BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準決勝ダイジェスト

激闘

11R
①濱野谷憲吾(東京)11
②石野貴之(大阪)  21
③白井英治(山口)  10
④遠藤エミ(滋賀)  10
⑤茅原悠紀(岡山)  11
⑥西山貴浩(福岡)  12

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 この大会の特異な性質も込み込みで、掛け値なしの名勝負だった。
 真っ先に勝ち名乗りを受けたのは、3号艇の白井。やはりこの男は、多摩川チャレカ最終日(6号艇1着で賞金6位確定)から別人に生まれ変わったのか。スタート展示の枠なり3対3から、いざ本番では颯爽と艇を翻して3カドに構えた。今まで、ほとんど試していないはずの奇襲戦法だ。

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「特訓から遠藤さんにかなりやられていたので、自分から攻めるにはアレしかないかな、と」
 つまりは防御と攻撃の両方を満たすための3カド。この決断がものの見事にハマった。コンマ10のトップスタートで、舳先を揃えた遠藤の伸び足をシャットアウト。返す刀でひとりだけ凹んでしまった石野を一気に叩き潰し、イン濱野谷を窮屈に回らせてから狙い済ましたまくり差しのハンドルを突き刺した。自作自演の完璧すぎる独り舞台。モチベーションの難しいグランプリ組にあって、今節の白井は飢えた長州侍の如き鬼気迫る立ち回りを魅せ続けている。

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 2着はインから粘った憲吾。そしてそして、この大会の醍醐味=3着争いはまさに死闘だった。遠藤vs茅原の一騎討ち! 1周2マークを回って遠藤がわずかにリードを奪ったが、2周1マークで外に開いた茅原がエゲツない全速差し一閃! あっという間に体が入れ替わり、2周バックでは3艇身ほども先行した。

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 が、紅一点の遠藤もまったく諦めない。2周2マークは外から内へ、茅原の前を突っ切る渾身の切り返し。差は詰まらなかったが、茅原に心理的なプレッシャーを与えたはずだ。続く3周1マーク、茅原が早め早めにターンマークに向かった瞬間、今度はエミが「さっきのお返し!」とばかりに全速旋回で茅原の内フトコロに飛び込んだ。これぞ、足を止めての殴り合いと言うべきか。ぜんぜん止まってないけど(笑)。

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 三度優劣が入れ替わっての最終ターンマーク、今度は茅原が「お返しのお返し!」と超鋭角な差しを挿入。それを警戒して落として回ったエミと艇がゴツンとぶつかり合い、少し離れてまたぶつかり合い、またまた離れてぶつかり合い、という凄まじい男と女の肉弾戦は、わずか数十センチほどの差で遠藤に軍配が上がった。勝因は軽量の女子力なのか61号機のパワーなのか定かじゃないが、とにかくこの大会で長く語り継がれるであろう珠玉の“3着争い”だった。

穏当

12R
①峰 竜太(佐賀)09
②瓜生正義(福岡)12
③丸野一樹(滋賀)20
④平本真之(愛知)15
⑤篠崎仁志(福岡)15
⑥仲谷颯仁(福岡)18

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 激闘あらば穏当あり。11Rの興奮冷めやらぬ最終12Rは、枠番の利とパワーの利が完全に合致して、内から順繰りの極めて順当なレースとなった。まずはインの峰がくるり1マークを先取りして早々にイチ抜け当確。今節の峰は【逃げ・大敗・逃げ・逃げ】だから正味のパワーは測りにくいのだが、私は「ここ4、5節のビッグレースの中で、いちばん力強い上位級のバランス型」と値踏みしている。ソコソコの風が吹いている中での勝ちタイム1分45秒7も秀逸(白井は1秒遅れ)。

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   明日も1号艇なら節間4度目の逃げきりで優勝、というパターンも濃厚だったろう。現実には5号艇の試練を与えられ、そこから簡単に勝ちきるだけのパワーとは言いきれないのだが……。

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 2着は2コースからすんなり差して瓜生。峰に◎を打てない体質の私は「風頼み」で瓜生を本命に据えたのだが、風速2mではインコースの大怪獣ガバドンには打ち勝てなかった(笑)。ただ、この大会の最大の特徴である「準決勝で3着に入ってしまえば枠番抽選=V確率は均等」という変則ルールで、もっとも得をしたのは瓜生だった。ポールポジションの1号艇GET! 節イチ伸びる遠藤や気合パンパン白井などがいて1号艇=優勝とは断言できないが、機力的には逃げきって不思議のない上位級とお伝えしておきたい。

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 最後の1議席を決める3着争いは、これまた丸野vs平本の一騎討ちモードに突入。11Rと同じ死闘になるかと思いきや、2周1マークの丸野の激辛ターンでケリがついた。回り足を中心とするパワー差が、そのまま両者の明暗を分けた気がしてならない。(photos/シギー中尾、text/畠山)