そして3人が残った。
いやぁ、住之江&SGだから当たり前とはいえ、1号艇=インコースが強かった。12戦10勝、3着1回。いつものことだが、正直イン逃げばかりだと書くべきファクターが少ない。道中もいくつかの攻防を経てすぐに縦長になりやすく、イン逃げレースで「おおっ!」と唸るようなシーンはほとんどなかったな。
うん、昨日はオッサンズラブ(?)な文面だったから、今日はオールスターの花形・女子レーサーにスライドしよう。初日の当欄で「何人かの女子が予選を突破しそうなムード」と煽ったものだが、やはり現実は甘くはない。この2日間の道中、多くの女子たちがSGレーサー軍団(帰郷した今村、田村も含めてSG700優出137V!!)に揉まれ揉まれて着をいくつも落とし、そのたびじわじわと準優路線から引き離されていった。3日目を終えて、予選18位までに食い込んだ女子は大山千広オンリーワン。
昨日まで7・67=8位だった千広にとっても、最難関の6号艇はやはり敷居が高かった。5Rの展開としては上位着を狙える流れではあった。4カドの湯川浩司がスリットから伸びてひとまくり。5コース今垣光太郎が湯川をぴったりマークし、その外の千広もややスピードを控えつつ連動できたかに見えた。が、いざ差し場を探したらばスロー勢がごった返してどん詰まり。さらにレバーを放ってなんとか最内をすり抜けた時には、先行集団ははるか前方に消え去っていた。「まくり二番差し」にはあるある渋滞で、結果論で言うなら外をぶん回していたら3着争いあたりには食い込んでいただろう。無念の5着。
それでも後半9Rの千広は「3コースから全速の握りマイ~1周2マークも2周1マークも全速ぶん回し」という気風のいい攻撃で枠番と同じ3着をキープ。どこかで怯んで差しに回れば着を落とした可能性が高いのだが、ここでは“正解”を連発して準優圏内に踏みとどまった。まあ、スピード豊かなSGレーサー軍団を相手に「連続の握りマイが正解」などと言えるのも千広だからこそ、なのだが。そんなこんなの5・3着で16位まで成績を落とした千広の明日は、11R4号艇。外2艇の出方次第では再び6コースもありえる番組ではあるが、3着で6・17などという皮算用ではなく「1着で6・83=準優センター枠かもっ!?」というホットなハートで臨んでもらいたい。
ギリギリ圏外ではあるが、暫定19位で十分に準優が狙えるのが平高奈菜だ。今日の平高はやはり1Rの5号艇というハードルを克服できずに6着大敗。外の同支部・森高一真の前付けを許さず、オールスローの5コースから自力のまくり差しを放ったがあっさり跳ね返されてしまった。もちろんコース優先も重要な戦法のひとつだが、女子戦ではほとんど出現しないオールスローだけにハンデもあったか。個人的な意見としては、6コース単騎ガマシでのスピード戦も観てみたかった。
この大敗で大きく順位を落とした平高だったが、次なる7Rの1号艇をキッチリ逃げきって再浮上。明日の4R2号艇で2着なら6・17というリアルな条件を残して3日目を終えた。「枠番と同じ着を取れば予選突破?」という状況は過去に多くの女子レーサーが直面し、その多くは失敗に終わっている。ただ、去年の10月末~11月初旬に「8日間で男女混合戦2V」という偉業を成し遂げた平高には、相手が屈強であればあるほど真の力を発揮いる印象を抱いている。明日の4Rは、文字どおり男勝りのド根性でサバイバル戦を生き抜いてもらいたい。
準優ボーダーを6・00とするなら、SG初参戦の香川素子はんにも「2走ピンピン連勝」で6・00という一縷の望みが残されている。いやいやそれはそれは、と一笑に付す読者もおられるだろうが、今節の素子はんは初SGに恥じないほど健闘していると思うぞ。2度の3着は法外なヒモ穴でもあったし。実に惜しかったのは昨日の9Rで、③今垣vs②毒島の競りまくりに鮮やかに連動してバック2番手に。その後は道中で揉まれて4着に終わったが、まんま2着をキープしていれば明日の勝負駆けがより現実味を帯びたことだろう(まあ、そこがアレなんですけどね)。明日の素子はんは、2R1号艇と6R2号艇なのだから! もちろん、今のままでもW絶好枠での1・1着条件はミラクルでもなんでもない十分に可能な勝負駆け。明日の2Rをキッチリ逃げきったら、素子はん&全国の女子レーサーファンは6Rの黒カポックに熱いを念を送っていただきたい。
残念ながら、遠藤エミ、守屋美穂、長嶋万記、松本晶恵、小野生奈の5人は6・00の壁を超えることはできない。誰もが悔しいだろうが、8Rの遠藤エミがひとしおか。2コースから差してバック2、3番手に付けながら、そこで踏みとどまることができずに最後方までずり下がってしまった。もっと上の着を、という強気の攻めが逆効果になったような6着。その心意気を労いつつ、明日からの穴候補のひとりとして心のリストに添えておきたい。上位の一角に食い込みそうなほどパワーアップしてるのだから。
さてさて、3日目を終えて予選トップに立ったのは、誰もがV候補と認める毒島誠!! また今節も前評判の高くないモーターを日々さまざまな整備方法で育て上げ、優勝しても不思議じゃないレベルに仕上げてしまった。いやぁ、昨日の段階でもかなりの出来と思っていたらば、今日はさらにキャブレター交換で上積みを求めたのだから恐れ入る。勝利後のインタビューでも「まだまだ、もうちょい」みたいなニュアンスでもあったし。嗚呼、この男はターンも整備力もどこまで高いレベルまで到達してしまうのか。あれよあれよのトップ昇格を目の当たりにして、ただただ呆然とするしかないな。まだシリーズ折り返しだけど(笑)。(photos/シギー中尾、text/畠山)