BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――俊介も上條も頑張れ!

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 装着場の奥、瀬戸内海が眼前に広がる屋外喫煙所。そこで物思いにふけっていた山口達也のもとに、同期の池永太が歩み寄る。顔を合わせれば、そこは同期の心安さ。すぐにキャッキャとじゃれ合う97期コンビ。ほんと、この期は個性的な選手が多いですな。西がつく人とか。

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 山口が、池永のはいているスニーカーに興味を示した。靴のサイズを知りたいらしい。靴を脱いで渡す池永。受け取って、水面に投げる山口。って、おいっ(笑)。慌てる池永に山口は大笑い。山口は地元だから知っていた。投げ込んだ先が実は岩場になっていることを。それを知らない池永は「何するんだよっ!」。当たり前です(笑)。すると山口は2mほどの柄がついた網を持ってきて、これですくえと池永に指示。ようやく事情を察した池永は、器用に長い柄を操って、無事に奪還に成功したのであった。
 ……って、何をやってるんだか(笑)。山口達也は、ピットでも曲者、である。

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 それでも、山口は今節の選手班長なのである。緩めるときは緩めても、班長の立場を忘れたりはしない。10R、守田俊介が1周目バックで落水した。その瞬間、山口の顔が引き締まる。「選手負傷」のアナウンスが響くや、猛ダッシュでレスキューが到着する桟橋に向かって駆けていった。仕事はきっちり真面目にこなすのである。

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 その守田だが、多くの選手が心配そうに見つめるなか、痛々しい足取りで戻ってきている。そのまま医務室に直行。ちなみに山口が付き添っている。打撲はあったようだが、大きなケガではなかったようで、選手たちはひと安心。それでも、滋賀支部の仲間はもちろん、萩原秀人ら近畿地区の選手は、浮かない顔で守田を気遣っていた。医務室を出て、競技本部に向かう守田。これは途中帰郷か……。と、その数分後には守田のボートに明日の艇旗艇番が装着された。明日も守田は走る! 実は守田はチャレンジカップ勝負駆け中。しかもボーダーの真下にいる。少しでも上積みをしたいという状況なのだ。落水は選手責任で減点をとられているが、まだあきらめるわけにはいかない。望みがつながった格好となって迎える明日も、守田は自身にムチ打って奮闘するだろう。

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 落水の状況は、内から桐生順平、上條暢嵩、守田がラップ状態での2番手競りの最中だった。ラップと言っても守田が1艇身近く先行しており、守田は2人を締めようとしたのだろう、内に寄っていった。しかし、上條の舳先はまだかかっており、これに守田のモーターが引っかかって、ハンドルをとられたかたちだった。守田が寄っていっての案件なので、選手責任がとられたわけだ。激しく上がった水しぶきに、選手も肝を冷やしただろう。毒島誠はレース後に桐生のもとに駆け寄って、身を案じていた。「僕は大丈夫ですよ」。最内だった桐生は大きな影響を受けていないようだ。

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 顔が曇っていたのは上條。上條としては寄られての事故ではあったのだが、しかし直接絡んだのは自分である。今節最年少としても、どうしたって負い目は生じてしまう。ピットに戻った守田に、上條は真っ先に駆けつけてすみませんでしたと頭を下げている。もちろん守田は、逆に上條を気遣った。それでも、上條の顔はどうしたって晴れないのである。明日は1号艇だ。水神祭を決めて、今日の憂いはすべて吹き飛ばせ!

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 終盤のピットで驚いたのは、石野貴之が本体を割っていたことだ。8R、4カドから見事なまくり快勝! スリットから伸びていったようにも見えたし、初日6着から巻き返しに成功、評判機をしっかり立て直したものと思っていたのだ。見ていると、本体を奥の洗浄室に運んだりもしていた。エンジンをいったんバラして、洗浄して、組み直すことでパワーアップすることもあるというが果たして……。その効果も狙ってはいたようだが、ピストンリングも交換したそうだ(明日の試運転での感触次第では元に戻す可能性もある)。曰く「エース機じゃなかったら充分なんだけど、エース機+石野ってもっと出すイメージあるでしょ」と微笑む。たしかに。これまでエース機をさらに超抜に仕上げてSG制覇、ってのを何度見たことか。つまり、石野はタイトル戴冠モードに入った! この整備が当たったら、手のつけられない強さを見せる石野が児島に降臨するかも!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)

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10Rを逃げ切ってゴキゲンの菊地孝平。長嶋万記に向かって親指をグイッと立てる。

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……あっ、マキちゃんの後ろで濃い人も親指立ててるじゃないか! 祝福の仕方も濃い!