甲子園ということで、どうしても出身に目が向くわけであるが、大レースとしては新鮮なメンバー構成ということもあって、ハッとさせられる絡みがあったりするわけである。たとえば、前沢丈史と池永太が笑顔で絡んでいたりすると、そうだ、97期の同期生ではないか、と気づく。97期といえば西山貴浩がピットでワイワイやっているのが目立つので、どうしても彼を中心に考えてしまうわけだが、実際はなかなかのタレント揃いで、甲子園にも茨城代表と宮崎代表でしっかり登場するわけである。ふるさとを背負いながら、期の代表としての意地も見せつけたい。
石野貴之、萬正嗣、多田有佑が実に楽しそうに談笑している。大阪代表、宮城代表、山形代表の珍しい絡み……と訝しく見ていたわけだが、こちらは90期の同期生なのである。石野と萬が新鋭王座で一緒だったことはあるはずだが、それももう10年以上前のこと。それ以来ふたりの絡みは見ていないわけだし、多田は新鋭王座に出ていない。だから、瞬間的にその関係性が頭に浮かばなかったというわけなのだ。顔を合わせれば、石野が突出した実績を残しているとかはいっさい関係なく、同期の桜に戻っていくわけだ。
今日の終盤ではなく、それこそ昨日だったかに見たものだが、渡辺浩司と高橋直哉の絡みも93期同士だったのかと今さら気づく。そうか、長田頼宗とは同支部同期か、とも気づいたりするわけだが、二人の絡みはまだ見てないな。まあ、東京支部は今節、人数が多いですから。
そうなると、ひとりポツンとしていることが多い立具敬司は心細さがあったりするのだろうか、とも考えるわけである。今節は登番が最も若い116期生。同期は参戦していない。同支部である大阪勢は他に3人いるわけだが、それが太田和美、湯川浩司、石野貴之なのだから、最も若い石野とも26期離れている立具としてはそう気安く話しかけられなくても仕方ないだろう。12R発売中、新兵の仕事を一通りこなして、ボートリフトの脇から水面を眺めている立具がいた。レース直前までひとり、そこでたたずむ。今日は暑かったから、仕事が終わったのなら控室で涼めばいいんだけど、ものすごい先輩たちばかりで逆に気づまりしちゃうんでしょうかね。なんであれ、これは素晴らしい経験だ。明日も同様だったら、ちょっと話しかけてみよう。
で、立具もこうであればいいなあ、と思うのが野中一平。終盤、峰竜太がゲージ擦りをする隣に陣取って、ずっと峰の話に聞き入っていたのだ。野中は115期でやはり同期参戦ゼロ。しかしこうして、他支部のとてつもない強豪に食らいついている。まあ、アロハつながりというかサーフつながりというか、気安く話せる関係性もあるのだろうが、野中にとって大きな学びになっているのは間違いないと思うのだ。同支部の池田浩二もかわいがっているようだし、陸でもやっぱり戦いの芽があるのだと実感した次第。ん? まさか峰と野中、サーフィンの話していたわけじゃないよね? 野中の顔が真剣極まりなかったので、そうではないと思うけど。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)