BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――激戦勝負駆け!

●本体整備

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 軽快な足色を見せていた新田雄史だが、8R4着。予選突破には問題がないが、得点率の順位をやや下げることとなってしまった。レース後、新田はすぐに試運転用の艇番と艇旗を装着。さらに本体を外して整備を始めている。賞金ランク18位圏内死守へ、やはり優出を果たせば圧倒的有利。そのための底上げをはかる、勝負整備でもあろう。グランプリ勝負駆け、かなり熱を帯びてきたと言えよう。

●大躍進!

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 10Rを瓜生正義が逃げ切り快勝。得点率を6.83に引き上げ、暫定2位に浮上した。賞金ランク19位の瓜生にとって、これはデカい! 準優1号艇となれば優出の可能性がぐっと高まるし、18位以内への逆転浮上に関しても有利に働く。単なるイン逃げではない、意義の大きなイン逃げだった。
 多くの選手に声をかけられた瓜生は、柔らかな笑顔を振りまいていた。瓜生はコンマ12のトップスタート、「みんなが遅くて恵まれた」などと言ってはいたが、それはまさに謙遜! ひたすら気分が良さそうなレース後なのであった。もう10何年も前、瓜生はいつもグランプリのボーダーあたりを賑わしており、「ミスターボーダー」などと言われたものだった。そのありがたくもない異名は完全に返上していたのだが、今年、ふたたびその位置に戻ってきてしまった。「やっぱりもっと上にいたいですよね」と瓜生。ただ、この位置でのヒリヒリした戦いを何度も経験してきたのは、ことここに至ってはアドバンテージかも。準優は一世一代の勝負駆けになる!

●勝負駆け成功!

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 12R、2着勝負だった秦英悟が3コースまくり差しで濱野谷憲吾を撃破! 濱野谷も道中食い下がり、デッドヒートの末の決着。賞金ランク23位から初のグランプリ出場を狙う秦にとって、この勝負駆け成功は一気にテンションを上げるものであろう。
 もっとも、地元の大先輩を破ったということで気遣ったのか、ピットに戻った秦は粛々と動いていた。濱野谷にも神妙に頭を下げ、表情をあまり変えることなく勝利者インタビューに急いで向かっていた。
 ちなみに、大阪支部は湯川浩司と太田和美が予選落ちで、すでにグランプリ当確の石野貴之以外では秦のみが望みをつないでいる。住之江を地元勢が盛り上げるためにも、明日の準優は重要な一戦!

●トップは辻だ!

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 10Rは峰竜太1着、辻栄蔵5着以下なら予選トップが入れ替わる、すなわちこの二人のトップ争い直接対決となっていた。結果、峰が3着、辻が4着。先着したのは峰だが、予選トップ通過をめぐる戦いには辻が勝利した格好となる。また、12Rの濱野谷憲吾、池田浩二にもトップの可能性が残されていたが、辻は4着でトップ確定! 何しろチャレンジカップ優勝戦は05年以降1号艇が連勝している。辻は優勝の最短距離の切符を得たことになる。

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 その状況を知ったのだろう、原田幸哉が辻を待ち構えて肩を抱いた。原田は嬉しそうに控室まで辻の左隣を独占。もちろん準優で対戦することになったのだからそこは真っ向勝負だが(原田は6号艇!)、辻の05年グランプリ以来約16年ぶりのSG制覇の予感が漂ってきたことは心ときめくことなのだろう。原田も今年、約12年ぶりのSG制覇を果たしているし。辻自身は淡々とした雰囲気だったが、もちろん心弾んでいるはず。久々のSG制覇と逆転グランプリ行きをかけて、明日は渾身のイン戦を見せる。

●ベテランが!

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 12Rが終わって、寺田千恵と瓜生正義がプロペラ室を外から覗き込んでいた。明かりはすでに落とされているので、ペラ室内は薄暗い。二人は何をのぞいているのか、と思ったら……おもむろに室内に入って、ハンマーや叩き台などを整理し始めた! 一見、きちんと整理整頓されているように見えたのだが、二人には何か気になるところがあったのだろう。それはベテランの仕事ではもちろんないのだが、そんなこと関係なし、とばかりに、手早くキビキビと整理していたのであった。うーむ、俺も見習ってBOATBoy編集部、しっかり片付けなきゃ……。

●連勝!

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 女子では、今日目立ったのは平山智加だ。まずは5R。昨年の当地レディースチャンピオン優勝戦と同じ組み合わせで(1号艇・守屋美穂、2号艇・平山智加で平山がジカまくりV)、今度は差し切って守屋を返り討ちにした。そして11Rは1号艇で、ややのぞかれたスリット隊形ながら、先マイを決めて押し切った。ピンピン! 平山はレース前にもリラックスした表情を見せていて、雰囲気は実によかったのである。仕上がりも上々ということなのか、単に連勝の歓喜ということなのか、レース後もとびきりの智加ちゃんスマイル! 好ムードを保って、明日の勝負駆けに挑むことになりそうだ。多摩川ビッグ2連続優勝も近づいてきた、いや、チカづいてきたぞ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)