BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――クライマックス組、始動

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 7~8R発売中に、クライマックス組は続々と水面へ。早めに下ろした選手はクライマックス組同士、あるいはシリーズ組とも、足合わせなどをして、9R&10R発売中のスタート練習&タイム測定に備えた。ちなみに、最後に下ろしたのは松本晶恵。プロペラは叩いてはいないようだが、確認などを入念に行なっている。松本が引いたのは7号機で、9月開催のヴィーナスシリーズで引いていたのが誰あろう、松本晶恵。優勝戦4着だった。ただ、節間1勝のみと「パッとした仕上げにできなかった」。プロペラの形は当時とあまり変わっていないというから、そのときの記憶を辿りつつ叩いて、前回以上の仕上げを目指すことになる。

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 足合わせをしてから、小野生奈はいったん機歴簿を確認するため整備室へ。機歴簿をぱたんと閉じた小野は、その場で何度か足踏みをしてウキウキした様子。自身の手応えと機評価が一致したか。三島敬一郎がS評価を下したモーター。タイム測定などを終えたあとは、ギアケース調整をする姿があった。

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 岩崎芳美はやや冴えない表情に見えた。モーター抽選で18号機を引いた時は岩崎自身も周囲も盛り上がっていたのだが、想像したような手応えではなかったようである。どうやらエース機と聞かされたらしく、そのときの高揚感は失せてしまったか。会見での話を聞けば、資料で唯一「S」がついていたのが18号機で、岩崎は「エス」と聞かされたものを「エース」と勘違いしたのではないかと想像されるのだが。回転が上がっていない、とのことで、明日は時間をかけてそのあたりを解消していくか。

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 平山智加は記者会見で「特徴がない」とコメント。悪いわけではないが、ここがいいとか悪いとか、コメントしようがない感じだった。そこで「実際、このモーターはどうなんですか?」と報道陣に逆質問したりして。明日は全体的な底上げを目指すのか、特徴を引き出す調整をしていくのか注目したい。

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 それ以外では、「悪くない」とコメントしたのが守屋美穂、平高奈菜、遠藤エミ。普通というニュアンスだったのが、田口節子(みんなと一緒くらいと言っている)、細川裕子(可もなく不可もなく、と言った)「行き足が甘い」が大山千広、寺田千恵。賞金ランク1位でやって来た守屋は、ピットでは今日のところはリラックスした表情で、タイム測定などのあとも自然体で過ごしていた。1位だからどうこうという意識は今のところなさそうだ。

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 で、明らかに劣勢と言ったのが、2連対率トップの12号機を引いた香川素子。前節で転覆しクランクシャフトを交換しており、畠山も三島も、数字通りではないだろうと値踏みしていたモーターだが、香川の感触も良いとは言えなかったようだ。もちろん立て直しをはかってくるだろうが、どこまで引き上げられるかが気になるところだ。香川はどこかツイていないというか、今日は宅急便で送った荷物が浜名湖に届いていなかった。間違って蒲郡に送ってしまったようだ。まあ近隣のレース場なので、時間がかからずに届くだろうが、今日の前検は遠藤エミのウェアを借りた模様。樋口由加里とズボンがおそろいになっているのは、そういうことらしい(遠藤と樋口は同期生)。こちらのツキもなんとか取り戻したい。

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 そうそう、大山千広は現在フライング休み中。グランプリとクイーンズクライマックスだけは特例で、フライング休みに日程がかかっていても出場できる。未消化分は後回しにできることになっていて、大山は来年2月3日~21日に残りを消化することになっている。グランプリでは茅原悠紀が同様でしたね。大山はいわば休み明けの出場となるわけだが、「不安はあるが、それは言っても仕方ない。それよりも楽しみにしてきた。レースをしたかったから」と前向きである。去年は賞金ランク1位での参加で、いろいろとプレッシャーもあっただろうが、今年はレースへの渇望とともに、思い切り戦ってほしい。

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 シリーズ組。12人がピットに登場すれば、どうしたって注目度が低くなってしまうわけで。カメラマンのレンズもほぼ12人だけに向けられることになる。だが、それでモチベーションを下げている場合ではない。6Rを逃げ切った岸恵子は、レース後さらに本体整備! 勝ったことで満足するどころか、さらに足りない部分を補おうと本体を割ったのだ。戦い舞台の大小や注目度の高低など関係なく、目の前のレースを必死で戦おうという姿勢なのだ。

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 12R出走の出口舞有子は、報道陣の多くの目が12人に向けられる中、必死に調整を続けて12Rに臨んでいる。結果2着! 前半1号艇で敗れた分を巻き返してみせた。出口はいずれクライマックスに駒を進めるべき若手選手。明日からの11R、12Rに刺激を受けながら、シリーズ戦に全力投球だ。

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 事故レースではあったが、赤澤文香が8Rで3着に。今節初の舟券絡みだ。レース後のエンジン吊りにはもちろん寺田千恵が参加し、さかんに赤澤に言葉を投げかけていた。それを受けて、ヘルメットの奥では赤澤の目が細くなっていた。岡山軍団にとって、クライマックス組の合流は精神的支柱であるテラッチの合流を意味している。頼りになる先輩を支えにして、ますます力が入ることだろう。(黒須田)