BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――1便前後

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 下関の選手宿舎はピットのすぐ裏にあって、それこそ徒歩10~20秒ほどで着いてしまうわけだが、それでも帰宿には1便2便とあって、1便は10R終了後に出発する。10R出走組で、その後に特に作業がない選手は慌ただしいレース後。1号艇で大敗を喫した徳増秀樹は、深刻な顔つきでピットに戻ってきて、足取りも重かったわけだが、着替えを終えたあとは猛ダッシュ。大急ぎで集合場所に合流していた。結果はかなり悔しいものだったはずだが、速攻で宿舎に戻れることが切り替えを促す効果をもたらすかも。飯食って風呂入ってリフレッシュして、明日の巻き返しにつなげてもらいたい。

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 10R組でも、吉川昭男は居残り。12R発売中には、ギアケースの調整を進めていた。スリット後に締められてバランスを崩す場面がありながらではあるが、6着大敗。不運ではあったが、足に足りない部分もあったということであろう。気になるところは明日に回さない。その姿勢もまた、明日に向かう活力の素であるだろう。

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 その吉川に「アキオー」と声をかけていた松井繁。先輩だから当然だけど、吉川が呼び捨てにされてるところ、初めて見たような気がする。松井は楽しそうに吉川と談笑していて、リラックスムード。あの西山貴浩いわく「吉川さんはボート界3本の指に入るお笑いのセンスを持つ」と証言しており、今日も王者を笑わせていたのかなーと想像が膨らむ。西山は吉川とトークショーで競演を熱望しており、コロナ禍が明けたらどこかのレース場でぜひ実現を!

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 整備室では、柴田光が本体整備。ここまでゴンロク、早急に立て直しが求められるところ。おっと、前夜版を確認したら、明日は1号艇が回ってくるではないか。ならばなおさら、パワーアップをしておきたいところ。今日6着を獲ってしまった金子良昭も長く整備室にこもった。予選後半で追い上げを利かせるためにも、夜が深くなろうが、作業は続くというわけだ。

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 なお、1便帰宿組で印象に残ったのが今垣光太郎。選手はみな、トートバッグだったりデイバッグだったりを持っているのに、光ちゃんだけまったくの手ぶら。帰宿しようとしているというより、散歩に出かけようとしている雰囲気だった。ピットと宿舎はすぐ近くでも、両者はきっちり分けているということ? ピットではいつも働きまくっている光ちゃん、ピットでは完全にOFFモードなのかもしれないですね。その切り替えが、ピットでの集中力の源か。

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 で、10Rは平尾崇典のカド攻めに抵抗した角谷健吾がそのまま先攻めして快勝。力がこもる1着だった。勝利者インタビューが終わった頃、ちょうど11Rの展示が終わって出走選手が戻ってきた。太田和美が角谷をからかいまくり(笑)。もちろん祝福の意を込めた、敬意あるイジりである。角谷と大阪支部の絡みって、本当によく見かけるんです。田中信一郎とか湯川浩司とか、実に仲がいい。目の前で角谷が豪快に勝って、太田もテンションが上がったのだろうか。

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 その太田は、11Rをきっちりと逃走。穏やかな表情を見せるレース後であった。同じレースを戦った同期の三嶌誠司と顔を合わせると、さらに柔らかな顔つきになったのであった。角谷がイジり返したりしないかなあ、と期待していたのだが、そんなシーンは目撃できず。そうそう都合よく見たいものが見られるわけがありません(笑)。ともかく、角谷との絡みといい、勝利後といい、実にいい雰囲気を見せている太田和美である。

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 それにしても、寺田千恵の仕上がりは素晴らしいですね。3番手を走る三嶌を猛追したわけだが、小回りの連続でぐいぐい差を詰め、最後は逆転してしまった。あの展開、普通は追いつかないんだけどなあ。レース後の寺田は相手を気遣ってか、表情を緩めることなく、三嶌には何度も頭を下げていた。6号艇で3着浮上は今後を考えれば実に大きく、予選突破に向け視界は明るくなったと言っていい。明日は5号艇だが、6号艇に西島義則。実質6号艇2回か……まさに明日は試金石だ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)