BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――個性を発揮するために

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 やはり得意技=強い個性を持っているボートレーサーを見ているのは楽しいものだ。石川真二が精力的に動き回っているのを見ていると、「ピット離れ、飛ぶのか!?」と期待感が高まるというもの。飛ぶか飛ばないかは仕上がり次第だが、少なくとも飛ばすための調整に全力を傾けているのだと思えるから、その動き自体が頼もしく思える。

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 近況、伸びを引き出して戦うことが多い平尾崇典が、本体整備→ギアケース→プロペラ調整と、早い段階で次々に仕事をこなした。これも同様。いつも通りの伸びをつけようと奮闘しているのは間違いないだろうから、ドリーム戦が待ち遠しくなる。エンジン関係はどうやら一段落ついたようなので、今日はたっぷりとペラを自分の形に叩いていくことだろう。

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 こうした個性を持つ選手が実に多いのがマスターズチャンピオン! もちろん前付けもそのひとつで、まあ、徹底して動く選手は仕上がりうんぬんにかかわらず、レースでは動くわけだが、それでも「単にコースを動く」のではなく、「コースを動いて勝つ」ための調整をしていると考えれば、ペラを見つめる目つきの鋭さはまた感動的だ。たとえば江口晃生の、普段は温厚な目つきがぐぐっと厳しくなっているのを見れば、4R、1号艇の西島義則に向かっていくはずの戦いぶりが想起されて、心弾むのである。

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 2Rのスタート展示で、今村暢嵩がイン奪取! ピットでの動きうんぬんは抜きにしても、こうした場面を見ればやはりテンションは上がる。本番は2コースまでしか入れなかったけれども、2着には粘った。ピットに戻った今村は、出迎えた田頭実らと満面の笑顔でレースを振り返る。アタマは獲れなかったけれども、そこには充実感が漂っているのであった。

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 2R、1号艇は荒井輝年だった。展示でインを奪われ、本番は抵抗して死守したはいいが、中辻博訓のまくりに抗っている間にズブズブと差されて4着。浮かない顔で戻ってきた荒井は、改めてこの一戦の厳しさに思いを馳せていただろうか。どんな舞台であれ、油断などできるわけがないのがボートレースだが、マスターズチャンピオンはまた違う意味での厳しさがある。もちろんそれを利して優勢を自身に向けさせるのもまたこの大会の醍醐味。別の枠からのリベンジに燃えてもらいたい。

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 1Rオープニングを制したのはテラッチ! レース後、金子良昭と楽し気に笑い合いながら語り込む場面が。スリット隊形では、寺田は2コース3コースにのぞかれる格好となっていたのだが、実際には寺田はコンマ11の好スタートで、2コース江本真治がコンマ05、金子がコンマ04とかなり早いタイミングだった(金子は競技本部に呼び出されてました)。そのあたりを振り返っていたようで、寺田は逃げ切ったこともあってニッコニコ。その笑顔がもっとたくさん見られる一節でありますよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)