BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――雨が降る降る4日目序盤のピットから

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 4日目午後イチの丸亀は雨。それほど雨脚は強くないが、しっかりと降り続けて梅雨らしさを醸し出している。
 それもあるのかどうか、水面に出ている選手は少ない。というか、ペラ室にしろ装着場にしろ、選手の姿自体がそれほど見られない。整備室は、1R発売中2R発売中ともに0人であった。今節はGⅡ、A2級もB1級もいるけれども、ピットの雰囲気自体はSGの4日目序盤にかなり近いと言っていい。

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 1R展示終了後、揃って陸に上がってきた新田雄史と白井英治。新田のもとには足合わせをしていた向後龍一がやって来て、二人はにこやかに感触を話し合っていた。白井はキリリとした表情。

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 1Rの締切が近づいたころ、松井繁がプロペラを手に係留所への渡り橋を降りて行った。渡り橋は2つあって、ペラ室に近いほうは屋根がない。しかし松井は雨に濡れるのもかまわず、屋根なしの橋を軽快な足取りで降りて行った。王者の進軍は雨の影響など少しも受けない、のである(?)。

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 我らが信州の星・飯山泰は雨の中で試運転とペラ調整を繰り返す。2R発売中、ペラ室を出た飯山は、整備室にいったん入って通り抜け、屋根があるほうの渡り橋から係留所へ降りて行った。遠回りになっても濡れたくないよね。と思ったら、試運転からペラ室へ向かう際には、屋根なしのほうを渡っていた。信州人は雨なんか気にしないんです! ってなわけはないけれども、難しい顔で橋を上がっていたので、試運転の感触に思いを至らせるなか、ペラ室への近道を身体が勝手に選んでいたのかも。

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 メモに残っている選手の動きはこれくらい。あ、あと長田頼宗と高橋直哉が装着場でずいぶん長いこと立ち話をしていて、そこに馬場貴也が加わるという場面があったんだった。93期の同期会! 長田と高橋は同支部同期なのだった。というわけで、ここからはレース後の様子をトピックス的に。
●3カドまくり!

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 1Rは池永太が3カドから伸びてまくり一撃。西島義則の前付けを受け入れ、4コース今垣光太郎が艇を後ろに引いたのを見て、池永は颯爽と舳先を翻して3カド選択。この戦略が奏功する見事な勝利であった。ピットにあがった池永は、会心というよりは「やっちゃいましたっ、エヘ」的な悪戯っ子っぽい笑顔。気合をあらわにしたかのような3カド戦で、ちょっと照れ臭かったのかも。
●4カドならず

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 4カドからの攻めを想定していた今垣光太郎にとっては、計算が狂った一戦かも。それでも3着で、勝負駆けは残っている。レース後は素早く着替えて、ペラ室へ。次が6Rだから大急ぎだ。それにしても、3カドがそれほど珍しくなくなったのは、明らかにこの人の功績。以前は3カドが選手仲間の不評を買うかのような空気もあったなか、今垣は当たり前のように頻発し、それが他にも広まっていた。本来はもちろんルール通りの戦法であり、また出現すればファンの心をときめかせる3カド。それが普通に飛び出すようになったのだから、今垣には称賛を送るべきなのである。ま、このレースはそれで負けちゃったわけですが。
●厳しいイン戦

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 1Rで1号艇に入ったのは鹿島敏弘。やはり西島義則が外枠に控える1号艇は、難しい戦いにならざるをえない。なんとかスタートは同体で頑張ったのだが、スリット後の勢いはやはり3カドに分がある。厳しいイン戦、敗戦は半ば仕方ない部分もあるだろう。といっても、やっぱり悔しいっ! と鹿島はエンジン吊りを終えて顔をしかめた。それをねぎらう毒島誠。控室、あるいは宿舎に帰って、先輩にいっぱい愚痴聞いてもらってください!
●痛恨

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 2Rは2艇のフライングが出てしまった。1号艇の小林泰と3号艇の深谷知博だ。小林は気合もろとも逃げ切っているのだが、勇み足してしまったらご破算。出迎えた東京支部勢も、心中を慮ってか誰も口を開くことはなかった。

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 深谷を出迎えた静岡支部勢も、やはりなかなか声をかけられずにいた。フライング後の様子というのはこうしたもので、誰もが他人事ではないだけに、仲間たちも沈痛な面持ちになるわけである。そんななか、深谷に声をかけたのは桐生順平。須藤博倫のエンジン吊りに向かう途上で軽く一声かけたのだった。深谷は顔をしかめてそれに応える。桐生の言葉がきっと癒しになったのだと思う。
●複雑

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 というわけだから、恵まれ1着の須藤博倫が喜びを爆発させることはないのである。それは小林や深谷を気遣うものでもあるだろうし、またいつ自分が同じ立場になってもおかしくないということを知悉しているからでもあろう。しかし、1マークできれいにまくり差しで2番手に浮上していたからこそ、恵まれを享受することができたのであり、ただラッキーだったわけでもない。ということで、いろいろな選手が次々と須藤に声をかけて、須藤は控えめではあるが、カッコいい笑みを浮かべるのであった。胸を張っていい勝利だと僕は思います!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)