無傷の3連勝でレディチャン3日目に挑んだ大山千広。前半7Rは角ひとみのまくりに乗っかって、まくり差し一閃で1着。女王経験者の新田芳美、クイクラ覇者の遠藤エミを破り、連勝を4に伸ばした
昨日と同じく、私はペラ調整室のモニターでレースを見ていた。同じモニターを見ていて選手の面々は、その強さにもはやあきれ顔だ。12Rに1号艇で対決する田口節子も室内にいたのだが、
「次、私かぁ……」
といった感じで苦笑い。
大山の凱旋をリフトで待つ間も、その強さに驚く声があちこちから聞かれた。昨日のレースで大山に負けた寺田千恵は、
「一緒に走ってみ。勝てる気しんけん」
と周囲にいた選手に話しかけていた。
惜しかったのは角ひとみだ。スリットでコンマ07まで踏み込み、コンマ02スタートの大山に絞らせなかった。ただしこの形だと、差されるのを覚悟でまくりに行くしかない。余談になるが、大山の母と角は同期。結果的に連勝をアシストすることになった。
ピットに戻って来た角は、
「エラい、エラい」
と横にいた日高逸子に声をかけられ、そのレースぶりを慰められていた。
9R終了後には清水沙樹の水神祭。清水は2014年三国レディチャンでG1初出場を果たすも、このときは2着が精一杯。その後G1出場から遠ざかっていたため、これがG1初出場から5年越しの水神祭となった。
どうやら清水は泳げないよう。水際には胴着が用意されている。渡辺千草、廣中智紗衣など東京支部の選手らを中心に人が集まって、そろそろ水神祭を始めるかという段になって、
「待って~!」との声が。
声の主は確認できなかったが(たぶん岩崎芳美だと思う)、そこに用意されていたのは、黄色いヒヨコのビニール浮輪。泳げない清水のために用意されたのだろう。
ところがビニール浮輪なので、なかなか空気が入らない。藤原菜希が先輩たちを待たせまいと必死に口で空気を入れるが、「エアーで入れたらいいよ!」の声を受けて整備室へ走っていった。
アヒルの浮輪をまとった清水は、ウルトラマンスタイルで担ぎ上げられて、「いち、にいの、さんっ!」で水中へ。
「一安心しました」
水も滴るイイ女の清水はこうコメント。どのコースからでもスタート勝負に出るそのスタイルに、これからも磨きをかけてもらいたい。
12R発売中。整備室にはまだ4人の選手が居残っていた。成績が上がってこない金田はモーターを分解、津田裕絵はステアリングバーを交換している。
そして長嶋万記もモーターを触っている。隣には同県の後輩・土屋実沙希がいて、何かの話を聞いている。前検から「好気配」と本人も感じていた65号機だが、ここまでの成績は43425で1着なし。明日は1着勝負駆けを強いられそうで、ついに何らかの手を打ちに出た。本人としても予選突破は最低限のノルマなはず。どこまで機力を上昇できるか。
整備室を覗いているうちに12Rが始まる。池上カメラマンによると、2レース前くらいに田口節子が
「やりたくねぇ。怖いんじゃ」
とボヤいていたとか。 まぁ、自分が1号艇のときに、大山64号機と当たるのを喜ぶ選手はいないだろう。強烈な攻めが飛んでくる確率が高いのだから。
しかし「やりたくない」といった田口は、歴戦の兵。やれることをすべてやった。スタートはコンマ14。スリットで先制した大山に通過後に追いついたのでほぼ全速だろう。
1マーク。まくれるものならまくってみろとギリギリまで張りにいった。しかし64号機はその上を超えていく。
これで5連勝。初日7Rで谷川里江、初日10Rで海野ゆかり、2日目10Rでは日高逸子と寺田千恵、そして今日は岩崎芳美、遠藤エミ、田口節子を撃破した。クイーンハンターの快進撃は止まることを知らない。
明日の大山は11Rの1回走り。2号艇で登場するが、1号艇は女子勝率1位経験者の中谷朋子。そして3号艇に岩崎芳美、4号艇に日高逸子、5号艇に山川美由紀、6号艇に新田芳美と、外枠に4人の女王が立ちふさがる。乞うご期待!
(TEXT姫園 PHOTO池上一摩)