BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

トリプル歓喜

10R        
①桐生順平(埼玉) 00
②濱野谷憲吾(東京)06
③新田雄史(三重) 03
④稲田浩二(兵庫) 03
⑤秦 英悟(大阪) 01
⑥坪井康晴(静岡) 03

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 グランプリ崖っぷちの新田が賞金3位・憲吾と同7位・桐生のど真ん中を切り裂き、今節の優勝&GPへ大きく大きく前進した。スリット隊形は地元の憲吾がチョイ凹み。だがしかし、コンマ06だからして「遅れた」とは言えない。

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 コンマ00のキワまで突っ込んだ桐生と行き足のいい新田が、にょきにょき舳先を伸ばした1マーク。やや凹みながら憲吾が差しに構えた瞬間、3コース新田は大上段から振りかざすようなまくり差しで東都のエースを引き波に沈めた。
 バック直線は必死のパッチで逃げる桐生と新田の一騎打ち。今節の桐生はターン出口からの行き足が強めなのだが、節イチ級のレース足を誇る新田も負けてはいない。いや、むしろスリット裏からグングン舳先を伸ばして桐生を捕えきり、2マーク先取りの豪快モンキーで一気に難敵を突き放した。スリットからこの1周2マークまで、どの部分を切り取っても新田の機力が桐生のそれを上回っていたと思う。

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 新田にとって、この1着は計り知れない価値がある。明日の好枠のみならず、熾烈な賞金17位から一気に跳ね上がる優出確定! 明日は完走当確で暫定16位の坪井どころか15位・西山貴浩まで飛び越える計算だ。つまり、GPほぼ当確。そして、明日も鬼足を100%生かしきって頂点に立つようなら、3度目のSG戴冠とトライアル1stの1号艇も手にすることになりそうだ。さらにさらに、デビュー通算1000勝という節目でもあったのだな。ゴールの瞬間とバック水面と、珍しく新田は2度も右手を突きあげたのだが、二重三重の思いがそうさせたのだろう。

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 一方、新田に差されたとは言え、桐生にとってもなかなかに価値のある2着ではあった。トライアル1st圏内の賞金7位から、明日は無事故完走で同5位の前本泰和をひとっ飛び。つまり、シード組のトップ6当確! 口惜しさと安堵が入り混じる2着だったかも知れない。

貫禄の3連勝

11R
①瓜生正義(福岡)11
②峰 竜太(佐賀)10
③中島孝平(福井)07
④寺田 祥(山口)06
⑤菊地孝平(静岡)07
⑥佐藤 翼(埼玉)08

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 昨日のピンピン連勝で一気にギアを上げた瓜生が、666円差の“目の上のたんこぶ”佐藤を一刀両断に斬り捨てた。昨日とほぼ同じコンマ11発進で、スリット隊形は大差のない横並び。名手・瓜生にしては1マークに寄りすぎた冷や汗インモンキーにも見えたが、舟の返りは上々。4コースから鋭く差した寺田をターン出口でシュッと突き放し、あとは危なげなく独走状態に持ち込んだ。

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 もちろん、賞金ランク19位だった瓜生にとっても、この1着の価値はとてつもなくでかい。その“値段”は10Rの新田とほぼほぼ等価(2万円差なのだ)で、明日は無事故完走で15位の西山を追い越すことだろう。人気の1号艇での逃げきりも含め、新田より安堵感の強い1着だったはずだ。

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 惜しかったのは、バックで完全に2番手を取りきった寺田。2マークをしっかり回れば賞金31位からの下克上チャンスをGETしたはずだが、その正念場の全速ぶん回しがややオーバーターンに。すかさずその内フトコロに中島と峰が飛び込み、あっという間に体が入れ替わった。ミスターンというほどではなかったから、小回り中島の出足回り足が圧倒的に強かったと見るべきか。

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 そのパワーは峰との鍔迫り合いでも如何なく発揮され、最強レーサーの追撃を余裕たっぷりに完封してファイナルの座を決定づけた。このタイプの足が仕上がったときの中島は、GPを獲るほど強いのだ。賞金ランク24位から下克上のGP突破へ。まだ当確ランプは点せないが、機力同様に力強く住之江に前進する2着入線だった。
 昨日まで瓜生を666円だけ上回っていた佐藤翼は、枠の遠さを克服できずに5着大敗。明日は中島に抜かれることが確定的となり、GPの門はほぼほぼ閉ざされた。

王手飛車取り!

12R
①辻 栄蔵(広島)14
②池田浩二(愛知)15
③茅原悠紀(岡山)17
④山口 剛(広島)09
⑤白井英治(山口)13
⑥原田幸哉(愛知)10

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 忍者・栄蔵がいくつかのピンチをものともせずにインから逃げきった。まずはスリットで4カドの山口が突出。そのまま絞めまくっても不思議じゃない超危険な隊形だったが、山口は強攻を自重。伸びに自信がなかったか、あるいは準優という性質が逸る気持ちを堰き止めたか。優勝戦でこの隊形だったら、多少アジャストしていてもおそらく舳先を左に傾けただろう。

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 危険な一の矢を回避できた辻だが、スタートでの後手が響きそうな1マーク。今度は2コースの池田が、狙い済ました差しを繰り出した。勢い的に舳先が届きそうな強烈な二の矢に見えたものだが、なんとなんと百戦錬磨の池田がターンマークに追突! ガチで勝ちに行ったギリギリの旋回が裏目に出てしまった。

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 このアクシデントは5コースから全速のまくり差しを狙っていた白井を減速させるなどの二次災害も併発し、その間にインの辻が何事もなかったかのように逃走態勢に持ち込んだ。トップスタートから最内を差した山口もなかなかの勢いだったが、ターン出口からの押し足はケタチ。両者の加速感の違いは、そのまま出足~行き足の差と値踏みしてもいいだろう。もちろん、明日も逃げきって不思議のない優良パワーだと確信している。16ぶり3度目のSG制覇、そして5年ぶりのグランプリ進出へ、1号艇という枠も含めて「王手飛車取りの大チャンス!」とお伝えして間違いはないだろう。

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 広島のワンツー決着で、同じく下克上Vのチャンスを掴んだ山口の明日は6号艇。パワー的に辻より劣勢だし枠番は遠いし、こちらは「王手」と言いきれない境遇ではあるが、今年一番の真剣勝負でWの栄冠を目指すことだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)