BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ゴマ油と勝負駆け

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 選手から「ゴマ油」という言葉が口々にこぼれ始めた。1R発売中のことだ。ご存じの方もいらっしゃるだろうが、蒲郡では時折、ゴマ油の香りが漂うのだ。今日はなかなか強烈な香りで(マスク着用でも強く香った)、うーん、レバ刺し食べたい! というのはともかく、この香りの正体はというと、そのまんまゴマ油の香り。1マークの奥のほうにゴマ油の工場があり、ここから漏れ出す香りが風に乗ってピットにも流れてくる、という次第。ということはどういうことか、というと、答えは西山貴浩が口にした。「向かい風が来ましたよ~」。さよう、1マーク奥から吹いてくる風だからホーム向かい風。というわけで、「ゴマ油の匂いがしたら向かい風」という格言が蒲郡にはあるのである。ダッシュが利くようになるかも?

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 その西山は、右手に透明なシールド、左手にヘルメットを手にしていた。ヘルメットには濃いスモークが張られたシールドが着いている。その直前、久田敏之がヘルメットを手に控室のほうへと戻り、ピットに帰ってきたときにはやはりスモークが濃いシールドに換わっていた。二人とも3Rに出走。1マークの奥というのは、方角では西にあたり、つまり向かい風は西風となる。そして、3R発走の15時30分過ぎというのは、太陽が西に傾く時間帯である。西山も久田も、西日対策でシールドを交換したというわけだ。西山は日が暮れている7Rに登場だから、3R後は再度シールドを交換するのだろう。

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 というわけで、SGは勝負駆け。2Rは丸野一樹がまくり差しで突き抜けて、予選突破をほぼ確実にした。8月のメモリアルのピットで、僕は丸野の「何としてもグランプリに出たい」という強い決意を聞かされている。当時は賞金ランク15位、16位あたりにいたのだ。しかしその後にヤングダービーはF休み、ダービーは出場権なしで、27位までランクダウン。GP行きを決めるには、未経験のSG優出を最低でも成し遂げなければならない(そのうえで優勝戦は舟券絡み以上か)。そのためには、これまた未経験だったSG予選突破も果たさねばならず、まずは第一関門クリアだ(後半無事故完走なら)。池田浩二にからかわれて爽快な笑顔を見せた丸野。後半は6号艇だが、少しでもいい枠での準優行きを目指したい。

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 その池田は、崖っぷちに立たされてしまった。2Rは6コースから5着。これで後半はピン勝負!(ボーダーが5.50より下がらなければ)クリアできなければGP行きは相当に厳しくなるわけで、まさに一世一代の勝負駆けである。そのエンジン吊り、池田のモーターは外され、整備室へと持ち込まれている。本体整備だ! 後半は11R、それまでに文字通りの勝負整備を施してくるだろう。他の愛知支部勢も、池田のことがおおいに気になる様子で、池田の整備を祈るように見守ることになるかも。後半の足色に注目したい。

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 その2R、岡崎恭裕は2番手もあるかという展開で4着に後退してしまっている。ボーダーが5.50のままなら、後半は無事故完走で当確とはいえ、丸野同様に優出がGP行きの最低条件となりそうなだけに(そのうえで準Vあたりが欲しいところ)、準優は少しでも好枠で乗りたいところ。レース後は福岡勢に囲まれて痛恨の表情も見せていて、10R4号艇は気合が入る一戦となる。勝負師が繰り出す勝負手は果たして。

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 今節は男子と女子の意外な絡みを何度か書いているが、今日も出現。昨日よりも人数が増えたカメラマンたちが一斉にレンズを向けてシャッターを押しまくっていたのが、毒島誠と守屋美穂だ。スーパースターとスーパーヒロインの競演はやはり絵になりますな。毒島の説明に聞き入る守屋にとっては、シャッター音など耳に入らなかったことだろう。確実に引き出しが増えたはずだ。

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 女子同士の絡みですが、小野生奈の肩を揉む深川麻奈美。この直前には、小野が先輩の肩を揉んでいて、これはそのお返しですね。そういや、蒲郡出張5日目、俺も肩凝ってきたなあ。深川でも小野でも、いや、こうなったら誰でも、肩揉んでくれたらいいなあ……。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)