天気予報どおり、今日の鳴門リングは2Rあたりからエグイ追い風が吹き荒れ、3Rから安定板装着、6Rから2周走という“泥レス”級の極悪環境となった。過酷なBBCサバイバル1回戦の模様を、私見も汲み入れつつ振り返ってみよう。
★第5ラウンド
①濱野谷憲吾
②池田浩二
③興津 藍
④稲田浩二
⑤永井彪也
⑥新田雄史
好枠の濱野谷と池田は「グランプリ直前×クラシック当確」の身の上。モチベーション的に難しいファイトと見ていたのだが、外4艇のパンチを軽々と交わして一騎打ち態勢に持ち込んだ。そのスタート、ともにコンマ03! 追い風に背を押されたとはいえ、“消化試合”的なムードは微塵も感じさせないワンツーパンチ決着だった。機力評価的には、とことん憲吾を追い回した池田の実戦足のほうがかなり強めに見えた。
今節のキーポイント=3着争いは、永井・興津・稲田の打ち合いからパワー的に余裕が感じられた永井が軽いフットワークで先着した。明日も外枠だが三島敬一郎A評価の34号機、やはり侮れないムードを醸し出している。要注意!
★第6ラウンド(陰のメインエベント)
①寺田 祥
②上野真之介
③仲谷颯仁
④守屋美穂
⑤丸野一樹
⑥田口節子
『前年度チャンプ・寺田祥の初防衛戦』という意味では、事実上のメインレース。それが前半戦回りとは何たる仕打ち!? と気負い過ぎたわけでもないだろうが、チャンプ寺田が1マーク手前で波に足を取られてスリップダウン。挑戦者たちの連打を浴び、あっという間に王座から引きずり降ろされた。この痛打で負傷した寺田は、1年間腰に巻き続けたチャンピオンベルトを返上して無念の即日帰郷。『祥タイム』とはならなかった。
波乱の1マークから力強く抜け出したのは、5コースの丸野。佐賀の若きテクニシャン上野がこれに続き、焦点の3着はアウトから足を伸ばした田口節子!? かと思いきや、2周目の最終ターンマークで仲谷の強烈な右フック差しを浴びてマットに沈んだ。
★第7ラウンド
①石野貴之
②遠藤エミ
③細川裕子
④西山貴浩
⑤徳増秀樹
⑥平高奈菜
大事な大事な地元のGPを控え「今節、もっともモチベーションの難しい男」と噂されていた石野が、そんな雑音を嘲笑うような唯我独尊のトップスタートでイン逃げ圧勝! 敵に影さえ踏ませぬ完璧なリードブローだった。「女子の金メダリスト・遠藤にまくりKOされるかも?」などと予想して、すいませんでした!(涙)
2着はそれでも余裕たっぷりの足色でその遠藤。3着争いは熾烈な乱打戦の末、巧妙なクリンチとダッキングで他者を煙に巻いた西山が僅差で明日のバトル権利を獲得した。三島イチ推し82号機を駆る平高は、コースの遠さを克服できずに1回戦で敗退している。
★第8ラウンド
①辻 栄蔵
②片岡雅裕
③柳沢 一
④平尾崇典
⑤湯川浩司
⑥平山智加
多摩川チャレカVのリズム・勢いそのまま、忍者・栄蔵がコンマ06の鋭発から先制のジャブ一発で軽々と逃げきった。完全にゾーンに入った印象だ。
このレースで目を惹いたのは、柳沢のファイティングスピリット。3コースから目の覚めるような右フックまくりで辻を追撃、道中でも鬼気迫るモンキーターンで2着を獲りきった。穏やかなミルキーフェイスと裏腹な猛打の連発は、あるいは「来年のクラシックへのメイチ勝負駆け」という思いが詰まっていたか。3着も未だクラシックの権利がない湯川が混戦を捌いて、次のステージへと駒を進めた。例によって行き足~伸び足は初日からトップ級にパワーアップ。明日も外枠からのハードパンチを警戒しておきたい。
★第9ラウンド
①前本泰和
②白井英治
③篠崎仁志
④磯部 誠
⑤魚谷智之
⑥入海 馨
多摩川チャレカ最終日10Rの『GPシード鷲掴みまくり』で脳内の何かが弾け飛んだのか。艇界屈指のテクニシャン白井が、前半3Rは5コースから強烈なロングフックまくり(ぶっ飛び)からの、この勝負ラウンドも2コースから井上尚弥の如き迅速なストレートで前本を引き波に沈めた。過去1年以上、2コースまくりゼロだった男の新境地。その脳裏には、やはり「来年のクラシック権利」が刻まれているのかも? だとするなら、この急造ブルファイターは、またしても超タイトな勝負駆けに挑んでいるわけだ。果たして、2節連続でのミッション突破なるか。
この一事でレースは大波乱に。白井の猛攻で座り込んだ前本に、アウトからまくり差した入海が乗り上げて転覆。まくった白井~マーク差し仁志~2マーク逆転差し魚谷と続いて、バック3番手だった磯部が空白のベルト争いから脱落した。
★第10ラウンド
①原田幸哉
②馬場貴也
③太田和美
④山口 剛
⑤深川真二
⑥上田龍星
例によってインファイター深川がオラオラの前付け。強風を背に浴びて内2艇は90mちょい起こしの15・2/346という妖しい隊形から、4カド太田が猛スパート!! 一撃の右フックで内3艇を引き波にハメたのだが、今日の風はセンターまくりに激辛過ぎた。まくりきった瞬間に風に煽られ、マーク差し山口~イン残し原田~2コース差し深川がズボズボと内水域を通過。太田のハードパンチは虚しく空を切る結果となった。
クラシック権利の真剣勝負だった山口は展開の利がモノを言ったが、機力的に目を惹いたのは深川62号機と、その深川を競り落とした原田79号機。両者ともに軽快なフットワークでぐんぐん後続を引き離しており、明日のステージでも格上のパワーと断言していいだろう。
★第11ラウンド
①平本真之
②羽野直也
③野中一平
④瓜生正義
⑤小野生奈
⑥菊地孝平
ここも変幻自在の策士・菊地がゴリゴリ動き、126・3/45の変則隊形に。4カドにも近い野中が得意の速攻パンチで内3艇を呑み込んだ(やはり外へぶん流れ)ところ、5カドの瓜生が目の覚めるようなマーク差しで突き抜けた。鮮やかすぎる一撃のクロスカウンター。
レース展開的には10Rのそれと瓜二つの④-①決着だったわけだが、ちょいと違ったのはまくって流れた野中がギリギリ残して3着に飛び込んだ点か。明日は6号艇から3着以内を目指す韋駄天・一平の、捨て身のスタート勝負はちょっぴり警戒しておきたい。
★最終12ラウンド
①峰 竜太
②毒島 誠
③上平真二
④上條暢嵩
⑤茅原悠紀
⑥石渡鉄兵
1回戦でもっとも平穏安泰な展開~結果だったのがこの“メインエベント”。枠なり3対3からスリットほぼ横一線で、しかも内2艇が舳先ひとつ抜け出したとなれば外の艇に勝機はなかった。峰がすんなり逃げて、明日の1号艇もGET。2コースから差した毒島も危なげなく明日の座席をもぎ取り、3着は道中の殴り合いでもっともパワフルだった茅原が最後のチケットを入手した。明日も同じ5号艇の茅原は、1ミリたりとも軽視してはならない。「外枠の連続から最後にサプライズV」という展開が似合う男だし、それを実現させて不思議のないセコンド(56号機)もいるのだから。(photos/シギー中尾、text/畠山)