BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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下関メモリアルTOPICS 初日

ハイレベルの攻防

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 今日の私の勝手なベストレースは5Rだ。絶対エースの誉れ高い石渡鉄兵11号機が、4カドのスリットほぼ同体から伸びなりに突進。まくり不可能に思えた横一線から、1マークまでにグングン加速して行った伸び足は迫力満点! 最近の私は伸び型のパワー&選手ばかり追いかけているのだが、こういう「そりゃ無理だろ~!?」みたいな隊形から嘘みたいに出て行くのが「伸び型」なのだ。アレを見た瞬間、「やっぱ今節のトップ直線足は11号機だわぁ」と確信しましたね、はい。

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 とは言え、この鉄兵の猛攻もひたすら先マイを目指したイン森高一真には届かずまくり差しにチェンジ。森高のイン戦は強めの握りマイが多いのだが、今日は鉄兵が見えたせいかいつにも増して豪快にフルスロットル。当然ながらボートはほぼ真横に流れ、2コース徳増秀樹の注文差しがものの見事に決まった。
 もはやこの時点で1着は確定したのだが、その後の2着争いが凄まじい。平本真之が絶品ターンで取りきったかと思うと鉄兵が巻き返し、鉄兵で決まりかと思うと森高がエグイ全速差しで肉薄し、とにかく瞬きひとつできないボートチェイスが繰り広げられた。何というか、初日の5Rとは思えない、まるで準優のような高いレベルの攻防だったな。

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 で、最終的に2着をもぎ取ったのは、やはりトータルパワーで一枚上手の鉄兵11号機だった。何度も直線で競り合いになったとき、大きくモノを言ったのがスリット後(バックではスリット裏)の伸び足だ。ここで半艇身くらいの余力が生まれる分、次の旋回のマイシロにも余裕ができる。これに加えて、昨日はやや不安視していた出足・回り足もかなりしっかりしていて、後続の猛追をテキパキと封じることができた。森高&平本の出足系統も上々に見えたが、全部の足をフル稼働した鉄兵11号機に一日の長があったと見ていいだろう。読者におかれては、そのあたりのパワー比較も堪能しつつリプレイをご覧いただきたい。ミスらしいミスもなく2番手から4着に甘んじた平本55号機に関しては、「相手が悪かった」としか言いようのないレースだったと思っている。
 この他のトピックスは、私なりの独断のパワー鑑定とともに紹介していこう。

足色別の独断パワー評価

ストレート系
★★★石渡鉄兵11号機=S
★★井口佳典17号機=A+
★★徳増秀樹33号機=A+
★平尾崇典74号機=A
★湯川浩司40号機=A
☆磯部 誠73号機=穴

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 トップ指名の石渡については前述のとおり。スリット~1マーク、道中の大接戦のどこを切り取っても伸び足が際立って見えた。ただ、宮島グラチャンの徳増45号機(その後の転覆で、今はごく普通の上位機に陥落)ほどのモンスターレベルには至っておらず、現状ではSランクが妥当だと思っている。
 ドリーム戦で4着に敗れたものの、井口17号機の直線足もゴキゲンの一語。今日のスタートは明らかにアジャストしてしまったが、道中で白井英治を追い詰める足色は鬼の部類と見ていいだろう。

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 で、徳増・平尾・湯川はいつでもどこでも行き足を重視するタイプで、今節は初日からその部分の足がそれなりに仕上がった印象がある。それにしても、今日イチのサプライズは11Rの湯川の4カド一撃まくり! 多分にダッシュの利が幸いしたスリットにも見えたが、まさかあの隊形からインの田村隆信まで攻め潰すとは……。「11号機の他にスリット同体からまくりきれるパワーは皆無」などと思っていたが、この3人はさらにストレートがアップする可能性があるので常にスタート展示&展示タイムに注意を払いたい。

出足・回り足系
★仲谷颯仁59号機=A
★森高一真63号機=A
★片岡雅裕31号機=A
★白井英治43号機=A
★平本真之55号機=A

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 湯川が4カドまくりなら、7Rの仲谷は5コースまくり差しという大技を決めた。スタートはやや後手にも見えたが、そこからじわじわ出て行って「えいや!」の全速ぶん回し。若いスピードに拠る部分もあるけれど、4本ほどの引き波を横断して逃げる魚谷智之まで捕まえたレース足は天晴れの一語。天賦のターンセンスも込み込みで、今節の台風の目になりそうだ。
 一方、ドリーム3着の白井43号機は「悪くはないが」というレベルで前検ほどの迫力は感じられなかった。道中でも井口の猛追を浴びてふらふらしているように見えたし。スタートで挟まれるような隊形になった影響も大きそうだが、私の買い被りの可能性も含めてAランクに留めておきたい。

バランス系
★★新田雄史28号機=A+
★菊地孝平21号機=A
★中野次郎16号機=A
★馬場貴也25号機=A
★吉川元浩42号機=A

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 ここで特筆したいのは、もちろん新田28号機。1R(3着)の足色は期待したほどではなかったが、8R後の勝利インタビューで「前半は調整を大幅に外していた」と聞いて納得。その8Rはインからズンズン伸び返して余裕たっぷりの逃げ圧勝だったし、まさに全部の足がしっかり強いバランス型という印象を受けた。「三島リスト」のツートップが初日からそれぞれの特長をアピールしたわけで、伸び~る11号機との直接対決が今から楽しみだ。

整備でパワーアップ
☆☆寺田 祥70号機(ギヤケース・キャリアボデー)
☆赤岩善生60号機(電気一色・ギヤケース)
☆長田頼宗27号機(ピストン2・リング4・シリンダケース)

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 昨日まで泣きが入っていた地元の寺田70号機が、大整備を経由して3コースまくり発進! それまで一走もしてないから「大幅アップ」かどうかは分からんのだが、ターンの初動からイン萩原秀人を引き波にハメるまでの強ツケマイは迫力満点だった(萩原がワースト級の可能性もあり)。

整備をしたものの……
▼今村 豊62号機(ギヤケース)
▼今垣光太郎69号機(ピストン2・リング4・シリンダケース&リング4)
▼久田敏之30号機(キャリアボデー)
▼西山貴浩46号機(電気一色・キャブレター)
▼田村隆信51号機(ギヤケース・キャリアボデー)

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 一方、同じく大整備を敢行したこの面々は、スリットから道中からどうにも冴えないレースっぷりだった。ただ、部品が徐々に馴染んで良化するケースもあるので、明日からも足色の変化には注意しておきたい。ちなみに西山は今日のレース後にさらなる大手術に踏み切ったという情報もあり、明日は「西山=ワースト級」という先入観をリセットして対峙したほうが良いかも??(photos/黒須田守、text/畠山)