BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――ギリペラ

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 8Rで2着となった地元エース毒島誠。懸命の整備で足は上向いたか……と思いきや、レース後はふたたび整備室にこもった。本体整備はまだ続くようだ。昨日はセット交換+クランクシャフト、今日の前半がキャリアボデー、後半はギアケース。これだけ交換してきて、さらに整備。電気一式とキャブレターを交換すれば、発表される部品をすべて交換したことになるわけで、もはや懸命という言葉では足りないくらいの作業ぶりである。
 そんな毒島から、とある“私物”をいただけることになった。BOATBoy1月号(12月11日発売)の読者プレゼントにします! おそらくサインも入れてもらえる貴重な一品。欲しい方はぜひ1月号をご覧ください! 宣伝すみません!

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 10Rは馬場貴也が逃げ切り。やや深めな進入となったが、しっかりと押し切った。レース後は歓喜よりは安堵感を醸し出しており、切れ長の目をさらに細めて、周囲の祝福に応えていた。レース後は、待ち構えていた丸野一樹とともにペラ叩き。というよりは、丸野にアドバイスを乞われていたようで、並んでペラと向き合った。

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 このレースで5着となった大山千広。前半の逃げ切りはお見事であったが、ここでは結果を出すことができなかった。カポックを脱いだ大山は速攻でピットに再登場。ちょうど明日の艇旗艇番が始まっており、それに参加しようとしたのだが、すでに福岡勢の分は終わりに近づいていたため免除。すると大山はその足で、ペラ調整所にいた瓜生正義のもとに駆け寄り、瓜生の言葉に耳を傾けていた。これもまた、“瓜生教室”の一環だろう。レースが終わってすぐに、偉大なる先輩のアドバイスを受けることができるというのは、伸び盛りの大山にとっては本当にデカい。こういうシーンを見ると、瓜生と同じ斡旋がもっともっと増えれば猛成長するのになあと思ったりしますね。

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 その瓜生は、12Rに出走。10Rのスタート練習を終えるといったんボートを陸に引き上げ、再調整をはかっていたのだった。スタート練習で気になるところがあった、ということだろう。この段階でペラを叩いても、試運転に出て反応を確かめる時間はない。それでも叩かずにはいられないという執拗さが瓜生にはある。“ギリペラ”の代名詞ともいえる辻栄蔵や毒島誠も同様のタイプで、それが彼らの強さを支える原動力ともなっているといえるだろう。

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 同じ動きを見せたのが、やはり12R出走の篠崎元志だ。元志は瓜生よりも一足先に陸に戻り、速攻でペラを外している。同支部の大先輩を見習っているのかどうかは別として、元志もまたパワーアップに執念を見せたというわけだ。元志は最低でも優出が欲しい今節。前期B2級で賞金レースでは出遅れた今年だが、18名入りにまったく諦めてはいないということなのだ。

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 ボートを陸には上げなかったけれども、やはりギリペラになったのが平本真之だ。序盤に話をしたときには、足には手応えを感じていると言っていた平本。しかし今日は気温が昨日より下がり、夜になってさらに冷え込んでいる。それによって微妙なズレが生じていたということだろう。その調整の甲斐あって、12Rは2着。予選後半にいい勢いをつけられただろうか。

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 女子では、水野望美が11R発売中まで試運転をしていたのが目を引いた。今日は1R1回乗りだった水野だが、それからひと時もゆっくりすることはなく、終盤まで駆け回ったわけだ。合間に、師匠である原田幸哉や兄弟子になる柳沢一と話をすることも。アドバイスをもらっていたのだろう。今節、この3者の絡みは頻繁に見かけており、幸哉が長崎支部に移っても、師弟の絆は強いのだ。水野にとっても、SG覇者ふたりと一緒の斡旋になることは、大きな大きな勉強になるはずである。

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 8Rを差して勝った日高逸子だが、レース後はキャブレター調整だ。勝って兜の緒とキャブレターのネジを締めるグレートマザー。こうした姿勢はさすがと言うしかない。それも飄々とやってのけるのだから、日高にとっては何も特別なことではないということ。開会式ではダントツの最年長と“自虐”していたが、この最年長レーサーはやっぱり凄すぎるのである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)