BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

尼崎レディースvsルーキーズTOPICS 初日

明日のブライトホース

『打倒、兄キュン!』
5008羽野 諒(福岡・121期)

 当欄でフューチャーするには、1日遅かったか。今日の羽野は3号艇2着~6号艇2着で、2度の中穴配当&団体戦で唯一のサービスブレーク(外枠で勝利)に貢献した。
 SG常連・羽野直也の弟にして、初めて登録5000番台に突入した121期の旗手。やまと学校(現ボートレーサー養成所)のリーグ勝率7・24は上田健太に次ぐ2位で、卒業記念レースの直前には主席・上田へのライバル心を剥き出しにしていた。その日、現場にいた私に、こう言い放ったものだ。
「(1号艇の)上田訓練生には負けたくない。リーグ戦の初戦から最終戦まで、ずっと勝率のトップ争いをしてきましたから。そっちの競り合いでは負けましたけど、スタート力とメンタルの強さでは自分が上。2コースからまくりか差しか、冷静に判断したいと思ってます」
 おお、なんと気が強い。兄ちゃんはおっとり顔で内面に強い芯が見え隠れするタイプだが、この子は内面のめらめらが全身から噴き出している。そんなことを思いつつ、兄貴の名前を口にしたらば間髪入れずに「兄には負けません!」という力強い言葉が返ってきた。めらめらの眼光を見ながら、この子はすぐに強くなるかも、などと思ったものだった。

f:id:boatrace-g-report:20220129172301j:plain

 だがしかし、プロの世界は甘くはなかった。デビュー初勝利まで1年半、240走目の水神祭。勝率も1点~2点台という険しい数字が2年以上も続いた(兄は2年半でA級に)。負けず嫌いの弟としては悔しい日々だったはずだが、デビューから4年が過ぎてやっと5点台の光が見えてきた。
 今日の2走の道中もしっかりした位置取り、初動、ターンスピードと随所に才能の片鱗を見せており、成長度も込み込みで「現在は勝率5点を超える伸び盛りルーキー」と思ったほうがいい。ひとつだけ苦言を呈するなら、デビューからイン逃げ以外の主な決まり手が【まくり1・差し3・まくり差し5】と捌きに過ぎる点か。兄の直也も差しが増えてから成績が頭打ちになり、自力でまくるようになってスランプから脱した印象がある。
「兄には負けません!」
 強気な性格をしっかり水面に投影し、5点台から飛び級のステップアップを目指してもらいたい。頑張れ、羽野諒キュン!

お帰り、礼乃さん!

 さてさて、今日の団体戦のMVPは↑まんま6号艇2着で白組ブレークの原動力となった羽野なのだが、実戦のスリット~1マークで暴れ回ったのは紅組のほうだった。まず、6Rでは新潟出身のレア女子・島倉都が3コースのトップSからズッポリ差し抜け、紅組のサービスキープ(内枠勝利)の主役となった。デビューから4年半ほどで、3コース勝利はふたつ目。今年緒戦の児島ヴィーナスシリーズでは【10戦でコンマゼロ台5回・平均コンマ11】と強気のスタートを連発しており、今節は紅組の台風の目になるかも??

f:id:boatrace-g-report:20220129172614j:plain

 続く7Rは、4カドの小池礼乃が一撃まくりで内の白組3騎を薙ぎ倒した。うーーん、礼乃さんのこういうところが痺れるんですよ。って、これは私の勝手な妄想だけど、「団体戦で4カドを任せられたんだから、もちろん行きますわよ!」みたいな。いつもはスタートが慎重なのに、ここ一番攻めるべきときはガムシャラに攻める。そんな超男前なタイプだと確信している。2019年5月~翌20年9月まで1年半の長い休暇の影響で去年は4点台に甘んじた礼乃さんだが、レース感覚も徐々に戻って今日の激まくりが実現したとも言えるだろう。遅ればせながら、「お帰りなさい、礼乃さん♪」と伝えたい素晴らしいまくり勝ちだった。

f:id:boatrace-g-report:20220129172642j:plain

 ただし、この超男前な礼乃まくりは惜しくもサービスブレークにはつながらず、団体戦としては無駄骨まくりになってしまった。今日の団体戦の結果は

 紅組35白組

 テニス同様、片方のワンブレークで2ポイント差が付くこの大会は、ルーキーチームが出鼻を挫く幕開けとなった。(text/畠山)