今井美亜、ＳＧ初勝利！ １Ｒ、２コースからのまくりで快勝。ここまでオール６着と苦しんできたが、最高のかたちで脱出した。
レース後のピットは、ひたすら幸福感に包まれた。今垣光太郎、下出卓矢の福井勢はニコニコ。さらに、吉川昭男や馬場貴也も嬉しそうに笑っていた。馬場は、今井の背中をぽんぽんと叩いて祝福。今井はそれらに対して、実に感慨深そうな笑みで応えていた。
祝福は、身近な人たちだけにとどまらない。すれ違う選手仲間が次々に声をかけ、また２着だった枝尾賢も最高の笑顔を贈っている。みんな、今井がもがいていたのを見ていただけに、この勝利を喜ばしいものと感じたのだろう。美亜ちゃん、こんなにもみんなに喜んでもらえてよかったね！
ただ、まくられてしまった桑原悠は、そんな気持ちにはなれない。ちょっと時間が経てば、おめでとうの声もかけられるだろうが、レース直後はやはり落胆していた。桑原もまた、ゴンロクを並べて苦戦中。この１号艇はひとつのきっかけにしたかっただけに、表情が晴れないのも致し方ないだろう。
また、井口佳典も実に厳しい顔つきになっていた。４カドから締めていったあおりを受けて、中岡正彦の舳先が大きく浮き上がり、ピットにも悲鳴がとどろく場面があった。敗れたこと、危ない場面に絡んだことが、井口の心を締め付ける。今井に頭を下げられても、眉間の皺は消えることなく、唇を引き締めて控室へと戻っている。これで勝負駆けがかなり厳しくなったこともまた、胸をよぎったか。
２Ｒは永田秀二が逃げ切って１着。今日は１着２着条件の勝負駆けだから、これで後半につないだことになる。いったん差した池永太を差し返しての勝利でもあり、安堵の顔を見せていた。これに嬉しそうに笑っていたのは濱野谷憲吾。永田と話しながら、ハッハッハと声をあげていた。今節、なんだか濱野谷が笑っているところをよく見るなあ。永田も大先輩の笑顔に癒されたはずだ。
さてさて、勝負駆けデー、選手たちは今日も調整に余念がない。準優は無事故完走で当確の石野貴之も早くから試運転を繰り返し、プロペラ調整に励んでいた。それも、かなり強めに叩いており、とても微調整とは思えない。昨日も終盤の時間帯に強い打突をしていた。どうでもいいけど、昨日は左手でハンマーを振り下ろしていたのに、今日は右手で叩いていた。両利き!?
整備室では毒島誠と福来剛がボートごと運び込んで整備をしていた。毒島も無事故完走で準優当確だというのに、まだまだ整備調整の手を緩めようとしていない。まあ、準優に乗るだけでいいなどと考えてはいないわけで、そのもう一歩先を見据えて、とことんパワーアップをはかるわけだ。福来は今日は４着勝負。ＳＧ初出場初準優に向けて、万全の態勢を目指す。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
