BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――48号機が……

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 細川裕子がモーターをバラした。そう、評判の48号機を。
 エース級の評価をされているモーターをバラバラに分解するシーン、初めて見たと思う。たしかに、今日の細川48号機はらしくないレースが続いた。前半5Rは特に2マークでキャビる場面があり、3周2マークではやはりキャビって後ろから富樫麗加が追突するかたちで落水失格。後半10Rは1周1マークでキャビって失速している。その10R終了後に、すぐさま整備室で分解を始めた細川。

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 最初はいわゆる電気一式の部分を分解していき、点検程度かとも思われたが、ついには本体を外し、こちらも分解した。落水時、モーターが水をかぶるようにも見える瞬間があり(モーターが一瞬沈んだように見えている)、それが10Rでキャビった原因だとするなら、やはり点検が作業の主だった可能性はあるだろう。果たして交換があるのかどうか。それはもう明日の直前情報を確認するしかないわけだが、48号機が今日、異常事態となっていたのは間違いなさそうだ。

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 好機を引いたはずの細川の動きを見て心配になったのだろう、池田浩美と金田幸子がかたわらで作業を見守っていた。選手たちにとっても、エース級のモーターの分解整備(点検)は珍しいはずで、その深刻さを感じ取っていたに違いない。

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 とはいえ、この48号機はそもそも中間整備で一変したモーター。この分解整備で息を吹き返す可能性もあるだろう。やはり心配そうに見守っていた整備士さんたちも、このモーターのことはよく知っているはずだから、的確な助言もあると思われる。ボートレースの面白さは、モーターにも物語があるということ。これで立て直したとしても、あるいは凡機になり下がってしまったとしても、明日の細川の走りを見ることはひとつのドラマを目撃することになりうる。もしさらにパワーアップして大逆転の予選突破なんてことがあれば、さらに先までドラマは続く。
 ちなみにですが、ちょうどそのとき、隣のテーブルでは中里優子が本体整備をしていた。ここまでゴンロクが並ぶ苦しい戦況の中里は、予選突破は絶望的だ。しかし、明日は1号艇。ここでなんとしても一矢報いたいところだろう。そのためにパワーアップを模索しての本体整備。果たして逃げ切りなるか。あっ……その4R、3号艇は細川裕子じゃないか……。ともかくWユウコに注目しよう。(あっ、4号艇は高田ひかる……)

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 ところで、今日は強めの向かい風が吹き、記録を見れば1Rが風速5mで途中7m、12Rが6mとあまり変化がないわけだが、体感的には時間を追うごとに強くなっていった印象。水面も昨日よりも波立っていた。おそらく近づく台風の影響だろう。明日はもっと強くなるかも? ということで、11R発売中に水面を眺めて岩崎芳美が渋面を作った。「もぉぅ、明日1号艇なのにぃ」。せっかくの1号艇が回ってくる日に強風とは、たしかに気の毒。ここまで苦戦している岩崎だが、調整は懸命に行なっており、だからこそ明日の1号艇こそ、という思いもあったはず。だというのに、やっぱり気の毒ではあります。風にも負けずに逃げ切りを!

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 その強めの風のなか、遅くまで試運転をしていたのは大山千広。明日1着でも得点率は6.00には遠く及ばず、予選突破は絶望的。しかし、そういうことではなく、まさしく「このままでは終われない」ということであろう。その後もプロペラ室にこもって、さらに調整を進めた。必ず今節どこかで大山らしいレースを見せてくれるものと期待したい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)