BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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津マスターズTOPICS 2日目

4月22日=良い夫婦の日!?

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 日がな強いホーム向かい風が吹き荒れた2日目は、11Rまでインコース6勝×他コース5勝とほぼ互角の流れ。「最後は大波乱で6対6のイーブンだな」などと予想していたらば、別の意味でとんでもない大波乱とともにその予想が的中してしまった。
 12R=①②③④号艇がフライング!!!!
 集団Fだけでも大惨事なのだが、4人の中には無傷の2連勝でココに臨んだV候補がふたりもいた。昨日の当欄で絶賛した芝田浩治と、2年前の名人位・渡邉英児。今節は松井繁や今垣光太郎などの銘柄級の気配が一息なだけに、このまま頂点まで突き抜ける可能性が十二分にあったのに……もちろん、両者のV戦線離脱が今シリーズに与える影響は小さくないだろう。ひとつの哀しいレースを跨いで、今シリーズは誰がVの最有力候補かも特定できない(ドリーム1着で現状トップタイの徳増秀樹もパワー気配は??だし)戦乱の世になった気がしてならない。

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 明るい話題に移ろう。前半のピットレポートと被ってしまうが、今日は岡山支部の面々が縦横無尽に暴れ回った。口火を切ったのは1Rの寺田千恵。昨日の実戦足が酷かったし、転覆もあったしで「1号艇でもどうか」と見ていたが、大きな転覆整備(ピストン1個・クランクシャフト交換)でむしろ気配アップ。スリット横一線のインコースから、③前本泰和のツケマイをしっかり受け止めて1着を獲りきった。
「昨日、旦那にいろいろ教えてもらって……足合わせもしたんですけど、ターン回りでもの凄くやられました(笑)」
 レース後にちょいとオノロケのセリフも飛び出したテラッチ。足的にはギリギリ中堅レベルで明日からも苦しい試練が続きそうだが、夫唱婦随で上積みに励むことだろう。

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 2Rの主役は“旦那”の立間充宏。同じくインコースから、同郷の③川崎智幸を従えてしっかり逃げきった。コッチの足は現時点でもはや完調の領域。元より出足・回り足の強さで知られる34号機が、今日は朝特訓からストレート足も抜群レベルに見えた。これだけ余裕があれば、ちょいと頼りない奥方22号機の面倒もあれこれ見られるはずだ(笑)。レース後、この手の話題を振られた旦那は、さらりと奥方を立てた。
「いや、アッチがいろいろ頑張ってるので、僕は付いてってるだけです」
 夫唱婦随のアドバイスに感謝する妻と、“婦唱夫随”で整備に取り組む妻を賞賛する夫。仲良く連勝を飾ったこの企画レースは、ふたりのインタビューも込み込みで大成功だったとお伝えしておこう。

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 オシドリ夫婦の連勝パワーは、もちろん岡山支部全体を鼓舞したに違いない。続く3Rでは平尾崇典が豪快な4カドまくりで圧勝。去年は痛恨のF2で翼をもがれ、早いスタートを封印してきた平尾だが、やっとらしいレーススタイルが帰ってきた。伸び型に仕上げ、有無をも言わさずセンターから絞めまくるスタイルが。

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 獰猛な平尾スタイルは、後半8Rでも垣間見られた。3コースからややスタートで凹んだものの、同県・荒井輝年の4カドまくりに身体を張って抵抗しながら強引な先まくり。この猛攻は2コース江口晃生のブロックを浴びて不発に終わったが、自力攻めを貫いた姿勢はまさに平尾流。高い勝率とともにA1に復帰する来期を待つまでもなく、明日以降も「最強のB2級レーサー」としてスリットから暴れまくることだろう。

独断パワー診断

 強風やら安定板装着やらで混戦乱戦も多かった1日ではあったが、2日目を終えてのパワー上位組を記しておきたい。

★立間充宏=S【出SS・行A】
★前本泰和=A+【出A・行S】
★深井利寿=A+【回S・直A】
★西島義則=A【出S・直B】
★平尾崇典=A【出B・伸S】
★濱野谷憲吾=A【出A・直A】
★芝田浩治=A【出A・行A】
★渡邉英児=A【出A・直A】
★辻 栄蔵=A【出A・直A】
※カド番A=石川真二【出B+↑・直A↓・バナレS?】

 現状のトップ指名は立間34号機。今日、いちばん驚かされたのは、レース本番よりスタート展示だった。インからの握り込みが他艇よりやや遅れ「こりゃスリットでは大差の遅れになるな」(わずかな遅れがスリット付近では1、2艇身差に広がるのが普通)と思っていたら、予想に反してスリットは横一線に。34号機の半端ない出足系統を実感してしまった。

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 前検から高く評価している前本29号機はやはりスリット付近の行き足が軽快。一気に突き抜けるパンチ力こそないが、じわりだらだら出て行く感じで1マークまでにしっかりと余裕が生じている。回り足も良好だがトップ級ではなく、そのあたりのまったりさがまんま222着という数字に現れていめのかも。
 深井25号機はレースごとに気配が違ってぴったり合わせきれていない感がある。それでも今日11Rの5コースからのまくり差しはサイドの掛かり~引き波を超えて出て行く様が実に力強かった。この足を基点としてしっかり調整すれば、すぐにでもS級昇格となるだろう。

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 西島53号機は本人が「自分らしい仕上げ」と言う通り、ぴったりの超出足型にまとめあげた。起こしからの出足のみならず、80m起こしでもスリット付近で外の艇に負けないくらい出て行く行き足も魅力的。好脚のライバルたちがフライングしたりF2持ちだったり、はたまた銘柄級がエンジン出しに苦労している混戦シリーズだけに、変幻自在に戦える選手×パワーのコラボレーションは頼もしい限りだ。
 で、次の平尾はすでに書いた通りで、濱野谷はF2のハンデを感じさせないほどスリット付近の行き足がゴキゲン。でもってそこから下のA級指名3選手は……うーーん、実に残念だが、起こってしまった以上は「舟券の妙味としては何倍もアップした」と前向きに考えたい。(phtos/シギー中尾、text/畠山)