BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門オーシャンカップTOPICS 4日目

THE勝負駆け
「トップ逃げ逃げ×2」の数式、完成!?

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 速報で何度かお伝えしたように、混戦を極めたトップ争いは最終12Rまでもつれ込んだ。そのラストバトルの面々を、準優ボーダー勝負駆けも含めて紹介しておこう。
12R
①松井 繁…②着で6・17
②古賀繁輝…③着で6・00
③篠崎元志…⑤着で6・00
④魚谷智之…④着で6・00
⑤枝尾 賢…②着&長田①着以外で予選トップ
⑥長田頼宗…①着で予選トップ
 酸いも甘いも、6人全員がそれぞれの着順を目指す勝負駆け。何かしらの波乱が起きても不思議じゃない最終バトルと見ていたが、全員が勝負駆けだからこそ?スリットラインはほぼほぼ綺麗な横一線に。こうなればコースの利と修羅場を踏んだ経験がモノを言う。王者・松井がしっかり逃げて、格上の元志と魚谷ががっちり追随して、あっけないほどの展開で1番人気の長い隊列ができあがった。

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 準優ボーダー争いで生き残ったのは、まんま1~3着の格上トリオ。5年ぶり3度目のSG参戦で初の準優を目指した古賀は、これら百戦錬磨の猛者たちが作った引き波にハマる形でV戦線から離脱した。残念な結果ではあったが、やまと学校の時代に「天才」と呼ばれたターンセンスはこの大舞台でも随所に輝いていた。今回の経験と今日の悔しさをバネにして、SG常連になるべく精進してもらいたい。

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 枝尾と長田は、もうひとつ高いレベルでの勝負駆けに失敗した。それぞれ5・4着で予選トップのみならず準優1号艇の座も明け渡したが、明日は2号艇での②着勝負駆け。1号艇よりはるかに肩に力が入らないポジションが、プラスに作用する可能性もあるだろう。

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 そして、この最終バトルの結果を受けて、予選トップの座に就いたのはディフェンディングチャンプの瓜生正義! 去年の常滑オーシャンカップも大接戦の末に池田浩二と1点差、毒島誠と2点差で予選トップ(8・67)に立ち、そのまま逃げ・逃げで頂点まで突き抜けた。今年も11R2号艇で3着だったりしたら、結果論として逃げた山口剛にトップの座を奪われる薄氷の1位通過ではあった。まあ、こうした接戦でしっかり勝ち抜くこと自体が、瓜生という男の底力と言えるだろう。

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 あとは、去年に続いて「トップ・逃げ・逃げ」の王道を突き進めるか。機力的にまだまだ断言はできないが、今節の鳴門のパワー相場は「どんぐりの背比べ」でスリット同体から一撃で攻め潰すようなモンスターパワーは見当たらない(唯一、田村隆信はそれに近かったと思う)。つまりはインからスタートを決めてしまえば主導権を握る可能性は極めて高く、予選トップの価値がいつも以上に高いシリーズだとは思っている。もちろん、現状の瓜生77号機も「どんぐり」のひとつだから、盤石のV候補とも言い切れないのだが……部品交換ラッシュも含めて、個々の選手の足色が猫の目のように変わる印象が強い今節。明日からのパワー相場に目を光らせつつ、この大本命のオーシャン連覇の可能性をできる限り正確に見極めたいと思っている。
 さてさて、今日の勝負駆けデーはインコース10勝(4Rから9連勝!)とコースの利がモノを言う1日だった。「1号艇以外でピンピン連勝で大逆転滑り込み」みたいな劇的なドラマもなかったので、サプライズなMVPレーサーを選んでしまおう。

今日のMVPレーサー
★守屋美穂(1R1着・7R3着)

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 今節の守屋は初日から6355着と苦戦の連続。昨日の時点でもはや勝負駆けとは無縁の存在になってしまったのだが、今日の大奮闘はここに記すべき価値がある。
 まず、1号艇でインコースとなった1Rは、唯一の勝負駆けレーサー新田雄史の狙いすました3コースまくり差しを浴びてバック並走に。こうなってしまえば内に構える新田が有利としたものだが、ここからの守屋の追撃が素晴らしい。2マークは迷うことなく握りっぱなしの強ツケマイ。この強襲はキッチリとターンマークを小回りした新田に届かず、その差は2艇身ほどに広がった。
「片やタイトな勝負駆け、片やある意味で消化試合。3-1で決まったな」
 この一点舟券を買っていた私はニンマリほくそ笑んだのだが、守屋はまったく諦めない。諦めるどころか、2周1マークでも凄まじい強ツケマイで新田に襲い掛かり、その差はわずか半艇身まで切迫した。どちらが勝負駆けか分からんほどの鬼気迫るスピードターンだった。

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 そして、2周2マークだ。2度の全速ツケマイに手を焼いたであろう新田は、3連発を警戒してターンマークを外し、ブロック態勢を築いた。一方、それまで「まくらんかな!」のポジションを維持していた守屋は、一転してスピードを殺しながらの差しハンドル。機力の差もあって、この差しは鮮やかに新田の内フトコロに突き刺さり、ここで完全に両者の体は入れ替わった。「ツケマイ・ツケマイ・差し」という3手一組の攻撃は天晴れの一語。記念戦線で百戦錬磨の猛者どもに揉まれた経験が、この“妙手”につながったのだろう。

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 後半の7Rは「4選手がタイトな勝負駆け」という修羅場の中に放り込まれた。準優の好枠を狙う⑥魚谷が珍しく前付けに動き、5号艇の守屋はあっさりと6コースに追い出された。が、このレースでも勝負駆け軍団に怯むことなく真っ向勝負。最アウトから握りっぱなしで大きな弧を描き、外から外への全速戦でバック3番手に躍り出た。そこから先もしっかり回って魚谷、馬場、大上ら勝負駆け軍団をぐんぐん突き放し、1-2-5という本命フォーカスで64倍の中穴を演出した。

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 将棋の世界では「自分が消化試合のときこそ、勝負が懸かった敵に全力で勝ちに行け」という金言が存在する。次に戦うときの大きな布石になるからだ。今日の守屋はまさにその金言を地で行くレースを魅せてくれた。勝負駆けの猛者たちを蹂躙した1・3着は、必ずや明日への大きな糧となるだろう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)