BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――寄り添う

f:id:boatrace-g-report:20200528214430j:plain

 10Rは進入から激しかった。もちろん、西島義則の存在があったからだ。スタ展では辻栄蔵、西山貴浩も抵抗する構えを見せていたが、本番でさらに燃える西島は2コース奪取。やっぱりこの人のいるレースは面白さ満点!

f:id:boatrace-g-report:20200528214455j:plain

 その流れをモノにしたのは、やっぱりこの人でしたか、峰竜太。4カドから一気にまくって、今節2勝目を手にした。そして2着は中田竜太。竜太ワンツー! 現役レーサーで竜太はこの二人だけで、それがSGでワンツーフィニッシュというのはなかなか貴重な出来事ではある。エンジン吊りを終えると、この二人が並んで軽やかな笑みでレースを振り返り合っていた。

f:id:boatrace-g-report:20200528214537j:plain

 面白かったのは、JLCのカメラが追いかけているのに気づいたら、中田のほうがさっと峰から離れたことだ。負けて仲良く笑っている場合ではない、ということ? その心意気には拍手したい。そして、真っ向勝負したからこそ負けても浮かぶ笑み、というものは決して否定されるべきではないと思います。

f:id:boatrace-g-report:20200528214622j:plain

 1号艇でまくられて大敗、という悔しい結果となってしまった瓜生正義は、かなり険しい表情を見せていた。ここまであからさまに顔をしかめる瓜生って、けっこう珍しいように思う。厳しいイン戦であったのはたしかだが、それでも逃げなければならないと己を責めていただろうか。10点を計算したい1号艇でまさかの6着。これで勝負駆けもぐっと厳しくなっただけに、明日の瓜生は今日以上に闘志満々な姿を見せてくれるだろうと思う。
 その瓜生に寄り添ったのは同期の原田幸哉だった。同じ釜の飯を食い、長くSGやGⅠの舞台でともに戦ってきた盟友の、その心中は容易に察せられたに違いない。特に声をかける様子もなく、ただ並んで歩く二人。それだけで感じられるものが、お互いにはあったはずだ。

f:id:boatrace-g-report:20200528214650j:plain

 11Rは白井英治が逃げ切り。その白井が並んで歩いていたのは守屋美穂。珍しい絡みにも思えるが、同じ中国地区であり、守屋がエンジン吊りに参加するのは当然のこと。モーター運搬を買って出た守屋に、白井が話しかけながら歩を進める、というシーンになっていたわけだ。白井の表情はそこまで緩んでいなかったが、守屋が目を細める場面もあって、和やかな会話だった様子。守屋にとっては、この経験が大きいだろうなあ。勝利後の白井英治と交わす会話は、きっと明日への糧になる。(写真はその後、白井に歩み寄った篠崎元志とのツーショットです)

f:id:boatrace-g-report:20200528214905j:plain

 このレースで大敗を喫してしまった松本晶恵には、大先輩である山崎智也が寄り添った。これも松本にとっては大きいよなあ。山崎は松本をいたわり慰めるように、柔らかな笑顔を向けていた。松本も悔しいながらも目元に笑みが浮かんでくる。僕や畠山は、BOATBoyでさんざん「女子のトップどころはもっと記念に斡旋すべき!」と主張してきているのだが、水面でSGクラスの強豪に揉まれるのはもちろん、こうした絡みもまた、彼女たちをますますレベルアップさせ、ビッグレースを盛り上げてくれることにつながるはずなのだ。智也の言葉が、松本の明日につながることを願います!

f:id:boatrace-g-report:20200528214941j:plain

 ところで、赤岩善生が途中帰郷となってしまった。ちょっとやそっとのことでは絶対に途中帰郷しない、という信念を持つ赤岩が帰ったのだから、よっぽどのこと。どうやらアキレス腱断裂の疑いのようである(オールスター前1カ月欠場しているが、やはりアキレス腱を痛めていたとのこと)。9R後、赤岩は壮絶に足を引きずっており、たとえ赤岩が帰りたくないといっても無理やり帰すのが賢明と言うべき様子だった。心配そうに寄り添うのは池田浩二や磯部誠ら愛知支部勢で、赤岩は意地でも辛そうに見せまいということなのか、彼らに笑顔を振りまいていた。本当はかなり痛んでいたはずなのだが。とにかく、絶対に無理せずしっかり治すのが先決! そして、万全で水面に戻ってきてほしい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)