峰竜太と徳増秀樹のアシは強烈だった。畠山が熱く書いているだろうが、ピットでも二人のことはやはり話題になっていた。
ただ、峰は菊地孝平に抵抗された分だけ２着。ピットに戻った直後、相当遠目で見ると（規制線からボートリフトはけっこう離れてるのです）笑みも見えていたが、控室に戻る際には神妙な表情を浮かべていた。負ければやっぱり悔しい。
「峰、ごめんね」
遅れて戻った菊地孝平に声をかけられても、峰の表情はやや硬い。菊地に対してうんぬんではなく、敗戦の理由＝仕上げや旋回についてを反芻しているがゆえだろう。
ちなみに、峰のまくりに乗って差し切ったかたちの萩原秀人も、どちらかというと難しい表情を見せていた。勝ったとはいえ、真横で峰の足色を実感していたわけだから、それについて思うところはあっただろうし、展開が向いたのだという思いもあったかもしれない。
徳増はまくり一撃で連勝。11Ｒはあっという間に内を叩き切っての勝利となった。こういうときに歓喜を爆発させるタイプではないが、表情がとにかく力強い！ やはり連勝の充実感、あるいは相棒の強力パワーが徳増に力を漲らせているのだろう。
その徳増にあっという間にまくられてしまった内の２艇＝池田浩二と中野次郎は、顔をゆがませて引き上げてきている。二人が大きな失敗をしたとは思えないが、しかしなすすべなく敗れたことは彼らの心にダメージを与える。
そんな二人がカポック着脱場で顔を合わせると、お互い目を丸くして苦笑いを交わした。中野の口元が「すごい」と動いたようにも見えた。徳増のパワーをある意味、今日いちばん強く実感した二人だ。おそらく、今日のところは脱帽ということを話し合っていたに違いない。初日の段階で徳増の内に組まれたことが、ある意味不運だったかもしれないですね。
ちなみに、12Ｒドリーム戦の展示が終わり、６人がピットに戻ってきたとき、ちょうど対岸のビジョンで11Ｒのリプレイが流れていた。それを見つめる毒島誠と桐生順平。徳増の走りを見て、二人は何を感じただろうか。
10Ｒ後に渋い表情を見せたのは永井彪也。顔をゆがめてもカッコいいっすね、ちきしょう。というのはともかく、長田頼宗との３番手争いに敗れた格好だっただけに、反省点ばかりが頭をよぎったか。今節は登番が下から２番目で、新兵の仕事もこなさねばならない。11Ｒ発売中には羽野直也とともに長い柄のついたマグネットを手に金属片を回収するお掃除をしていたが、そのときも顔色があまり冴えないように見えた。それでもやっぱりカッコいいんだが、ファンが見たいのは爽快な笑顔だろう。今節はどこかでファンを喜ばせる彪也スマイルを見せてくれ！（黒須田）
