BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――凛としたGP

f:id:boatrace-g-report:20201214171002j:plain

 これぞグランプリ、とでも言うべきか、特に18人から漂ってくるものは、いつものSGとは違って感じる。たまたま篠崎仁志が撮影可能エリアの近くで装着作業をしていたのだが、ピリピリというほどでもないのだけれど、凛とした強い気持ちが体からあふれているように思えるのである。今年は初めてのトライアル2ndからの参戦。SG覇者の肩書を手にしていることが、充実感も高めているだろうか。

f:id:boatrace-g-report:20201214171050j:plain

 水面に真っ先に下りたのは村田“名人”修次だったが、グランプリ組では毒島誠が一番乗り。装着作業を終えて、いざ水面へ向かおうという時の表情がまた、凛々しかった。毒島は水面での感触を確かめたあと、さっそくプロペラ調整を始めている。明日、明後日もたっぷりと調整する時間がある2nd組、しかし前検日にのんびりするようなことはありえない。

f:id:boatrace-g-report:20201214171130j:plain

 松井繁は、装着作業を終えると水面に下りるより前に、プロペラ調整所に向かっている。ある程度は叩いたのか、それともゲージを当てて形状をチェックする程度だったのかはわからないが、調整室入りは王者が一番乗りであった。3年ぶりに戻ってきた、王者がいるべき場所。住之江ではなく平和島であったとしても、やはりこの舞台こそ王者に似合う舞台だ。その振る舞いもまた、なんとも王者なのであった。

f:id:boatrace-g-report:20201214171153j:plain

 寺田祥のグランプリジャンパーの左胸に、何か書き込みがあった。よく見ると、今村豊さんのサイン! 10月に電撃引退となった我らがミスター。その衝撃は今もなお鮮明である。その決意を、真っ先に聞かされたというのが愛弟子の白井英治とこの寺田祥。その魂を受け継ぐ存在として、ミスターに認められた二人ということだろう。ミスターの思いを胸に乗せて戦うグランプリ。白井も同様だろうが、今回のグランプリは特別な、いやグランプリは特別な戦いに決まっているが、さらにもうひとつスペシャルな思いが重なる戦いとなる。

f:id:boatrace-g-report:20201214171220j:plain

 菊地孝平が引いた56号機。機歴を見て、菊地はある発見をする。「横澤剛治くんが引いて優勝しているんですよね。横澤くんが優勝しているなら、僕も優勝できると思います」。会見でそう言って笑わせた。もちろん、横澤を下に見ているのではない。菊地、横澤、坪井康晴の3人は静岡支部の82期同期生。言わずと知れた、静岡三羽烏だ。菊地も坪井も一貫して、「この3人の実力は変わらない」と言い続けてきた。実績では横澤が後れを取っているようにも見えるが、菊地も坪井もそうは思っていないのだ。だから、「横澤くんが一緒に戦っているような気がして、心強いですね」と菊地は言った。菊地もまた、盟友の思いを背負いながら戦うのである。

f:id:boatrace-g-report:20201214171241j:plain

 そうそう、今日の記者会見はなんと、リモートで行なわれました。インタビュー室と競技棟をリモートでつなぐもので、これは初めてのこと。グランプリということで報道陣も増えており、インタビュー室の密を回避ということだろう。写真は岡崎恭裕の会見。手応えは悪くなかったようで、そんな雰囲気はリモートでもよく伝わってきました。

f:id:boatrace-g-report:20201214171335j:plain

 これに不満を唱えたのが西山貴浩。ライブで記者を笑わせたかったんでしょうね(笑)。「つまんない!」と叫ぶニッシーニャであった。聞き逃せなかったのは、「黙って6コースはない」という発言。「しゃべりながら6コースかもしれないですけど」がスベったのは気になるところだが(笑)、その言葉はやがて「いろいろ考えましたが、動きます」につながっていったのだから、11Rは進入から注目! どこまで入れるか(誰も譲らず6コースもありうる)はピットアウトしてみなければ、というところだが、西山が決意を胸に平和島にやって来たのは間違いなさそうである。

f:id:boatrace-g-report:20201214171404j:plain

 シリーズ。須藤博倫が整備士さんとともに奔走。どうやらモーターに気になるところがあった様子である。今日のところはあまり時間がないから、明日も出番までには大きな動きを見せることになるのか。今日明日と忙しくなりそうな雰囲気だ。

f:id:boatrace-g-report:20201214171443j:plain

 6年前に続いて、グランプリに出場選手を送り込めなかった地元勢。がんばれ東京支部! ということで、シリーズではおおいに存在感を示してほしいところ。昨日、多摩川で優勝して中ゼロで平和島に転戦してきた長田頼宗には、その勢いに乗っての活躍を期待しています!(黒須田)