BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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徳山クイクラ・シリーズTOPICS 初日

 2コース差し5本&4コース差し2本。差さりも差さったりで万舟6本(最終レースのみまくり決着)の大荒れとなったシリーズ初日。そんな大波乱を演出したレーサーたちに、私なりの勝手なプライズを授けてしまおう。

今日のトップヒロイン

☆中川りな(福岡)

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 今日の成績は1・4着。2連勝した山川美由紀様と堀之内紀代子様を差し置いて、という大抜擢ではあるが、選手の力量も込み込みでこの112期の若手をフューチャーしたい。賞の決め手はもちろんオープニングレース。スタート勘が定まりにくい朝イチのレースで2コースからコンマ11まで踏み込み、地元で圧倒的人気のイン佐々木裕美をズッポリと差しきった。スタート勝ちの印象もあるが、外から襲い掛かった渡辺千草や強敵の塩崎桐加らを完封しての差しきりは天晴れの一語。
 6号艇の後半10Rはアウトから惜しくも舟券に絡めなかったが、あわや3着という見せ場を作っての4着。実戦足も回り足を中心に出足系統がかなりしっかりしていて、今日のリズムとパワーを維持できれば予選突破も十分にありえるだろう。
 デビューから6年半の26歳。丸々5年は勝率0~3点台を這い回っていたが、2018年にいきなり5点台まで飛躍した。ここ半年の成績も5点ちょいではあるが、7月末にヴィーナスシリーズ優出(2着)~男女混合戦も優出(松井繁などSG覇者が3人いる中で3着)とサプライズな連続優出も果たしている。今日のレースを見る限り、「デビュー初優勝年末の大舞台」というさらなるサプライズがありえるかも?

今日のロングショット賞

1位☆金田幸子(岡山)=1R2着&5R2着  2戦合計配当61030円

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 6年前の女王様が完全復活?? 2戦ともに人気の盲点だった金田が、サプライズな2着連発で配当を跳ね上げた。開幕戦は4カドからコンマ25のドカ遅れ。落として差すしかない展開に見えたが、なんとなんとコンマ10まで踏み込んだ3コース渡辺千草を全速の握りマイで沈めてしまった。コンマ15遅れの強ツケマイってあなた!! 2コースから差し抜けた既出・中川りなには届かなかったが、3連単350倍の片棒を担ぐ大活躍だ。
 6号艇の5Rもまた凄まじい。最アウトからのターンマーク差しはまったく届かず、出口では最後方の6番手。そこからバック最内をグングン突き進み、2マークの小回りターン一発で2番手に浮上! ここも3連単260倍の立役者となった。1Rも含めて、サイドの掛かりは今日イチの鬼足レベル。元より女子王座を獲るほどの実力者だけに、この勢い&パワーでテッペンまで突き抜けるかも??。

2位☆出口舞有子(愛知)=2R2着&7R2着 2戦合計配当37870円

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 元女王・幸子とは裏腹のダークホース、117期のB級レーサー舞有子(まあこ)も大暴れだ! 2Rは5コースからスピーディな差しハンドルでバック2着争いに。外の角ひとみを舳先ひとつでブロックしつつ2マークを先取りし、堂々の2着をもぎ取った。3連単は約250倍。2コースから差しきった廣中智紗衣は人気サイドだったから、舞有子はこの万舟ドラマの“主演”と言ってもいいだろう。
 後半7Rは塩崎桐加、川野芽唯、大瀧明日香ら強豪とのマッチアップとなったが、3コースからそれら強豪の混戦を捌いてこれまた2番手浮上。人気サイドの川野に追随して約130倍の穴を演出した。デビューから丸4年、長きに渡って勝率2、3点台の雌伏の時代を過ごした舞有子の来期適用勝率は5・01。A級の背中が見えてきた愛知の伸び盛りレーサーは、明日からもマバタキ厳禁とお伝えしておこう。

宿舎で頑張ったで賞
☆樋口由加里(岡山)

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 昨日の前検での測定体重=42kgから、わずか17時間で44kgまでアップ!!!! ボートに重りを積んだら(3kg以上の重量調整はボートに重りを積む)操縦性に多大な影響が出るため、昨晩~朝にかけて食べまくり飲みまくりで体重を激増させたのだろう。あの小さな身体にムチ打ってあれやこれやを口に詰め込む姿は、涙なくして想像できない。GPシリーズで前検56kg→52kgまで落とした濱野谷憲吾とは真逆の試練と呼ぶべきか。今日のユカリンは4号艇3着&1号艇3着。必死に太った努力が報われない成績ではあった。今晩からは無理なくしっかり食べて、44kg以上をキープしてもらいたい。

今日の怪獣パワー=『ピグモン』
☆川野芽唯(福岡)

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 いやぁ、前検から「怪獣パワー」「怪獣レベルの行き足」などと絶賛していた川野32号機。いざフタを開けてみたらば、実戦の行き足は『ピグモン』(←分からない若者はお父さんかグーグル先生に聞いてね♪)だった。悪くはないのだが、スリットからほんのちょこっとだけ覗く程度。今日の川野はむしろターン回り~出口で押して行く出足系統が強力だった。川野が手前に寄せたのか、それとも前検の私の見立て違いだったのか。不明を詫びつつ、今日の32号機の行き足は「可愛らしいピグモンだった」と正しく理解していただきたい。それはそれでバランスがしっかり取れていて、選手の力量を考えれば有力なV候補ではあるのだが……。(photos/シギー中尾、text/畠山)