BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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事故多発に溜め息の4日目前半ピット

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 6Rでまたフライングが出てしまった。8人目は花本剛。ここまでのF多発は花本自身わかっていることもあってか、痛々しい表情で真っ先にピットに戻っている。この瞬間にレディースにポイントが与えられるわけだが、それとは関係なく、ピット全体が溜め息に包まれた。ここまで事故が多いと、沈痛と言うよりはただただ言葉を失うといった感じだ。

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 その6Rはまくり差しで艇団を割った板橋侑我の内を差した富樫麗加が2マーク先取りで1着。決まり手は恵まれではなく、差しだ。板橋としては、渾身のまくり差しだっただけに、控室に戻る際にはどうしても視線が下を向いてしまう。その非凡な旋回力を発揮したといっても、それは慰めにはならないだろう。

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 その板橋に富樫が声をかけると、ようやく板橋の顔に笑みが浮かんだ。敗れはしたが、素直に富樫を称えるという雰囲気だ。富樫は「差さっちゃった」というような感じの悪戯っぽい笑顔を板橋に返して、その後しばらく会話を交わしていた。感想戦のようなものだろう。富樫は昨日までゴンロクを並べたが、今日はピンピン連勝! 気分も一気に上昇しただろう。

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 5Rを勝ったのは前田滉。追加選手が何人か来たけれども、今節登番最若手には変わりない。そんな新兵らしいシーンが勝ったあとにもあった。
 津のピットのボートリフトは3艇しか乗ることができない。おおむね1~3着の選手が先に乗って陸に上がり、その間に4~6着の選手は係留所で艇番を外したりワイヤーを緩めたりの前準備を行なう。1~3着が完全に陸に上がったら、4~6着選手が入れ替わりでリフトへ。だから控室への帰還は1~3着が先行し、4~6着の選手が遅れて控室へ向かうことになる。
 ところが前田はエンジン吊りが終わっても、控室へは向かわなかった。4~6着の選手が上がってくるのを待って、頭を下げて回ったのだ。控室で顔を合わせたときに行なっても遅くないように外野は思うのだが、最年少19歳としてはそうはいかないのだろう。なんとも初々しい振る舞いなのであった。

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 さてさて、昨日に関野文と加藤綾が途中帰郷となり、明日から2名の女子が追加参戦。その1人、鈴木成美と山下夏鈴がレース場入りした。先ほど8R発売中にタイム測定も行なっている。5R発売中にモーター装着などを終えると、2人とも水面に下りて試運転だ。山下は地元のヤングレディース。明日明後日と津のバトルを盛り上げるべく、奮闘するだろう。

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 その山下と同期なのが澤田尚也。121期生だ。途中からピットに入った山下を気遣ってか、装着の間も何かと声をかけていた。やはり同期生の存在は、こんなときにも心強いものだろう。団体戦としては敵同士でも、陸の上では同期の絆は強固だ。

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 その澤田は、4Rで落水失格となった廣瀬篤哉の世話もしていた。同支部の先輩と一緒にいる光景はここまでよく見かけており、その先輩の有事は他人事ではない。同時に、先輩や同期を放っておいてまで調整にあくせくする必要はない、というあたりに今節の好調ぶりもあらわれているように思う。全体的に余裕が感じられるのだ。12Rは廣瀬と直接対決! 水面ではもちろん手を緩めることなく、勝利をもぎ取りにいく。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)