BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――舟券に貢献!

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 グラッツェ! 8Rで木下翔太が2コース差しで快勝。BOATBoyの一般戦ウォッチャー・三島敬一郎がこの3マンシュウをずばっと当てて、スタンドで「翔太、グラッツェェェェッ!」と叫んだ。それをピットで木下に報告。「マジッすか! 貢献できてうれしいです!」と顔をほころばせた。今日はたっぷり奢らせてやりますよ、と付け加えたら「いっぱい呑んでくださいねっ!」。今日は舟券ボーズだったし、ヤケ酒だーっ!
 選手は、まずはもちろん自分の勝利のために走る。そしてこれももちろん、舟券を買うファンのことも脳裏にある。自分が勝ったレースの舟券をファンが買っていたと知れば、すごくテンションが上がるのが選手たち。これがウィンウィンってやつ? だから公開勝利者インタビューのときなどに、その選手から買って的中していれば「ありがとー!」と声をかけるときっと選手は喜ぶはずですよ。

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 岡崎恭裕も、「舟券を買ってくれるファン」を非常に意識している一人。彼からは何度か、その思いを聞いたことがある。岡崎は、たとえ道中で後手を踏んでも、少しでも着を上げるため、あの手この手を駆使してみせる。それも舟券を買ってくれるファンのため。だから、少しでも着を上げるためというよりは、なんとか舟券圏内に這い上がるため、というほうが正確だろう。今日は9Rで待望の1着。レース後はクールなたたずまいではあったが、自分の勝利、そして自分を一番人気に押し上げてくれたファンに応えられたこと、その両方を喜んでいたはずだ。

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 笠原亮も、もともとはもっとスポーツライクに考えていたものが、自分を買って応援してくれるファンの気持ちを知り、舟券というものを強く意識するようになった。初戦逃げ切りのあと、やや消化不良だったが、今日はまさかの6着2本。どちらかというとネガティブシンキングなところがある人だと僕は思っているが、落胆も大きいように見えた。これはまずもちろん、大敗続きで予選突破の目が薄くなってしまったことへの落胆、であろう。6着2本ではさすがに、舟券うんぬんに思いは及ばないかもしれない。だからこそ、今節はどこかで大穴を! そのときには、自分を買って大儲けした人のことを思い、少しはテンションを上げられるだろう。ワタシ、買い続けますので、当たったら報告してみますね。

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 では、敗れたあとに笑顔を見せるのは、自分の舟券を買っているファンを無視しているのか、といえばそうではない。まずは自分が勝つために走る選手たちは、その敗戦に苦笑いを浮かべてしまうことも多々あるということだ。11R、3着に敗れた白井英治が珍しく笑顔を見せた。今村豊師匠にもさんざん突っ込まれて、笑うしかないという苦笑いだった。白井は2番手競りとなった2マーク、茅原悠紀のツケマイを浴びて3番手に後退している。JLC解説者の山口雅司さん曰く「内から④が来ていたし、落とし過ぎだね。それで茅原の引き波にハマった。白井にしては珍しい」。そう、珍しいから周囲もツッコミを入れるということだろう。笑みは見せたが悔しいものは悔しい、ということで、周囲と別れて控室へ戻る白井はうなだれていた。明日こそは、そう気持ちを奮い立たせる敗戦であったと思う。

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 12R、新田雄史は渾身の二段まくりを決めて快勝。まさに会心の勝利だったと思うが、新田は意外と淡々としていた。畠山は極撰当てたと大威張りだが、新田は勝ってもそんな態度はとらないのである。待機行動違反で減点をとられており、それを取り戻すために必死の一撃でもあったか。すごいレースだった、と新田に声をかけても、「いやいやいや、エンジンエンジン」。エンジンが良くてもなかなかできるレースではないですよね。それでも新田は尊大にはならないのだ。わかったか、畠山。それでもきっと、この勝利で美味しい思いをしている人がいると知れば、新田もきっと喜んでくれることだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)