BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――初々しさと成長と

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 エンジン吊りに出てきた宮之原輝紀が、こちらを見つけてツツツツと駆け寄ってくる。お疲れ様です! 去年の新人王が、実に瑞々しく挨拶に来てくれた。宮之原のお父様は元整備士で、その当時からずいぶんとお世話になったものだ。家が近くなので、喫茶店などでバッタリ会ったこともある。そうした縁で、輝紀もこちらに礼を尽くしてくれるというわけだ。もっとも、輝紀と顔を合わせるのは昨年のヤングダービー以来。というわけで、ものすごく遅ればせながらの新人王受賞の祝福の言葉を送ったのであった。何はともあれ、今節もどうぞよろしく!

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 宮之原に限らず、ちょっとした絡みがかつてあった若手選手は、若々しい雰囲気で声をかけてくれるものだ。JLCの番組で共演経験がある前田篤哉もその一人。昨年のヤングダービー、今年の3Daysバトルトーナメントなどではちょいちょい会話を交わしている。3Daysの際には、今年の新人王獲得宣言! 先月の平和島で優勝戦1号艇に乗っており、そこで勝っていればかなり近づいたんだけどなー。今日の前田は登番最若手ということで、自身の調整と新兵仕事に忙しそう。それでも目が合えばニッコリと会釈をしてくれる。今節ももちろん取材は厳戒体制、なかなかこちらから話しかけるのは難しいが、フェイスシールドをしっかり持参して、チャンスがあれば話したいなー。

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 別にそうした縁があるわけではないが、井上忠政も顔を合わせれば丁寧に挨拶してくれる一人。今年2月の津レディースvsルーキーズで初対面であったが、毎朝、彼のほうから、それこそこちらが背中を向けているときでも、礼儀正しく頭を下げてくれたものだった。今日もまた同様。GⅠデビューとなる今節、おおいに名前を売ってもらいたいものであります。

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 まあ、名前をあげた3人に限らず、若手選手たちはこのおっさんに対して礼を尽くしてくれるものであります。そして、SGで顔を合わせるようになると、もちろん基本的な姿勢は変わらないなかで、どんどんと凛々しく、そしてこちらが声をかけにくいような雰囲気をまとっていくもの。それを見るのがまた楽しく、頼もしくあるわけです。そんな存在の一人が、ドリーム1号艇の磯部誠。SGのピットでも何やかやと声をかけてくれる一人ではありつつ、しかしレース前などはピリピリとした緊張感を醸し出すようになってきている。そして今日もまた、明らかに一味違う雰囲気を出してもいた。SG常連となり、さらに上を見るようになってきている磯部は、GⅠデビューの選手も少なくない今節にあっては、やはり発散する空気がどこか異質だったりするわけである。それを見ると、思わず唸らされますね。

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 それは、SG優出経験もある木下翔太にしても同様。このメンバーに入れば明らかに格上であり、ピットでの振る舞いもそのように見えてくるものであります。上條暢嵩もそうなんだけど、かつてはレンズを向ければニコニコでグラッツェポーズを見せてくれたものだが、そうした振る舞いはめっきりと減った。穏やかに笑顔を向けてくれることも多々あるのだが、いたずらにはしゃぐようなことが少なくなったというか。それもまた、成長の証しということかもしれませんね。そして、若武者バトルを近くで目撃できる幸福を感じさせてくれるものでもある。

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 そうそう、一昨年のヤングダービーでGⅠデビューした大山千広も、たった2年で完全に銘柄級の一人になりましたよね。あのときの初々しさは今でも記憶に鮮明だが、巨大な注目を浴びるようになって、ピットでの雰囲気は明らかに変化を見せている。どうしたって多くの耳目を集めてしまう現状、やりにくかったり苛立ったりすることもあるかもしれないが、それがまた彼女の強さを感じさせる雰囲気にいい意味で転化しているように思う。今節はF2の足かせがあるわけだが、それを感じさせない格上の戦いを見せてもらいたい。(黒須田)