BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖ボートレース甲子園TOPICS 初日

奥州のジャイアントキラー

 ボートレースに馴染みの薄い“辺境地”の人々に、ほんのちょっぴりでもボートレースの面白さを伝えたい。
 全国ボートレース甲子園の存在を知ってから、北海道出身の私はそんなささやかな野望を胸に抱いた。だから、今節はできる限りそんな地域のレーサーたちにスポットを当てるつもりだ。とりわけ、私と同じ雪国で育った選手に肩入れすることを許していただきたい(笑)。
★今日のMVP=萬正嗣(宮城出身、群馬支部)

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 あっと驚く747倍の大萬舟!! 7Rは①赤岩善生、②須藤博倫、④篠崎元志のSG常連トリオに人気が集中したが、奥州の伏兵が5コースからそれらの強豪を一撃で蹴散らした。その勝ちっぷりが実になんとも素晴らしい。まずはスリットから伸びなりに4カドの篠崎を叩き潰し、さらに3コース金子和之もツケマイで引き波にはめ、内2艇の競り合いを横目に迷いのない全速のまくり差しで突き抜けてしまった。直近1年の萬の5コース成績はわずか1勝&2連対率5・4%だからして、まさに乾坤一擲の激差しと言えるだろう。
「いやぁ、展開がズッポリはまりました!」
 レース後のインタビューでこう謙遜して見せたが、自力で攻めきったからこその大金星。さらに言うなら、昨日53・5kgで浜名湖入りした萬は、今朝の計量までに51・3kgまで体重を落としている。一晩で2・2kgの減量は、全52人の中で断然トップ。東北人らしい忍耐強い性格が見て取れるし、この減量があればこそのシャープなまくり差しとも言えるだろう。ある記者さんから、こんな逸話も耳に届いた。
「今日は息子さんの誕生日だったそうで、勝てて良かったとめちゃくちゃ喜んでました。(今日の賞金で?)プレゼントを買って帰ります、とも」
 子煩悩でもあるのだな。こうなったら最終日に450万円をぶん取って、超豪華な誕生プレゼントを買ってもらいたい(笑)。ちなみにこのレースの2着もボートレース辺境の高知代表・片岡雅裕。6コースから萬の攻めにしっかり連動し、切れの良い2段のまくり差しで大穴の片棒を担いだ。
 え、辺境地レーサーを応援してるんだったら、この5-6の辺境コンビ舟券も召し取っただろ?
 うーん、ハナから①②④ボックスで堅いと思った私は、舟券を一枚も買わずにケンしておりました、すいませんっ!

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★高橋直哉(秋田出身、東京支部)&今井美亜(富山出身、福井支部)
 8Rの1周2マークから④高橋vs⑥今井の熾烈な3着争いが勃発。なんとなんと丸々2周半にも及ぶ舳先を揃えたデッドヒートの末、高橋がギリギリ競り勝って3着をもぎ取った。2連単は本命サイドの560円なのに、3連単は6510円の好配当! 辺境地レーサーの2・3着の破壊力を見せつける3着だった。ちなみに、ふたりが従えた5・6着は池田浩二と石野貴之。これらに先着して舟券に絡んだ直哉は大いに胸を張って良し!

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★三浦敬太(北海道出身、東京支部)
 人気を背負ったイン戦で、2コース太田和美に差されて2着。実になんとも特筆すべきレースではなかったのだが、同郷のよしみで写真をアップさせていただきたい。足的には十分に戦えるレベル。明日の12R5号艇(←み、見込まれたのか、単なる噛ませ犬なのか……??)こそ1着=大穴目指して、けっぱれ、敬太!

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ダービー勝負駆けを忘れずに!

 今節は熱闘甲子園の水面下で、灼熱のダービー勝負駆けも絶賛開催中だ。泣いても笑っても、今節がラストチャンス。ダービーというレースの重さを踏まえれば、今節のV争いよりむしろコッチに重きを置く選手がいても不思議はないだろう。主な勝負駆けレーサーと大雑把な着順の目安を記しておこう。

ダービー勝率と目安
★遠藤エミ 7.27 ④~⑤着平均
★★池永太 7.21 ほぼ④着平均
★★★★★重成一人 7.14 ②~③着平均
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★★★太田和美 7.11 ほぼ②着平均
★★★寺田 祥 7.10 ほぼ②着平均
★★赤岩善生 7.08  ①~②着平均
★★濱野谷憲吾 7.07 ①~②着平均
★須藤博倫 7.05   ほぼ①着
★今垣光太郎 7.03  ほぼ①着
※勝率は昨日まで。目安はボーダー7・14近辺で必要十分な着順。★の数は勝手なヒリヒリ度。

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 まず、ヒリヒリ度がMAX状態なのが重成一人だ。昨日までのボーダーが7・14で本人の勝率もドンピシャの7・14!! GⅡの今節は1点増しの恩恵があるものの、例えば3着平均(準優ボーダー)だと6点+1点=7点で少しずつ勝率が下がってしまう。以前、中道善博さんとダービー勝負駆けの話題になったとき、往年の名手はしみじみこう言ったものだ。
「ダービー勝率はなぁ、上げるのはめちゃくちゃしんどいのに、落ちるんはあっと言う間なんや」
 上記の遠藤エミはかなり安泰な数字に見えるが、最終日まで6着(1+1=2点)を並べたらまさにあっという間にダービー勝率を下回ってしまうのだ。げに恐ろしきダービー勝率!

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 一方、表の下位に目を移せば、今垣光太郎はもはや最終日までほぼほぼピンラッシュしかない崖っぷち(3111111①で約7・14)。ここまでハードルが高いと無欲の境地に達しているかも?だが「怒涛のピンラッシュ優勝+ダービーチケットGET」という超ミラクルな一石二鳥ドラマの可能性は微かに残されている。相棒の23号機は底辺から中間整備で超抜レベルに這い上がったミラクルモーターでもあり、明日以降も今垣23号機の激走に期待したい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)