマーを頭の上まで持ち上げて、相当な勢いをつけて振り下ろしていた。星といえば、現在屈指のまくり大王。センター筋から伸びて一撃、が必殺技だ。それは、星独特のペラの形を見つけた出したことで可能になった。そして、SGの舞台にまで星を連れてきた。どのレース場に行っても、その形に叩くことが武器をピカピカに磨くことになっているわけだ。明日は7R4号艇。ここまでに間に合えば、カドまくりも充分にありうる。どこまで仕上げられるか楽しみだ。

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 55号機を引いた笠原亮もプロペラを叩き始めていた。ここ何年かの笠原といえば、序盤はいい感じなのに、叩いているうちに迷路にハマって尻すぼみ、というパターンが何回も見られた。僕を含め親しい報道陣は何度「ノーハンマーじゃダメなの?」と問いかけたことか。しかし、ギリギリまでペラを叩いてレースに臨むのが笠原のスタイル。それが必ず正解を見つけ出す近道だと信じているのだ。今日も、僕たちは「ノーハンマーで!」と懇願(?)したのだが、笠原はやっぱり叩く。それが正解を出して、笠原の爆発力を引き出すことを僕らも信じよう!

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 整備室を覗くと、久田敏之が本体を割っていた。大きな整備とも見えなかったが、前検から本体を割るというのはあまり見ない光景ではある(赤岩は別)。今日はあまり手応えを感じられなかったか? 明日の様子にも注目したい。

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 ドリーム選手の記者会見で、井口佳典が「連覇を狙ってますから」と、やや冗談めかしつつも宣言した。この強い言い切りが井口の魅力! 多くの選手は連覇について問われると「意識しませんが、できたらいいですね」くらいのコメントを出すものだが、井口はハッキリと断言したのだから気持ちいい。クラシックの連覇は、過去に西島義則ただ一人。それを井口は意識しているのだ。「登番も1000番違いやしね」。西島3024、井口4024! そういえば! しかもそろってヨシノリとは。連覇した暁には、原稿が書きやすくなりましたね(笑)。ちなみに、スタート練習から上がってきた井口はとにかく明るかった。笑顔満開だった。手応えも悪くないはずだ。連覇への道、追っかけてみようか。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)