BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――傷を癒して!

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 1Rで落水失格の憂き目にあった湯川浩司が、後半7Rは走ったものの、結局途中帰郷となってしまった。今年は走った2SGでともに優出と、上々の結果を残してきていたが、ここでやや足踏み状態。湯川自身、身体も心も痛い欠場だ。
 湯川は10R発売中に、レース場を後にしている。ちょうど帰るところに出くわして、湯川は痛恨の表情で「お世話になりました」と頭を下げてきた。お世話になるもならないも、のタイミングでの帰郷に、こちらもお大事にと頭を下げるしかない。しっかり傷を癒して、蒲郡メモリアルでまた会いましょう。

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 そして、丸野一樹も欠場となってしまった。試運転中に転覆し、左手を負傷。ドリーム戦にも出走できず、無念の途中帰郷だ。直接目撃したわけではないが、涙を流していたという情報もある。せっかくのSG初ドリームを走ることができずに、途中帰郷でシリーズまでも終わってしまった。その心中察して余りある。病院に向かったようで、顔を見ることができなかったが、丸野もやはりまずは治療に専念し、そして今日一日落胆したら明日からはしっかり前を見据えて、湯川と同様、蒲郡に元気にやって来てほしい。

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 午後のレースでは、11Rがアツかった。毒島誠がピット離れで飛び出し、インを強奪したのだ。その瞬間、ピットには軽いどよめきが。僕はペラ室のモニターを覗き込んでいたのだが、調整中の選手もおぉっと目を見開いて、毒島のイン獲りに見入っていた。
 インを獲られた平本は、2コース発進からクイクイと出ていって、毒島を撃沈。溜飲を下げたかと思われたが、まくり差した守田俊介が追いつき、捌いて先頭へ。帰ることになった後輩にエールを送ったわけではないだろうが、見事な勝ち星ゲットであった。まあ、勝っても飄々としているのがこの人らしさ。平本や毒島に礼をして、さくさくと控室に消えている。

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 毒島は平本と顔を合わすなり、「ごめぇぇぇぇん!」と頭を下げた。勝負なのだから、本来は謝る必要はもちろんない。毒島は結果的に敗れているのだから、なおさらそう思う。しかし進入に動きがあれば謝意をあらわすのがレーサーたちの流儀。本番だけのイン獲りでもあったから、まずは平本への配慮があったわけである。
 平本にしてみれば、バナレでやられたわけだから文句のつけようもないところ。むしろ敗北感も強かっただろうから、毒島にはひたすら苦笑いを返すのみであった。結果2着に敗れたことも含めて、平本にはただただ悔しい一戦だったことだろう。

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 さてさて、今日は11R発売中まで試運転を行なっていた選手が何人か。最初に切り上げたのは、秦英悟と遠藤エミだった。ところが、ちょうどこのとき、リフト周りに選手の姿は他に皆無。エンジン吊りを手伝う選手が誰もいなかった。秦と遠藤はそれぞれのモーターを自力で外すしかなかったのである。

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 それを整備室で見つけて、駆け付けたのは齊藤仁と茅原悠紀。急げ急げー。待ってろよー、秦にエミー。

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 二人が駆ける音に気付いたのか、屋外のペラ調整所にいた馬場貴也も鋭い瞬発力でダッシュ!

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 助っ人登場で、エンジン吊りは実にスムーズに進んだのだった。すると、谷野錬志がここで試運転を切り上げた。

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 今度は秦と遠藤がヘルプに加わってのエンジン吊り。あ、仁さんがまだ手伝ってる。このあと、松尾拓もあがってきて、同様の動きがみられている。

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 谷野と松尾のエンジン吊りが終わり、秦と遠藤は控室へと戻ろうとしたのだが、そのとき水面にはもう1艇、試運転中のボートが走っていて、しかもリフトのほうへ向かっている雰囲気。秦と遠藤は立ち止まって、そのボートの行方を確認していた。そしたら、来た! リフトに来た! 最後の試運転艇がここで切り上げたのだ。

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 ニッシーニャでした! 今日最後まで試運転したのは、6着2本と不本意すぎる発進となってしまった西山貴浩だったのですね。秦と遠藤は踵を返してエンジン吊りに合流! 谷野と松尾も加わっていました。

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 こんなにもカポック着用者だらけのエンジン吊りは珍しいな―。そして、仁さんは最後まで参加! しかも艇番を片付けようとして受け取っているではないか。このなかではただ一人の登番3000番台。優しく素敵な先輩です!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)