BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

選手代表の意地

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10R
①篠崎元志(福岡)18
②瓜生正義(福岡)13
③大上卓人(広島)13
④原田幸哉(長崎)14
⑤磯部 誠(愛知)14
⑥上平真二(広島)19

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 さすがの瓜生正義、今節はスリットで後手を踏むシーンが目立ったが、ここ一番で質のいいほぼ全速のトップスタートを切った。逆にイン元志はやや凹んだが、この隊形なら地元のチームワークがモノを言う。余裕ある瓜生が外を牽制しながら直進し、元志は誰にもまくらせない握りマイで1マークを先取りし、瓜生の差しを許しながらもしっかりと優出圏内の立ち回りを演じた。

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 1-2を買っていたファンは地団太を踏んだかも知れないが、【準優×地元コンビ】というキーワード的には十分にありえる2-1決着だった。もちろん、元志が同体のスタートなら話は違ったのだが。

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 ちょいと惜しかったのは私の◎磯部。瓜生とほぼ同体の5コースから若き勝負師らしい「見る前に飛ぶ」全速のまくり差しを繰り出したが、瓜生と航跡が重なって万事休した。瓜生がジカまくりなら一気の突き抜けまである展開だったが、「元志が回るのを待っての溜め差し」では差し場がなかった。ただ、そんな一連の流れを見てからの攻撃ではまったく優出には届かなかったはずで、空振りであっても今日の勝負手は「敗着」ではなかったと思っている。

そして峰が残った

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11R
①馬場貴也(滋賀)08
②峰 竜太(佐賀)11
③池田浩二(愛知)07
④前田将太(福岡)07
⑤小野生奈(福岡)11
⑥秦 英悟(大阪)13

 準優でもっともパワー相場が高値安定している一戦で、スタートはほぼ横一線。私が期待した4カド前田の攻めもまったく届かず、人気の内3艇が早々に抜け出す1マークとなった。

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 その3艇の中でも、もっともパワフルに見えたのはインの馬場。峰の行き足が一息とは言え、唯我独尊でグングン伸び返して1マークでは2艇身近いアドバンテージを得ていた。そのまま何のしがらみもなくインをくるりと回って、怖い怖い峰の怪獣差しをターン出口でまんま2艇身。直前の展示タイムも抜けており、馬場36号機の仕上がりは今日がいちばん良かったと見ていいだろう。

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 焦点の2着争いは、2コースから差した峰vs3コースから豪快に握った池田の一騎打ち。そこに後方から前田がしつこく絡んだことで勝負のアヤが生じたが、常に内々でコースの利を主張した峰がギリギリ4番目のファイナル切符を入手した。

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 昨日の峰の得体の知れない3コースまくり差し~得体の知れないターン出口の押し足に唖然としたものだが、今日のレースを見る限り先着はしたものの池田の方が全体的にパワフルな見え方だった。つまり、内3艇を勝手に鑑定するなら【馬場>池田>峰】の順。特に峰のストレート足がかなり平凡で、明日の外枠では勝ちきるのに苦労しそうな印象を抱く足色ではあった。もちろん、だからと言って「苦戦必至」とは断定できない男なのだが……。

節イチ争いの決着

12R
①濱野谷憲吾(東京)08
②白井英治(山口) 12
③平本真之(愛知) 06
④守屋美穂(岡山) 09
⑤田村隆信(徳島) 17
⑥山口 剛(広島) 12

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 断然人気の濱野谷が、危機一髪の展開ながら「これは凄い!」と唸らせるイン逃げを決めた。東都のエースには申し訳ないが、まずは進入での駆け引きがかなりアジャパーだった。おそらく外の5艇がオラオラ押し寄せてのオールスローと決め込んでいたのだろう。ひとりだけいち早くホーム水面に侵入し、スタート方面に舳先を向けてしまう。一方、他の5艇は、というか6号艇の山口は「誰も入れてくれない」と悟って前付けを途中で緩め、他の4艇もしずしずと艇を流した。
 結果、イン濱野谷だけが100m起こしで、2~6コースは穏やかな枠なり3対3! 
 って、こりゃハナから不利ですがな(笑)。それでも、深い起こしから集中力を研ぎ澄ませてゼロ台まで踏み込んだものだが、今度は2コースの壁がない。連日血の滲むような整備を重ねた白井(今日はもっとも手間がかかるクランクシャフト交換!)は、それでもやっぱりダメダメでスリットからズルズル置き去りにされたのだ。

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 勢い、憲吾より踏み込んでいた平本52号機が3コースから襲い掛かる。まったく伸びない白井を軽々と叩いて乾坤一擲のまくり差し!
 こりゃ、入ったな。
 瞬時にそう思ったし、事実ターンの出口では平本の舳先が突き刺さっていたはずだ。これは事件だ。平本52号機はトップ級の直線足を誇っているからして、この舳先は抜けないはず、と思いつつ2艇の行き足~伸びを凝視する。

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 そして、じわりじわりじわり、バック直線で出て行ったのは憲吾24号機の方だった。2マークの手前で平本の舳先が虚しくこそげ落ち、そこで明日のファイナル1号艇が確定した。冒頭でも書いたとおり、見た目にはギリギリのイン逃げだったが、同時に空恐ろしい憲吾24号機のパワーを痛感した勝利でもあった。
 明日の憲吾は、スタート凹みやターンミスなどの致命的なボーンヘッドがない限りほぼ100%負けないし、ちょっとのミスがあっても負けないのではないか。
 一人旅に持ち込んだ東都のエースを見ながら、そんなことを思った。(photos/シギー中尾、text/畠山)