BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江オールスターTOPICS 初日

1回裏でエース降板!?

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 6Rの篠崎仁志が期待どおりの鬼足を魅せてくれた。5コースほぼ同体のスリットから4カド香川素子よりわずかに伸びて、その外をくるり旋回して内3本の引き波を突破。その直後だ。ターン出口から伸びる伸びる。昨日の足合わせで私を惚れさせた出足~行き足が、今日もそのままバック直線で再現された。スリット裏まで軽快に加速して逃げる長嶋万記を捕え、その後の伸び足はほぼ一緒。それでも2マークを先取りしてしまえば、逆転を許すパワーではなかった。

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 採点するなら出足~行き足までがSかSSで、その後の伸びはAレベル。もちろん6コースからでも展開ひとつで突き抜ける足だが、本来はスローでこそ威力を発揮するタイプだと思う。さらに言うなら、軽妙な捌きを得意とする仁志にぴったりのパワーだ。今節の仁志には精神的支柱とも言うべき大好きな兄貴もいることだし、少し気が早いが有力なV候補とお伝えしておきたい。

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 ではでは、私の◎モーターにして全国ファンの注目を一身に浴びる茅原悠紀83号機の気配は……うーーーん、今日も「悪くはなくて上位のひとつ」という鑑定に変わりはないのだが、残念ながら現時点では仁志20号機の方がはるかに上と認めざるを得ない。決定打は11Rのターン出口~スリット裏で、逃げる松井に追いすがるどころか逆に突き離されてしまった。4月初旬、吉永則雄83号機に一目惚れしたのは、まさにこの部分のレース足なのだ。昨日の仁志20号機に感じたよりもっと強烈なインパクトだったはずなのに、単なる買い被りだったのか、それともどこかしらで劣化したのか。

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「(83号機は)大したことないんです」
 レース後のインタビューで、前回操縦者である松井(予選トップで準V)はこう言い切った。今日の実戦足だけで言うなら、一言も反論できないコメントだ。もちろん、明日以降もアタマで買うと決めている私としては、そんなこんなで人気が下落するのはむしろありがたい部分もあるのだが、初日にして首を捻るような事態に陥ったのは悔しい限り。とにかく茅原にはしっかり調整してもらって、ポテンシャルのMAXまで引き出してもらいたい。
 初日の全レースを観ての私なりのパワー鑑定も記しておこう。

★独断もろもろパワー評価
S級(超抜候補)=篠崎仁志
A+級(抜群候補)=石野貴之
A級(上位候補)=茅原悠紀、平本真之、守田俊介、徳増秀樹、松井繁
スリット注意=湯川浩司、平高奈菜、山崎智也、中田竜太
出足アップ=新田雄史
部品交換でパワーアップ=井口佳典
競ると不安=池田浩二、赤岩善生

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 トータルA級かどうかは微妙も、例によって湯川浩司の行き足~伸びは今日もトップレベル。3コースからまくり差しを狙ったのが仇となって大敗した(伸びる分だけ出足系統がやや甘いのも湯川流)が、特にダッシュ戦でのスリットどかーーんは抜かりなく警戒しておきたい。

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 それから、いつもどおり摩訶不思議なのが新田雄史だ。昨日は足合わせも前検タイムもダメダメで「洒落にならない数字かも」と書いたらば、今日になったら足合わせから別人の気配。外からシャープなターン回りで内艇を引き波にハメるわ、展示タイムもしっかり出してくるわ、「なんで1日でこんなに?」と脱帽するしかなかった。同じように「前検はヤバイ」と酷評したのに1・2日で立て直した新田を何度見たことか……おそらく前検段階から独自の調整方法があると思うのだが、新田に関しては先入観を抱かずに「急に良くなる可能性あり」と肝に銘じておきたい。
 あ、徳増秀樹も昨日は目立たなかったのに、今日はかなり余裕のある足色で2・2着発進。いつでもどこでもすぐに上位レベルまで持ち上げる徳増流が、今節も初日から開花した印象だ。最近はこれが当然と思えるようになったが、いったいどんな調整をしてるのかしらん?

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 さてさて、オールスターと言えばどうしても女子レーサーに視線が行ってしまうのだが、今日の女子軍団はかなり健闘したと思っている。道中でひとつふたつ着を落とすシーンは目立ったものの、ほとんど舟券ゾーンの攻防ばかり。遠藤エミの逃げきりは当然として、SG初参戦の香川素子はんは強敵相手にしっかり捌いて3着を取りきったし、平高奈菜は不気味なストレート足で男連中を何度も脅かしたし、のべ12戦で見せ場もなく大敗したのは3Rの小野生奈と11Rの遠藤エミの2回くらいだった。

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「その見方は甘い、ドリーム4着の大山千広にしろ4・4着の守屋美穂にしろ、しっかり捌けば舟券に絡めたはず!」
 と言われたら返す言葉もないが、明日からの戦い次第では何人かが予選を突破しそうなムードを感じたのは私だけだろうか。明日の女子レーサーは12Rのオール女子戦を除くと、生奈が6号艇、千広が5号艇、素子はんが6・5号艇と険しい枠番が配置されている。この試練をどこまで克服できるか。できると思う方は、彼女らを絡めた穴舟券とともに応援する手もあるだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)