ドリーム戦、今日のギリペラはなんと、白井英治なのであった。
ギリペラといえば、代名詞は毒島誠。今日の毒島は、いつも通りに長くペラと向き合ってはいたものの、わりと早めに切り上げて、展示ピットにボートを移すのも普段よりは早かった。だというのに、白井はギリペラだった！
展示ピットにボートを移す前、白井は係留所前の水面でレバーを握り込み、起こしの感触を何度か確認していた。そのままボートは展示ピットに入れたのだが、ペラを外してペラ室へ駆け込んで調整。それを見たときには、何か異変でもあったのかと訝ったものだった。調整後、展示ピットにダッシュで向かって装着。そのままレースに向かっている。
勝利者インタビューによると、その調整は「元に戻す」ものだったようですね。終盤の時間帯、たしかに白井がペラ室で調整をしているのを見かけている。それが失敗だったのだろう。そのことを、あの何度かの握り込み確認で感じ取った白井は、急ぎ元に戻したというわけだ。そう、勝利者インタビューに出たわけですから、見事に成功！ 豪快な５コースまくりは、改めて白井のパワーを知らしめるものになったはずだ。
まくられた峰竜太は、今日のところは致し方ないところか。一気にまくられ、それに抵抗したわけだから、インが連を外す典型的なパターン。あのまくりはさすがの峰も止められなかった。ただ、雰囲気を見ていると、いい調整ができたのではないか、と見受けられたのだ。レース前はいつも通りに緊張感に包まれてはいたものの、まったく焦りや不安は見受けられなかったし、自分の仕上がり的にはある程度の自信があるようにも見受けられた。最後の調整を終えて係留所へ向かうとき、ペラ室の中から誰かに声をかけられた峰は「アハハハーッ！」と快活に笑った。仕上がりが厳しいときに見られるような作り笑顔はなかった。それこそ、クラシックのドリームで寺田祥にまくられたときとはまるで違うように思えたのだが、どうだろう。
ところで、今回我々が立入を許されている場所からは、ペラ室はそれなりに目視できるのだが、整備室の内部はほとんど見ることができない。というわけで、整備状況はまったくと言っていいほど、確認ができないのだが、今日は一人だけ見えました。菊地孝平が本体を割っているところ。菊地は９Ｒを走っていて、レース後すぐに整備に取り掛かった様子である。その９Ｒは逃げたものの２マークでキャビってもつれている間に岩瀬裕亮に差されてしまった。足色もそうだし、そのつまずきもそうだし、とにかく気になるところだらけだったのだろう。今日の昼間のうちはひたすらペラ調整に没頭していた菊地、しかしペラだけではどうにもならないという判断だったか。明日は５Ｒが出番だから、さらに朝から忙しい時間を過ごすことになりそうだ。
さて、上の写真は10Ｒ終了後の装着場。すっからかんですね。エンジン吊りが終わった直後、モーターは整備室へ、ボートは艇運の方が運び、選手たちはそれぞれ散り散りに、という、特に何も写っていない写真ではあります。では、これってどのタイミングで撮ったと思いますか？
実はこのとき、11Ｒの周回展示が始まったところだったのである。スタート展示はピット離れからスタートまでが１分40秒、そこから２マーク付近まで戻ってくるまで30秒くらい？ とにかく、レースから戻ってきてものの２、３分で装着場からボートもモーターも選手も消えてしまうのである。すごいでしょ、選手たちのテキパキした行動。
このとき、選手の人数自体は手薄になっていたのである。今日の帰宿１便は９Ｒ終了後。どうもこのところ、感染防止対策で密を避けるということなのか、１便の出発が早くなっているところがあるようだ（芦屋も実はそうだったようです）。そして、便数も多くなっているところがある。今日の蒲郡は、１便で22人が帰宿。つまり、10Ｒ終了後に残っていた選手は30人で、そのうち６人は展示中。10Ｒを走った選手も含め24人で（１艇あたり４人）でエンジン吊りを行なわなければならなかった。それでもこのスピード！ 見習わなきゃなー。あ、写真を使った興津藍は、１便が９Ｒ終了後というのを失念していたのか、集合のアナウンスをペラ室で聞き、「ちょっと待ってぇーっ！」と大慌てでペラとモーターを格納し、滑り込みセーフ、という微笑ましいシーンがあったのでした。お疲れ様！ ちなみに田村隆信も同じ行動してました。仲良し同県同期。
さてさて、11Ｒで丸野一樹が６着。復帰戦は４着６着と大きな着を並べてしまった。ただ、今日はとにかくしっかりレースできたことが収穫ではなかったか。ここに間に合うとは思えない大ケガで、奇跡的な回復を見せて間に合わせたものの、なにしろ休み明けがＳＧなのである。大敗とはいえ、まともにレースができたのなら、今日のところはそれが何よりではないのか。とまあ、そんなことを思っていたのですが、本人はめっちゃ悔しそうでした。闘志は萎えるどころかむしろ高まっている！ そんなふうに思えて、大敗した丸ちゃんには悪いが、ちょっと嬉しかったのであります。明日以降巻き返せ！（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
