BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ハプニング

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 2R発売中、ピットがにわかに慌ただしくなった。東京支部を中心に、駆け回る選手たち。やがてボートリフトの脇あたりに彼らは集合。するとそこに、「中野」のプレートが着いたボートが曳航されてきた。そう、中野次郎が試運転で転覆してしまったのだ。その他の選手の試運転はいったん休止となり、中野の艇を曳航することが優先された。そしてピットでは大急ぎでボートを引き上げ、転覆整備の準備が始まっていた。
 幸いにも中野は無事で、陸に上がると急いで控室へと向かっている。すぐに着替えて、転覆整備を行なわなければならないのだ。これまた幸いというか、今日は10R1回乗り。整備の時間に余裕がある。それでも中野は仲間のヘルプを受けながら急ぎ整備を進める。これが勝負駆けにどんな影響を及ぼすか、気にかかるところではある。

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 2Rでは、井口佳典がフライングを切ってしまった。3日目連勝で勝負駆けに持ち込んでの6号艇、気合が入りすぎたか。下関のボートリフトは6艇が一気に乗り込めるので、真っ先に帰ってきた井口はリフトに乗ったまま、レースが終わって他の5艇が帰ってくるのを待たなければならなかった。いったいどんな思いで、一人リフトでの時間を過ごしたのか。陸に上がって、井口はすぐさま競技本部へ。その表情はただただやるせないものだった。

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 で、通常はレースが終われば艇旗艇番を取り外すものなのだが、東海勢はそれをしなかった。気づいた大山千広が外そうとしたら「あ、いい、いい」と菊地孝平。ようするに、賞典除外となって明日は間違いなく6号艇が回ってくるだろうから、今日の艇旗艇番はステイでオーケーということらしい。仲間たちのそんなちょっとした振る舞いが、井口にとっては癒しになるかもしれない。

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 勝負駆けの一日、いきなりハプニングが起こったわけだが、早い時間帯のピットは、実はこれ以外は大きな動きがなかった。昨日よりは選手の往来も多く見られたが、大きな整備をしている選手もおらず、ただペラ調整室から聞こえてくる金属音は昨日よりもボリュームがあったように聞こえはした。ペラ調整組では、白井英治が眉根にシワを寄せて、集中してのペラ叩き。無事故完走で準優当確とはいえ、できるだけいい枠番で乗ろうとするなら、さらなる上積みが必要ではある。それを視野に入れての、調整ということになろう。

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 峰竜太も、1R発売中にペラ調整室に入っている。こちらはトップ争いを完全に視野に入れての予選最終日。足的には中堅と本人も言っており、こちらも上積み果たしてトップ通過をもくろんでいることだろう。

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 そうそう、1R終了後、徳増秀樹がモーターを外して整備室に持ち込んでいた。1Rは6着大敗、準優は絶望的だが、6Rは1号艇である。ここは取りこぼせないと、整備を決意したのか。しかし、6Rまでには時間がないが、整備できるのだろうか。というわけで、整備室が覗ける場所に移動して徳増の姿を探したら、ものの数分でふたたびモーターを装着に向かったのだった。正直、何をしていたのかまるでわからなかったな。短い時間でもできることをやった、ともっともらしく記しておこう(笑)。

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 その1Rを勝ったのは羽野直也。これで得点率は6.00、現時点では勝負駆け成功、ということになる。もちろん、この後の結果次第ではまだ安全圏とは言えないが。羽野は勝っても特に表情を変えず、エンジン吊りも勝利者インタビューも粛々淡々とこなしていた。そういえば、最近のSGで羽野くんのスマイルを見た記憶がないなあ。そしたら、たまたますれ違ったときに拍手を送ったら、「ありがとうございます!」とニッコリ笑ったのだった。もっともっと活躍して、その笑顔を振りまいてください!

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 なお、今村豊が途中帰郷となってしまった。下関SGを途中離脱するのは無念極まりないことだろう。山口支部の面々には、ミスターの魂を背負って戦ってもらいたい!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)