BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

ミラクルひかる!

10R
①山川美由紀(香川)11
②平山智加(香川) 09
③松本晶恵(群馬) 10
④浜田亜理沙(埼玉)15
⑤長嶋万記(静岡) 13
⑥高田ひかる(三重)08

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 高田ひかるが内5艇をぶった切った。起こしタイミングは5コース長嶋とほぼ一緒。スリットの50m手前では横一線の流れに見えたものだが、フルッ被りの高田だけがじわり伸びはじめる。スリットで長嶋を1/3艇身ほどリードした高田は、そこから一気に加速。わずか5秒ほどでインの山川まで引き波にハメ込んでいた。

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 この選手に関しては、相棒20号機の素性云々はまったく意味をなさない。パワー診断の基準はただひとつ「伸びるか、伸びないか」のみだ。正直、チルト0・5度に跳ねた今日のスタート展示は「6コースではちょいと遠いのではないか」と思ったものだが、その不足分を質の良いスタートと気合でカバーしたと見ていいだろう。

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 そして、この1着によって高田が頂戴したプレゼントは「ファイナルの3号艇以内」!! 2コースジカまくりも3カドまくりも得意とする高田にとって、今日の6コースよりもはるかにV確率がアップする特大プレゼントと言えるだろう。この原稿はまだ11Rの前に書き進めているのだが、間違っても1時間後に「すべて6号艇が勝って、ファイナル1号艇は高田ひかる」などという最悪の事態が起きないことを祈っている(笑)。

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 準優のハイライトである2着争いは、高田にまくられながらもインからしぶとく残した山川が粘り込んだ。地元のエース長嶋の猛追も相当な迫力だったが、全体的にちょっとちょっと余裕を感じさせる道中の足色だった。

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 今後のレースが順当であれば、予選4位の山川のファイナルは4号艇が濃厚だ。だとするなら、しっかりインから優出したこの女傑には「高田ひかるの外」というこれまた上等のプレゼントが用意されることになる。「ひかるを3カドに引かせてマーク差し」「ひかるを抑え込んで4カドから自力攻め」など、今晩の山川はさまざまな脳内レースを走らせることだろう。もちろん、ただただ自分が5度目の女王に君臨するための脳内レースを。

三位一体のクーデター

11R
①守屋美穂(岡山) 04
②渡邉優美(福岡)   10
③田口節子(岡山)   08
④櫻本あゆみ(東京)02
⑤鎌倉 涼(大阪)   08
⑥中川りな(福岡)   25

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 10Rに続いて強烈なまくり決着! 伏兵の櫻本が電撃のタッチスタートから絞めまくり、舳先がほとんど並んでいたインの守屋も全速のツケマイで引き波にハメ込んだ。
 大きな勝因は3つ。まずは恐れ知らずのコンマ02スタートで、伸びないカド受けの田口~ややスリットで凹んだ優美の2艇を一気に攻落したのが大きい。この時点でまくり差しの選択もありえたはずだが、まったく迷わず守屋まで叩きに行ったファイティングスピリッツは天晴れの一語だ。

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 櫻本の相棒51号機の底力も、このアップセットを引き起こした大きな要因だろう。三島敬一郎が浜名湖の3番手に推したハイパーマシーンは、彼の短評「行き足・二の足と上位級の動きも、出足は若干甘め」どおり自慢の二の足をフル稼働して難敵を撃退した。もちろん、この不気味なセカンドギアは明日の優勝戦でも左右の艇を脅かすだろう。

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 3つめの要因は、このレースの直前からいきなり強く吹きはじめたホーム向かい風だ。スタートを決め、51号機が唸りを上げ、さらにこの神風の如き気象現象がそのパワーを増幅したことによって、圧倒的な強さを誇るイン守屋をギリギリ叩ききれたと考えている。

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 2着は、まくられながらも2コースからすぐに体勢を立て直した優美。相棒64号機の気配には初日から惚れ込んでいるのだが、今日の実戦足も強力の一語。スタートが五分なら櫻本の猛攻をブロックしていたと思うし、まくられてからの反応も機敏かつパワフルでファイナリストに相応しいものだった。明日は外コースからの仕掛けになりそうだが、メンバー的にも機力的にも展開ひとつで先頭に突き抜ける可能性を十二分に秘めている。

薄氷の王手

12R
①遠藤エミ(滋賀)09
②倉持莉々(東京)15
③水野望美(愛知)10
④小野生奈(福岡)09
⑤西橋奈未(福井)07
⑥川野芽唯(福岡)11

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 やはりボートレースは難しく、恐ろしく、そして面白い。無敵の強さで準パーフェクトVを突っ走る遠藤が、これまたダッシュ勢の刃を浴びて倒れかけたのだ。
 まず先鋒で斬りかかったのは、4カドの生奈。相棒13号機のパワーは11R櫻本51号機の足元にも及ばない、と高を括っていたらば、スリット同体から伸びる伸びる! 今日の生奈はほぼ全レース後に水面に下りて試運転を繰り返していたが、4カドからのパンチ力を高めていた可能性は高い。そこに降って湧いた強風が背中を押して(向かい風だけど)、スロー勢を脅かした。

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 ただし! 生奈の快進撃は2コース倉持を攻めきった瞬間にぱたりと止んだ。エミ初号機の伸び返しが凄まじく、もはやこの大本命をまくるべき急所はすべて消されていたのだ。やむなく減速してまくり差しに構えた生奈には、エミを捕えきるだけの迫力はない。
 やはりエミ圧勝か。

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 思った瞬間、生奈の外から素晴らしいスピードの二の矢が遠藤の胸倉に突き刺さった。西橋奈未の「スリットから握りっぱなし二段のまくり差し」! 生奈のまくりを警戒して流れた遠藤を、ものの見事に捕えきる。

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 またしても、大本命が敗れるのか??
 西橋アタマの舟券を持っていた私は、驚きながらもそぞろときめいたものだ。が、しかし、先頭を突き進む西橋の行く手を阻んだのは、モロに矢を浴びたはずの遠藤だった。2マークを西橋が大事に落として回ったところ、ありえないスピードの強ツケマイ一閃! それはもう、なんと形容していいのか、その早さ速さ強さにただただ驚くしかなかった。

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――僕は浜名湖・初号機パイロット、遠藤エミです!!
 そんな咆哮が聞こえるような一撃だったなぁ(笑)。
 一瞬にして両者の体が入れ替わり、それでも西橋がしっかりと2着に残して明日のファイナル6PITがすべて決まった。

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   ここでは多くを語らないが、とにもかくにも3号艇・高田ひかるがどこまで伸び足を特化し、どこまで理想の進入コースを勝ち取り、どこまでスタートを張り込むか、でレース形態は大きく変わると考えている。理想通りの展開なら高田と外選手のワンツーもあるだろうし、まったくの不発なら1-2の本命決着もありえる。絶対エースの人機あり、嵐を呼ぶまくり怪獣あり。明日の12Rが心の底から楽しみでならない。(photos/シギー中尾、text/畠山)