BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――静かで寒い朝

●静寂

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 朝のうちにピットに入ってみたら……実に静かだった。2日目とは思えない雰囲気で、整備室(プロペラ調整所も整備室内にある)に選手が無人という時間帯も、それなりに長くあったくらいだ。2日目にして半分がすでに勝ち上がりの権利を失っているという、通常の準優日にも近い性格の一日、ということだろうか。
 ただ、プロペラ調整所は装着場から一部死角になっていて、静かな整備室から突如、濱野谷憲吾があらわれて驚いたりもしたのでした。その死角でゲージをプロペラに合わせたりしていたのだろう(叩く音はまったくしていなかったので)。とにかく、穏やかな朝でありました。

●ボヤき

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 1R、西山貴浩は1号艇を活かせずに大敗。まくってきた山口剛に抵抗している間にズボズボと差されてしまった。ちなみに、競った両者はレース後、仲良くリプレイを見ておりました。
「クッソー。最近、流れが悪すぎる!」
 やや時間が経って、自艇のもとに向かいながらボヤいた西山。「ペラも試しすぎて、B級落ちじゃ! もう引退!」と叫んだりして。えっと、たしかに勝率は落としてますが、今期はまだ始まったばかりなんですけど。あと、今期は今のところ6.25です。A1級の勝率です。
 まあ、周囲にいた我々報道陣に向かっておどけてみせた、ってことでしょうね。9R準々決勝戦が控えているということで、「一撃必殺仕様にしたる!」と言いながら、ペラ調整に向かう西山なのだった。一撃なるか!?

●モチベーションは? 流れは?

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 勝ち上がりのレースを走る選手が2走乗りで、前半に勝ち上がりに関係ないレースを走る。一般戦ではいまや当たり前になっているけれども、記念では珍しいこと。というか、基本的にはこの大会ならではの現象である。
 気になるのは、まず前半戦のモチベーション。2R原田幸哉、3R石野貴之、4R白井英治という6号艇勢が、勝ち上がりレースでは前付けがあってもおかしくない面々なのに、枠なりに収まっている。ここで事故を起こして勝ち上がりの権利を逃すわけにはいかないから、やはり無難な選択をするということになったのだろうか。
 また、西山が言っていた「流れ」も気になるところで、ここで大敗を喫してしまったとき、流れを手放した感覚になったりはしないのだろうか。
 もっとも1Rで競り合った西山と山口は準々決勝組。後半ウンヌン関係なく、きっちり勝負に出た二人である。まだ3回目のこの大会、このあたりの関連性について研究してみたいところであります。

●勝ち上がりはないけれども

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 2R、菊地孝平が3コースから強ツケマイで突き抜けた。まさに胸のすく勝利! ということで、仲間に囲まれて戻ってきた菊地は実にゴキゲン。笑みが顔に貼りついていた。勝ち上がりの権利はなくとも、快勝はやはりテンションを上げるのである。
 菊地は、今日はこの1走のみだが、ボートにはすぐに試運転用の艇旗艇番が装着された。今日の鳴門は昨日より冷えているのだが、寒さなどいっさい気にすることなく、また明日からも“敗者戦”を走るということも関係なく、さらにパワーアップをはかるわけだ。“敗者戦”組にも注目を!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)